スキルと魔力値
これからも頑張ります!
僕の家からしばらく歩くと、大きな白い建物が見えてきた。
「ほら、ジーク!あそこだよ!」
「わかってるから、そんなにひっぱるなってー」
そうこうしているうちに神殿に着いた僕とシルは、中に入っていった。僕たちの他にも来ていた人たちがいるようで、喜んだり、落ち込んだりしている。
「けっこう人がいるんだなぁ〜」
「ほんとだね〜」
シルと話をしながら、中を進んで行くと、神官のような男性に声をかけられた。
「君たちも魔力の測定と女神様よりスキルを授かりに来たのかな?」
「はい、そうです」
「向こうの女神様の石像の前で、祈りを捧げなさい。そしたら、スキルを授かることができるよ」
「ありがとうございます」
「ありがとう!おじちゃん!」
「いいスキルを授かることができるといいね」
神官のおじちゃんに言われた通り、僕たちは、女神様の石像の前に向かった。
石像の前に着くと、僕とシルは、片膝をつき、手を合わせて、女神様に祈りを捧げた。
すると、僕とシル二人の体が光に包まれ、しばらくすると霧散していった。
「これでいいのか………?」
「うーん?さっきのおじちゃんに見てもらおうよ!」
「そうだな。お、ちょうどあそこにいるな。よし、シル、行くぞ!」
僕がそう言うと、なぜかシルがこっちを見てにやにやしている。
「なんだよ……?」
「いや、やっぱりジークも楽しみなんだなぁ〜って思って」
「い、いや!これは、その!」
「はいはい、いいから早く行こー」
シルに引っ張られた僕は、仕・方・な・くさっきおじちゃんのところに向かった。
おじちゃんのところまで来ると、向こうから話しかけてきた。
「おや、君たち結果はどうだったかな?」
「それが自分でも分からなくて、おじちゃんに見て欲しいんです!」
「僕からもお願いします」
「ああ、お安い御用だよ。私たち神官は、皆ランクは、様々だけど鑑定スキルを持っているからね。………………おお!お嬢ちゃんの方は、4つスキルを持っているね。水魔法に雷魔法、治癒魔法もあるね。あと、身体強化。凄いね、久しぶりにここまでのスキルを持っている人を見たよ」
「やった!どうよ、ジーク?」
ニコニコ笑いながら、こっちを見てくるシルは、心の底から嬉しそうにしている。
「ああ、良かったじゃないか」
「よし、次は坊ちゃんの方だね。……………おお!これまたすごい!坊ちゃんも4つのスキルを持っているね」
この言葉を聞いて、僕は小さくガッツポーズをした。だって、僕だけ劣ってるとか嫌だったんだもん。
「うーんと………火魔法に風魔法があるね。鑑定もあるじゃないか!君、ここで働かないかい?」
「お断りします」
「そうか〜残念だなぁ〜。あと1つは、『魔力回復魔法』?聞いたことないスキルだなぁ、まぁ、生活魔法の一つかな」
「良かったね、ジーク」
「ああ!」
「いや〜、君たち凄いね!これから頑張りなよ」
「はい!ありがとうございました!」
「ところで、魔力を測定したいんですがどこで出来ますか?」
「それなら、あそこの水晶に手をかざすといいよ」
「分かりました」
神官のおじちゃんに言われ、青白く光る水晶があるところに向かった。
「わぁ……!きれい」
「早くしてくれよ!」
「もう、待ちきれないからってそんなに急かさないでよ」
僕が急かすと、シルは仕方ないなぁーと言いながら水晶に手をかざした。
「………魔力値2000だって!」
「まじかよ!すげーな!」
シルの魔力値は、2000だったらしい。1000あれば、優秀とされるのにその2倍とは、シルは天才かもしれない。
「ふふん〜、さすが私!」
「よし!次は僕だな」
僕は、期待しながら、水晶に手をかざした。シルが2000なら、僕もそれくらいあるかもしれないな。
「…………魔力値100…………」
今日が人生最高の1日から人生最低の1日に変わった瞬間だった。
間違いなど遠慮なく指摘してください