17 魔境アトラリア
「つまり、『人』が『悪魔』になるってこと?」
悪魔の写本を持つ悪魔、エリクシア。
夜も更けた洞窟の中、焚き火の明かりに照らされた彼女は目を真っ赤に腫らしていた。
大粒の涙を流していた名残だ。
「はい。見てのとおり、わたしはヒュームです」
クロは今、彼女の身の上について話を聞いている。
悪魔のことも、グリモアのことも詳細をまったく知らない。
不死になったらしい、自分のこともよくわかっていない状況だ。
それらを説明するために、エリクシアはクロをこの洞窟まで運んでくれたらしい。
「わたしがグリモアを手にしたのが十年前。どうやってこれを手に入れたのかは、わかりません」
「わからない?」
「それ以前の記憶がないのです。最初の記憶は、アトラリア山脈の中腹で、ひとりグリモアを持って佇んでいました。どうしてそこにいたのか、どうやってそこまで来たのか、それすらもわかりませんでした。
ただひとつわかっていたのは、自分が『エリクシア・ローゼンハート』という名前の人間だってことだけでした」
十年前というと、自分がまだマリアベールに本を読んでもらっていたころだ。
「幸運だったのは、ひとり山の中で遭難していたわたしが出会ったのが、魔物じゃなく、そして他の誰でもない、『ノエラ・ベネトレイト』という小人の女性だったことですね」
懐かしむように、エリクシアは遠くを眺めていた。
クロは口を出さない。
思い出の邪魔をしてはいけない。
そう思ってしまうほど、彼女の目がもの悲しさに満ちていた。
「当時3歳ぐらいだったわたしは、ノエラに多くのことを学びました。レリティアのこと、アトラリアのこと、そして悪魔のこと。自分がどんな存在なのか、どういう風に人に見られるか……」
そこまで言って、クロの無言の疑問に気づいたのか、エリクシアが話の補足をしていく。
「ノエラはその、ちょっと事情があって……悪魔というか、わたし自身への偏見がなかったので、自分の子供のように、わたしに接してくれていたのです」
「……なるほど」
余計なことも訊かない。
ノエラという人がどういう人物だったのか気にはなるが、言い淀んだエリクシアのことを考えると、ここは多分踏み込んではいけないところだ。
誰にだって訊かれてほしくないことがある。
自分だってそうだ。
両親のことは訊かれたくない。思い出したくもない。
捨てられたという事実を、再確認したくない。
だから他人にも、無遠慮に踏み込むようなことはしない。
「……それで、ですね……えっと……」
エリクシアの目が泳ぐ。
どう言おうか、あるいは何を言うまいか迷っている感じだった。
「それで色々あって、今はひとりで生きているんだね」
「……っ?」
クロの助け船に、エリクシアがおどろいた。
気にせずクロは続けた。
「見た感じ、冒険者として生計を立てているってとこかな? 冒険者なら、夜に誰にも会わないように生活できるし」
夜になるとグリモアが勝手に出てしまうらしいエリクシア。
なら、昼間なら人に会っても問題ないはずだ。
グリモアが出るまで、彼女が悪魔だとは思いもしなかったのだから。
夜には決して人に会わないように気をつける。
そういう生活をするなら、冒険者がうってつけの職業だ。
「そ、そうです。そのとおりです。…………ありがとう」
安心した表情になったエリクシア。
彼女のその言葉に、目を伏せるだけで応えたクロ。
言いたくないことは言わなくていい。
それがちゃんと伝わったようだ。
「それにしても、いいね、冒険者」
「……そうですか?」
「俺も騎士団に入るって最初から決めてなかったら、もしかしたら冒険者になってたかも」
冒険者は誰でもなれる職業だ。
冒険者組合に登録するだけで、それで晴れて冒険者の一員だ。
このグラデア王国のみならず、レリティア全土には人の手が入っていない遺跡や洞窟などがごろごろ存在している。
遺跡にある遺物は金になる。
一見ガラクタのようなものでも、ギルドやよろず屋に売ればいくばくかのお金にはなるし、実は想像もしていなかったお宝だったことで大金持ちになった人の話もある。
冒険者たちは日々、小金稼ぎあるいは大金目当てで、そういったトレジャーハントを生業にしている人たちだ。
魔境アトラリアに挑む酔狂な人たちもいる。
魔物の脅威にさらされ続けているこのレリティアで、それでも夢とロマンを追い求める冒険者はまさに自由の象徴だ。
「そろそろスープが頃合いですね」
焚き火の上に置いた小さなナベがくつくつと音を立てていた。
フタを開くと、おいしそうな匂いが洞窟の中を漂った。
エリクシアが用意してくれた晩ご飯だ。
自分がハイオークと闘ってからこの洞窟で起きるまで、なんと丸1日が経っていたらしい。
起きたのがちょうど夕方だったので、そこまで気を失っているとは思わなかった。
昨日の昼過ぎ――中継地点でシャルラッハ班のみんなと食べたのが最後だったので、相当に空腹だった。
同じくエリクシアもハイオークにずっと追われ続けていたうえ、死んだように眠る自分を介抱をしてくれていたことで食事の機会を逃していた。
そうして落ち着いた今、焚き火の熱でスープを温めていたのだ。
ちなみにナベも材料もエリクシアのリュックに入っていたものだ。
さすが冒険者。用意がいい。
「食べましょうか」
「うん。ご馳走になりま――」
感謝の言葉を言おうとしたときだった。
クロの体から唐突に、力が抜けた。
「――え?」
バタリと、倒れる。
手をつくこともできなかった。
自分を支えることすらできない。
焚き火のほうに突っ込まなくてよかったと、そんなことを考えた。
ということは意識はあるようで、体の力だけが抜けている。
「……このタイミングはさすがにわからなかったです、ごめんなさい」
すっと、良い匂いが鼻をかすめた。
視線だけで状況を確認する。
「……タイミング?」
エリクシアが外套を脱いで、こちらに来ていた。
そして、クロの頭を優しく持ち上げて、自分のふとももの上に置いた。
「……っ!?」
後頭部にすさまじくやわらかい感触。
エリクシアの幼い美貌を下から眺めている。
これはあれだ、いわゆるひざまくらというやつだ。
「大丈夫です。命には別状ありませんので」
「こ……これはどういうこと? 体の力が……ぜんぜん入らない」
指1本動かせない。
体をズラすこともできない。
できるのは顔を動かすことぐらいだ。
いったい、自分の身に何が起こったのか。
「不死の弱点です」
「じゃ、弱点……?」
「はい。でも心配しないでください。ご飯を食べればすぐ動けるようになるはずですので」
「ど、どういうこと……?」
ご飯を食べればいい?
不死の弱点?
まったくわけがわからない。
「とりあえず、スープを飲みましょう」
そう言って、エリクシアはナベから木製のカップにスープを注ぐ。
力が入らず動けないから、その一部始終を観察することしかできない。
ふー、ふー、と。
煮えていたスープにエリクシアが息を吹きかける。
たおやかな動作だった。
まるで、女神が命の吐息を吹きかけている様子を描いた絵画のような、そんな光景。
「起こしますね」
そっと上半身を起こされる。
為す術もなく、言われるがままにされる。
エリクシアに後ろから抱きかかえられる。
背中には彼女のやわらかい双丘の感触が広がっていた。小振りながら、とてつもなくふかふかで、ふわふわで、デタラメに気持ちがいい。悪魔染みた心地よさだった。
「熱くないですか?」
コップを口に優しく当てられる。
熱くはない……が、これではまるで幼児に食事を与えているかのようだ。
それを、明らかに自分よりも年下の少女にされている。
すさまじいまでの背徳感だった。目覚めてはいけないナニかが呼び起こされそうになる。
「飲めますか?」
おそろしいほどに優しいささやき声が、耳のすぐそばから聞こえてきた。
思わずトロけそうになってしまった。
顔のすぐ横から、エリクシアがのぞき込んでくる。
びっくりするほど恥ずかしかった。
「うん……」
おとなしくスープを飲み下す。
少しずつ、少しずつ。
温かい感触がノドを潤していく。
何度かその行為を繰り返す。
すると、
「あ……動ける」
体に力が満ちていくのがわかった。
手を持ち上げる。
指を開いて、閉じて、感覚を確かめた。
問題なく動く。
「もう大丈夫みたいですね」
「う、うん……」
恥ずかしくてエリクシアの顔を見られない。
今の自分の顔はきっと、焚き火の明かりよりも赤くなっているだろう。
正直、危なかった。
アレはまるで、人を堕落させる悪魔の誘惑だ。
あのまま続けられていたらどうにかなってしまいそうだった。
◇ ◇ ◇
「つまり、俺は食事をしなきゃ動けなくなってしまうってこと?」
ちょっと自分でも何を言ってるのかわからなくなってきた。
食事をしなければ体に力が入らなくなる。
当たり前といえば当たり前のことだ。
「君は不死なので餓死することはないのですが、あくまで君がグリモアに与えられた『不死の呪い』は、『死なない』というだけのものなのです。ですので、そのための代償はないのですが……」
エリクシアが背後に浮かんでいるグリモアを見た。
「……傷の『治癒』と、肉体の『再生』には相当の代償が必要らしいのです」
「再生……。この右手のこと?」
なんとなく、右手に力を込めた。
ハイオークに斬り飛ばされたが、今はもう元通りだ。
違和感なんてものもない。
傷跡も一切ない。
完璧に、完全に右手は復元されている。
「はい。その右手のように、喪失してしまったら不死の力で再生します。ですがそのために、君自身の『エーテル』が必要不可欠になってきます。あ、『エーテル』のことはわかりますか?」
「もちろん」
エーテル。
それは生命力、あるいは精神力のことだ。
騎士団流に言うなら『闘気』だ。
魔法を使うためにも必要で、その場合は『魔力』と呼ばれている。
……つい先日知ったことだが。
「そういえばハイオークとの闘いで使ってましたね。斧をどーんってやるやつ。すごい威力でした」
使えるようになったのも、そのハイオークとの闘いからだ。
ぶっちゃけると、あんまりよくわかっていない。
今使えと言われたらちょっとできるかどうか自信がない。
「……どうして目を逸らすのですか?」
「続きを頼む」
言わなくていいことは言わない。
どうでもいい見栄だったが、それは男として大切なものだ。
「……まぁいいです。えと、エーテルは食事を取ることで回復しますよね」
それははじめて知った。
話の腰を折らないよう、さも知っていたかのように頷いた。
「でも君は昨日の昼から何も食べていなかった。
ハイオークとの闘いでみせたエーテル技、そして治癒と再生の力。相当量のエーテルを君は使っていました。そのせいで、体にあるエーテルが空になってしまって、先ほど限界が来て倒れてしまったというわけです」
「……エーテル切れってことか。なるほど……」
闘気の量が少ない――才能が無いとまで言われた自分だ。
一度にそんなにエーテルを使えば空っぽになるのは当然のことなのだろう。
「普通なら気絶するんですが、不死はどうやら気絶さえも許してくれないようですね」
「あれ……? ちょっと待って」
「なにか?」
「俺、この洞窟で起きてから闘気……エーテルなんて使ってないよ? それまで普通に動けてたのに、どうしていきなり倒れるなんてことになる?」
エーテル切れには時間差があるのだろうか?
などと考えていると、エリクシアが答えてくれた。
「えと、体を動かすだけでも、エーテルは微量ながら常に消費されるものですので、今こうしてる間にも少しずつ使われていますよ?」
「え、そうなの!?」
「え……? はい。だから毎日食事を取るんじゃないですか」
そういえば、エーテルは誰しもが持っているものだと聞いた。
人が毎日食事を取るのはそういう理由もあったからなのか、といまさらながら知った。
もっと勉強しておくんだった。
「で、ここからが問題なのですが……君の、不死の弱点についてです」
いよいよ頭に入らなくなってきた。
これ以上難しいことを言われたら覚えきれない。
「先に聞いておきますが、君は不死についてどう思いますか?
世間では不老不死の霊薬を手に入れて、不死になりたがる人がいっぱいいますが、君はどうですか?」
エリクシアが真紅の瞳をこちらに向けてくる。
真剣な表情だ。
どこか試されているような感じがした。
「……俺は」
完全回復薬をチラリと見る。
これは商会がエリクサーを製造しようとした結果の失敗作だ。
その計画のために、おそらく巨万の額が動いただろう。結局、エリクサーの製造は失敗に終わったらしく、投資されたお金は藻屑と消えている。
それほどに、人から求められているのが不老不死だ。
「不死になった実感はないし、これから自分がどうなるのかも想像できてないから、うまく言えない。……けど、正直……いい気分じゃない」
エリクシアはじっとこちらを見つめてくる。
臆すことなくクロは言う。
「俺は人としてマトモに生きて、人としてちゃんと死にたい。
永遠に生きていくなんて、そんなのは絶対にイヤだ」
不死という言葉を聞いたとき、どうやったら元に戻れるのかと、まず考えた。
それだけ、自分にとって永遠の命とは耐えがたいことだ。
人としてまっとうに生きる。
これはもう元々もっていた人生観によるもので、この意見が変わるなんてあり得ない。
この考えがあるからこそ、クロ・クロイツァーたり得るのだから。
「ああ……やっぱり、君で、よかった……」
エリクシアは辛そうで、それでいて安心したような複雑な表情をみせた。
罪の意識と、希望への喜び。
そういうのが入り交じったような表情だった。
「俺で、よかった……?」
「……はい。それもちゃんと説明します。ごめんなさい、話を逸らしてしまいました。まずは不死の弱点の説明でしたね」
「いや……その弱点だけど、多分、わかった」
「……さっきまでの説明で、ですか?」
「うん。エーテル切れで倒れて動けなくなる……。これがヤバすぎる」
想像してみる。
自分が不死だとして、エーテル切れで動けなくなるということを。
「たとえばさ、砂漠かなんかで遭難した場合、俺は食事を取らなければ動けなくなるってことだよね?」
「……はい。そのとおりです」
「普通の人なら、それで死ぬ。……いや、死ねる。けれど不死は違う。
さっき言ってたよね? 不死であることはエーテルとは関係のない、呪いのようなものだって。だからエーテルが空になっていても、不死のまま」
エリクシアは神妙に頷いた。
やはり、だ。
クロの額から冷や汗が流れた。
「……その場合、俺は食事を取らない限り、ずっと砂漠で倒れたままになるんだよね?
さっきの俺みたいに意識を保ったまま、永遠に……」
「そうです。それが、不死の弱点です」
それは――まさに地獄だ。
動くこともできず、ただ太陽に焼かれ続ける。
不死だから、それこそ永劫に、果てしなく。
それはきっと、死ぬことよりも辛いんじゃないかと思ってしまう。
「やっぱりか……ロクなもんじゃないな、不死ってのは……」
「……君はもう、独りではいられない。
いえ、信頼に足る人物と共にいないと地獄を見る……が正しいですか。これからずっと、不死である限り」
死刑宣告を受けた囚人なら、こんな気持ちになるだろうか。
不死であるからこそ、逆に日常に怯えることになってしまう。
何が起こるかわからないのが人生というものだ。一瞬の判断ミスで、永遠の地獄を味わうことになる。
普通なら死というもので逃避できるが、不死ではそうはいかない。
「さすが悪名高いグリモアだな。マイナス要素しかない……」
「……はい」
「そうか、だから君は俺に対して謝ったんだね。ハイオークとの闘いの後で」
うっすらと沈んでいった意識の中で確かに覚えている。
黒く眩しい光の中で、「ごめんなさい」と謝られたことを。
そして今もエリクシアは罪の意識に苛まされている。
彼女がクロを悲しそうに見るのはこのせいだ。
自分がグリモアを持って近づいたから、彼女はそう思っている。
「気にしなくていい。これは君のせいじゃない」
「……でも、わたしのせいで君は……」
「グリモアが勝手にやったことなんだよね? だったら、君のせいじゃない」
「で、でも……」
「それに、不死を治す方法、あるんだよね? 君の言い方だと」
さっき、『不死である限り』とエリクシアは言った。
つまりそれは、まだ可能性があるということだ。
「は、はい! あります!」
めずらしく――と言っても会ったばかりだが――エリクシアが大きな声を出して力強く肯定した。
「どうすればいい?」
今はくよくよ悩んでいる場合じゃない。
とにかく情報がほしい。
これから自分はどうすればいいのか。
グリモアの呪いから解放されるには、いったい何をすればいいのか。
「不死の……グリモアの力を消すには、この悪魔の写本自体を消さなくてはいけません」
「グリモアを……?」
「はい。しかし、このグリモアは焼いても破っても意味がないんです。これを完全に消すには、特別な方法が必要になってくるんです」
「なるほど、グリモアはマトモな代物じゃないから、マトモな方法じゃどうにもならないのか……」
頷いて、エリクシアが姿勢を正した。
その瞬間、ひとりの少女から、使命を帯びた覚悟ある表情に変わった。
「お願いします。不死を治すために、わたしと一緒に来てくれませんか。君が一緒に行ってくれるなら、心強い」
「……行く? 行くって、どこに?」
ページを開いたままのグリモアは、ずっとエリクシアの背後に浮かんでいる。
黒い光をうっすらと放っている。
その巨大なグリモアが、まるでエリクシアの翼のように見えた。
黒い両翼を持つ、少女。
天使のような悪魔が、そこにいた。
「大昔、人類がこのグリモアを召喚してしまった『原罪の地』――」
エリクシアの白銀の髪は、洞窟の薄明かりの中で光輝いていた。
ある意味、神秘的ですらある。
幼い風貌には決して似合わない、真剣な眼差しがクロを射貫く。
並々ならぬ決意が、その真紅の双眸に宿っていた。
「――魔境『アトラリア』の最奥です」
そこは、もはや人が踏み込むことができない魔物の巣窟。
この2000年間、誰1人として到達できていない大魔境。
かつて繁栄を極めた、古代王国アトラリアの王都が在った場所。
そこには伝説の秘宝が数多く眠っている。
永遠の命、『不老不死の霊薬』。
真理への鍵、『知恵の果実』。
大地の所以、『星の設計図』。
大空の道標、『天空の箱船』。
神への昇進、『原初の火種』。
それらを求め、数多くの冒険者や英雄たちがそこに挑み、そして死んでいった。
人境レリティアと対をなす、歩いて渡れる別世界。
この世に具現した魔界。
最果ての地。
それが魔境アトラリア。
その最奥に行くのだと、エリクシアは言った。
「わたしの目的は、このレリティアに蔓延する破滅と悲劇を食い止めること。このグリモアを〝元の場所〟に返して、悪魔にまつわるすべての『災い』を消し去りたい。
それが――わたしの願い」
エリクシアは淀みなく、真摯な目で、声で、表情で。
――この世の哀しみを消し去りたいと言った。
「君なら信じられる。自分の命を顧みず、わたしを助けようとした君なら信用できる。わたしの正体を知って、それでも、こうして話を聞いてくれる君だからこそ、信頼できる。
お願いします。わたしと一緒に、アトラリアを目指してくれませんか」




