5/ 色っぽいお姉さん座長にキュンキュンした僕...
ここはステージ裏にある座長室。
この一週間、僕はこの部屋で寝泊りしている。
20時からステージに立ち、四公演ほどこなし、朝方眠る、そんな生活を送っている。
しかし今夜を最後のステージと決めていた。
なぜなら今日は約束の給料日!
デンジャラス・ブーメランを買うんだ!
僕は武器屋から貰ったカタログをめくった。
デンジャラス・ブーメランを買って..魔王を倒すんだ!!
魔王を倒せば「どんな願いでもひとつ叶えられる」らしい。
デンジャラス・ブーメランで魔王を倒して、とっとと元の世界に戻ってやる!!
「お疲れ様」
座長のパンチホロンが部屋に入ってきた。
紳士...座長は今日も淑女だ。
腰までなだれ落ちる艶やかな黒髪が素敵なアラサー女性。
要するに色っぽい//
あの卑猥な武闘家の村娘とはなにもかも違った。
まず触り方が違う。
ものすごく優しい、そしてさり気ない。
はあ...///
「考え直す気はないかい?」
渋い声...
「たった一週間で人気ナンバーワンになった踊り子を私は知らない。君はここのエースだ。考え直してくれないか?」
(考え直したくなる〜!(はーと)
「そうか...君の旅立ちを止めることはできないようだね。はい、これは今日までの給料。少しでも君の旅路のたしになれば嬉しいよ」
100トラ...
あれだけ踊り狂って100トラかあ...
デンジャラス・ブーメランは350トラもするよ...
世知辛いなあ...
「今日はもう遅い、というか朝だ。ゆっくり身体を休めてから出発しなさい」
(最後まで優しい...きゅんきゅん)
zz..
...ん?
え?
身体が動かない!
はっ!!
座長が僕の上に乗っている!!!?
つづく
【キャラファイル vol.3】
パンチホロン座長...27歳。
「夜の地蔵通り劇場」の座長。
二年前にカツシカディープ国コイーワ村にある「夜の地蔵通り劇場」座長に就任。
都会的な手法と洗練された踊り子を発掘し、業績をあげる。
同性愛車であり、甘口かりを本物の女性だと思っている。それどころか運命の女性だと思い込んでいる。
かりへの愛情が強すぎる、所謂、ヤンデレである。
独身である。趣味はワインスライムで熟成されたスラワインを静かに飲むこと。
【法律 vol.1】
トラ...カツシカディープ国の通貨単位。由来はTransmigration。