8/ 君以上のジプシーダンサーなんて・・・
パニールは着ていた服を脱ぎ出した。
ドキッ..
あどけない褐色の肌が露わになる。
「あわわ..きゃっ、やだっ..」
僕は照れに照れ抜いた。まるで僕の方が脱衣しているみたいだ。
「着て、姉さん」
そう言うと、纏っていた《絹のガウン》を僕に差し出した。
「え、でも...」
「いいの、わたしはこれを着るから」
《伝説のニーソ》《ラッキーバニーイヤー》《颯爽のハンカチーフ》を壺から取り出して下着の上に装着していく。
こ、これは...!
僕は武器屋で貰ってきた《オール武器ログ2017》を慌ただしく捲った。
《伝説のニーソ》...敵が逃げるのを防ぐ。
《ラッキーバニーイヤー》...口を閉ざす村人や町民から情報をひきだせる。
《颯爽のハンカチーフ》...素早くなる。
すごい!
どこでこんなに...
「お世話になりました」
僕はたたき落としてしまった300ゴールドを拾い集め、座長に差し出した。
「すいませんでした。どうかお元気で」
「....」
座長は300トラを握ったまま、黙っている。
「行こう、姉さん」
「..待て」
座長がなにか呟いたような気がしたが、僕たちは歩を進めた。
「待ちなさい!」
座長が叫んだ。
僕たちは足を止めた。
「・・・・」
「気を抜くな。くれぐれも、どんなときも」
「...座長!」
座長はジプシーファッションを差し出していた。
僕の目をまっすぐ見て。
「・・・ありがとうございます」
僕は愛着のあるジプシーファッションを受け取った。
そしてパニールと座長室を後にした。
・・・
「...代役なんていないよ」
座長はタンスから重みのある布の袋を取り出した。
紐を開くと、そこには1000トラが入っていた。
「君以上の踊り子なんて・・・」
座長は1000トラを握りしめて走り出した。
つづく
【アイテム vol.3】
《伝説のニーソ》・・・敵が逃げ出すのをふせぐ。経験値が多くて逃げ足の速い敵には有効的。
買値は1100トラ。
《ラッキーバニーイヤー》・・・運が少しだけ良くなる。あと見栄えがよくなり、固く口を閉ざしがちな村人や町民から情報をひきだせるようになる。
買値は190トラ。
《颯爽のハンカチーフ》・・・素早く動ける。あと頭に巻くととってもオシャレ。
買値は600トラ。