テスト続きー。
カキィーーン!
「オレは打撃の申し子じゃーっ!」
記録テストはマシンバッティングに移行している。
130キロに設定したマシンと100キロほどのカーブを10球ずつ打ち安打性の当たりを何本打つか、打球方向も併せて記録とする。
今は隆平がカーブのマシンを打っているがさすがは自称打撃の申し子。
快音を連発している。
「りゅーへー10球終わりッス。7本がヒット性ッスかね?」
「いやいや8本ですよね?」
んー。微妙っちゃ微妙なんだが。
「当たり自体はカス当たりだし7本な、7本!」
「うええー。」
ポテンヒットっぽいけどまあクリーンヒットじゃないしこれでいいだろう。
隆平は少し不満気だが。
さて、一通り終わったかな。
「じゃあ一通り終わったしマシンとゲージ直してノックなー!ポジションは希望ポジションに。そんで秋山。記録を見せてくれ。」
「はい桐島くん。私片付け手伝ってくるねー。」
「ありがと。頼む。」
長い髪を後ろで1つにまとめていて走るたびにぴょこぴょこと揺れている。
パッチリとした大きな瞳と主張した膨らみが特徴的な秋山 佳奈はわが野球部のマネージャーである。
綺麗というよりは可愛いらしい感じで男女問わず人気がある。
女子の比率が高いウチの学校であるがマネージャーは秋山一人という少し悲しい状況。そんな中健気に頑張ってくれて本当に助かる。
さてさて、データは揃ってきたが今一番の問題は…。
「投手の頭数…か。」
ふっと息を吐きながら呟きがこぼれる。
俺と公太の2人しか実質的なピッチャーがいない。基本は俺が先発完投するためそこまで必要じゃなかったのだが。
(練習試合を組むとなると別なんだよな。)
1日2試合のダブルヘッダーを組む場合、1試合目は俺が完投するにしろ2試合目に公太を完投させるのは正直まだ厳しい。実際前回の世界では俺がリリーフに入ってたし。
それに毎回完投というのも負担がものスゴくかかる。
(あと2人…。せめて1人はピッチャーを増やさないとな。)
そこで遠投の記録をみる。
(結城と、健二に打診するか。しかし健二は守備の要。むー。)
まあ焦っても仕方ないか。そう思いながらゲージの片付けに向かうのだった。
次の日の練習が始まる前にピッチャー希望者を募ることにした。
ちなみに結城にはその前に打診したら快く了承してくれた。
「誰でも良いぞー?基本は自分のポジションの練習をしてもらうけど合間に投げ込みをしたり走り込んだりするだけだから。」
しかしながらなかなか手はあがらない。ふむぅ。
「別に俺やっても良いけど。小、中もたまにやってたし。でも代わりの守備はどーすんの?」
健二が手を上げながら尋ねてきた。健二かー。確かに打診しようとはしたが出来れば健二にはショートを守って欲しいのは事実である。
「あとで言おうとはしてたけど…。1人複数のポジションを守ってもらおうとしているのでそこは心配しなくても大丈夫…かな、と。」
まあ健二にはショートを守ってほしい、というのは言わないが。
結局は希望者も居なかったので俺、公太、結城、健二の4人が暫定的に投手候補ということになった。
健二は練習試合のバックアップがメインになるとは思う、とは伝えたが。
さてさて、どうなることやら