2/ セクハラされたので火の魔法を使ってみた!
踊り子?
僕の職業が?
ちょっと待ってよ!
勇者でしょ!主人公って勇者一択じゃないの!?
それに僕は男の子だよ!例の踊り子のキャラクターは女の子じゃないか!僕は男の子だもん!踊り子なんかに就くものですか!
はあはあはあ(興奮)・・・
・・・・・・
踊り子の能力ってなんだっけ...
ん?
床に水滴状(タマネギ型)のデザインをしたタブレットが転がっている。
「あ、あのお〜...」
「は?バッカじゃないの?勝手に使えよ」
やはりこの村娘はくそ辛辣だった。
僕はタマネギタブレットで「踊り子・能力」と検索した。
(..あれ、みたことない検索エンジンだな..ま、いっかあ)
すぐさま概要がでてきた。
《抜群のプロモーション》
《露出した衣服》
《腰まで伸びる美しい髪》
容姿のことはいいよ!
能力!能力を知りたいの!
《マグカップは利き手じゃない方で掴む》
もっとどうでもいいよ!なんだよこの基本情報!だれだよまとめたの!
《火炎系の魔法が得意!》
火炎系の魔法?
魔法が使えるのかあ..!
・・・魔法//
手のひらをみつめた。
(..この手から火を噴き、雷を落とせるのかあ..)
・・・ん?
!!?
検索履歴...うっかり押してしまった...
「男の娘 出会い」
「男の娘 交渉」
「男の娘 飼い方」
な、なんだこの検索は〜!?
チラッ..
うっ!
村娘が僕の露わになった太ももを露骨にみている!
検索履歴から察するに、この村娘は男の娘と出会いを求め、何かの交渉をしようとし、そして飼おうとしている...なんの交渉!?想像したくないよ!か、飼うってなんですか!?
でも...
手元にはタマネギタブレット。
(口は悪いけど、こうしてタブレット貸してくれたし...男の娘の件も僕の先走りかもしれない)
僕は立ち上がった。
(そうだよ!きっとあれだよ!この娘の友達かなにかが目覚めてしまって、気持ちを理解するために勉強したんだよ!そうに違いない!)
「可愛くない奴!ぜんぜん女の子じゃない。でもまあ聞いてやるから教えろ、名前、名前」
村娘がゾクゾククネクネと体を震わせながらいう。
(先走ってなんかなかった!!)
怒らしちゃいけない...
隙をみて逃げよう...
「ぼ、僕の名前は、甘口かり、です...」
「ぼくっ娘!あ〜加算される〜!!...されねえよバカ!」
「ぼくっ娘ってなんですかあ!僕は男の子なんですからぼくっ娘なんて表現...」
はっ..!
村娘が猛る野獣のような目つきで僕を見下ろしている。
腰に手を当て、僕の顔面を片足で踏み...
「見れば見るほど好みじゃないわ。ぜんぜん女の子じゃない、ぜんぜん女の子じゃない!」
村娘が僕の左手を掴んで引き寄せた。
き、キスしようとしている!!
(うっ..ち、ち、近い〜//!!)
大きな目..
清純そうな唇...
なのにこの残虐性...
ギャップ萌え..か..
キス..僕のファーストキスは..突然、に..ってか..ふっ
・・・
ふっ、じゃない!
やだよ!こんなボコボコにされて、女装させられ、そんなファーストキスなんか!
逃げなくては!
でも..相手は武闘家だ...素手での勝負に勝ち目はない...
素手での...
はっ!
僕は手のひらを強く、強く、みつめた。
(そうだ・・僕のLvは1。概要によると踊り子はLv1でもこの魔法を使えると...)
・・・
(え、僕はいつから踊り子に!たしかにこの娘に踊り子の服を着せられて、今から踊り子だ〜!とか宣言はされたけど、職業として正式に踊り子になったという保証はないよね?っというか、踊り子っぽい服を着たから魔法を放てるとか、どんな根拠と自信なの僕!)
はっ!
知らない・逢ったばかりの・美少女の唇が目前に!!
やらなければ!
踊り子になって魔法が使えているのか、使えていないのかな〜んて考えている暇はない!
とりあえずやれ!
やるしかない!!
うおおおおおお!!!
人差し指を村娘に向けた。
念じた、信じた、想像した!
(炎がでるでるでるでる!人差し指から炎がでるでるでるでる!!)
・・・・
だ、だめかあ〜!
なにも起こらな・・ん?
あ!!
人差し指から火の玉!
火の玉は村娘めがけて飛んでいく!
「うわあああああああ!!!!!」
村娘の栗色の三つ編みがチリチリに燃えた。
「あつあつつう!」
村娘はバタバタと逃げていった。
すごい・・
僕は人差し指をみつめた
煙の消えない人差し指の先端...
ん?
炎がでたということは...
僕は踊り子が正式な職業に!?
つづく
【キャラファイル vol.2】
村娘・ギー...15歳。ジム「GOLDENコイーワGYM」オーナー。156cm。
職業は「武闘家」、怪力と素早さを併せ持つ。
男の娘しか愛せない。転生してきたかりに踊り子の服を無理やり着させた人物。
自分の思い通りにならないと気が済まない性格で、協調性もない、けれども自分は寛大だと思っている。
モンスターを倒してゴールドを貯め、「GOLDENコイーワGYM」をコイーワ村に設立した。