始まりと期待
僕＿＿＿ジークは、いつもの日課である昼寝をしに森を抜けたところにある草原に来ていた。
今日は、天気も良く、気温もちょうど良かったので、すぐ眠りについてしまった。
♢ ♢ ♢
「父様！父様！僕も女神様からスキルを授かることができるの？」
「おう！できるぞ！でも、後10年たったらな」
「えー、10年もー」
「なーに、10年なんてあっという間さ。それに俺たちの血を引いてるんだ。きっと立派なスキルを授かることができるさ」
「僕、将来は、父様みたいな立派な冒険者になりたい！」
「お？ジークの夢は、冒険者かぁ〜。いいぞ〜冒険者は。自由で気ままに過ごせるぞ！」
このとき僕は、父さんの話を目をキラキラさせながら聞いていた。
「もう〜、フリードったら。ジークに変なこと教えないでよね」
「メル！へ、変なことってなんだよ！これでも俺は、真面目に____」
「はいはい。いい？ジーク、あなたは、私のような冒険者になりなさい」
「じゃあ、父様と母様のような冒険者になる！」
僕がそう言うと、二人は揃ってにっこりと微笑んでいた。
♢ ♢ ♢
「……きて……お……きて！……起きてってば！」
声が聞こえて、目を覚ました瞬間、バシッと顔にビンタされた。
「いッてぇ！？こら！シル！ビンタで起こすのは、やめろっていつも言ってるだろ！」
「だって、どんなに起こしても起きないんだもの」
「今、起きようとしてただろ！」
「え？そうなの？今度から気をつけるね！」
この少し天然な銀髪の少女の名前は、シルヴィ。
僕の隣の家の娘で僕の幼馴染である。どういう偶然かシルヴィは、僕が産まれた日と同じ日に産まれた。
そして、明日が僕とシルヴィの誕生日、つまり成人15歳になり、神殿でスキルを授かる日である。
「そんなことより、ジーク。明日は、大事な日だってのに今日も来てたのね」
「ここに来ないと落ち着かなくてな……」
「そう………。ジーク、私決めたわ。私、ジークと一緒に冒険する！」
「え？それって……」
「私も冒険者になるってことよ」
シルヴィからの突然の言葉に驚愕のあまり目を見開いてしまった。
「いいのか？冒険者は、危険だぞ」
「いいの、自分で決めたことだから………。それにジークと一緒なら退屈しないしね！」
「そうか。じゃあ、これからもよろしくな、シル」
「うん。よろしく、ジーク」
その後、僕とシルは、それぞれの家に帰った。
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「ただいま」
家に入ると、玄関にちょうど帰ってきたばかりであろう父さんがいた。
「お、ジークか。おかえり。お前もついに明日だな。時が経つのは、早いもんだ」
「やめてくれよ、父さん」
二人で笑い合いながら、母さんの待つ居間に向かった。
「メルー、今帰ったぞー」
「母さん、ただいま」
「おかえり。フリード、ジーク。もうすぐ夕飯できるから！待っててね」
母さんの料理が出来上がり、3人揃ったところで食べ始めた。食べ始めてからしばらくした後、父さんが聞いてきた。
「そういや、ジーク。お前、これからどうするんだ？」
「冒険者になるよ。シルも一緒に」
「そうか、そうかそうか！冒険者か！頑張れよ！」
「ジーク、シルヴィちゃんと仲良くね」
「はい！」
その日僕は、期待と不安を抱えて、眠った。
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次の日の朝、シルが僕を迎えに来ていた。
「もう〜、ジークはやくー！」
「もう少し待てって。そんなに急ぐことでもないだろ？」
「それは、そうだけどさ〜。楽しみでしょうがないんだもん」
「子どもかよ………よし、行くか」
「うん！」
そして、僕とシルは、村の中心にある神殿に向かった。
あとでまた投稿します。
