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ハイファンタジーでたまにある魔力を勝手に貸し付けるタイプの奴を追放したリーダーの話

作者: 山田 勝

「マルコ!追放する!」


 俺は宣言を出した。

 相手はマルコ、支援魔法士だ。

 ほら、簡単に言うと魔力のタンクだ。


 俺たちが戦っている時に後方にいる。

 奴はただ見て指示を出しているだけだ。


 いや、支援魔法士ならそれでも良いかもしれないが、奴は魔力の調整が不適切だ。

 いつも多量の魔力を供給している。

 魔力の調整に専念して欲しいと何度も言っていた状況だ。


 すごいと思うよ。

 だけど、それだけだ。俺たちだって地力をつけたい。


 それを何回言っても聞かない。


 魔道師のマリーも。


「・・・そうだね。魔力ってその人特有の波紋があるから・・ずっと出されるのも困るよ」


 つまり。気持悪いだ。


 女剣士のリサリサは遠慮がない。


「魔力で探知しているでしょう。体をまさぐっているような感触がキモいわ」


 そして、俺も。


「あのな。マルコ、同じ村のよしみで仲間にしたけど、戦闘中に安全なところから指示を出すだろう。混乱するからやめろって何回も言ったよな。違うのだよ。お前のいうことは戦いながら考えるようなものだ。俺たちは訓練八割で戦っているからな」


 これは巷の小説だと、戦いながら話したり。考えたりしているが、実際は違う。

 実際は訓練でやったことを出し切るだけが精一杯だ。


 それを何回言っても理解出来ない。



 すると、マルコは眼鏡をプルプル震わせて言った。

「分かりました。パーティーを抜けます。でも、良いんですか?」

「ああ、いいぞ、装備はパーティーの金で買ったものだから置いていけ」


「僕はいいましたからね。カイト、ハーレムパーティーのために僕を追い出して・・・後悔するよ」


 と、マルコは去った。


 俺だって何故女が集まるか分からない。

 モテているとかそんな話ではない。

 むしろ逆だ。


 戦いに恋人を連れて行くか?

 どうあってもほころびが生じる。


 お互いに異性としてどうでも良い存在だから組んでいるのだ。


「だな、マリーとリサリサ」


「「何を言っているのリーダー!」」


 しまった。心の声が心の声のままだった。


「全く、カイトは私がいなきゃダメだから」

「本当だよ」

「頼りにしているぜ」



 それから、仲間を募集した。


「皆様、およろしくお願いしますですわ」


 聖女のレオリーナだ。後方職種で募集したら来てくれた。

 何でも「お」をつける。


 これは・・・一生懸命に上品を装うとしているな。敬語が怪しい。

 いや、その努力は買おう。

 マリーとリサリサも同じ気持だ。


 他のパーティーから指摘されても。


「おい、あの聖女、何でも『お』をつけている」

「知っているぞ。村娘でジョブが授かったタイプだな」

「背伸びしているぞ」


「はあ、それ、どうでもよくねえ?冒険者は腕だぜ」


 と庇う。

 レオリーナの気持はいたいほど分かる。


「グスン、グスン、おリーダー、私のお話のお仕方お変ですか?」

「個性的なのは確かだ。突き詰めてトレードマークにしても良いし。お金貯めてマナー講師について本物のお嬢様言葉を身につけてもいいぞ」


 一般論で誤魔化した。これ以上言う事はない。


 それから試行錯誤をした。

 俺は魔法剣士、いっそのこと俺がタンクになれば良いか?


 とやってみたが上手く行かない。


「ガオー!」

「キャア!」


 新チームでの初出陣は失敗した。

 リサリサが魔物を怖がったのだ。


「何故だ?」

「グスン、グスン、いつも、リーダーが魔物に初太刀を浴びせていましたから・・アタッカーは怖いわ」


 それからリサリサはグスングスンと泣き出した。

 泣き終わるまで待つ。


「よお~し、今日は宴会だ。飲んでわすれちまえ。反省会も兼ねるぞ!」


 次のクエストは元に戻した。


「グギャー!」

「マリー、どうした。魔法を放て!」


「ごめん。魔力切れだよ」


「ヨシ!逃げろ!」


 そんなこんなを続けていたらパーティーの等級を落とした。


「ヨド村のカイト団C級に降格!」

「はい、ギルマス、謹んで受けます」

「困っているよ。クエスト主から苦情が出ている。当分、C級のクエストだ!」

「はい」


 やはり、マルコの抜けた穴は大きかったが、それで良い。

 下の等級でじっくり練るぞ。


 とギルド併設の酒場に行ったら。


 リサリサは剣の修行をすると言う。


「リーダー、しばらく元の道場で修行したい」

「ああ、いいぞ」


 マリーも。

「リーダー、元のお師匠の元に戻って、魔力を練るよ」


 そう希望を述べる。


 なら、俺はソロでやろうか?


「私がおりましてよ。パーティーはお存続ですわ」


 レオリーナは残ってくれたそうだ。


「レオリーナさん。リーダーをよろしくお願いします。いつも寝癖がついています」

「野営の時に歯磨きサボり癖がありますから・・・注意して下さい」

「はい、分かりましたわ。先輩方」


「何だよ。俺、子供かよ」


 それからレオリーナとクエストに向かった。


 C級だが、何とか2人でも何とかなった。

 B級とは雲泥の差だ。

 だが、B級は冒険者の墓場とも言われる。ここで終わる冒険者パーティーは多い。


 今日の獲物はアナグマキングだ。


「ギャ!ギャ!」


「聖なるお光よ!お地を照しお魔物のお目を曇らせたまえ!」



 ピカッと閃光が光り。簡単に魔物を討伐できた。


「レオリーナ、聖なる光を目潰しに使うなんてやるな」

「オホホホホ、喜んで頂けてお光栄ですわ」


 収入が激減したが、試行錯誤の楽しい毎日だ。日々、レオリーナの腕が上がって行く様子が愉快だと感じていたら・・・


 マルコが顔を出した。


「クスッ、ざまぁだね」

「何だ。マルコ・・・」


 一目で分かった。上等な魔道マントを着ている。

 あれは対物理攻撃、対魔法、対呪いが付与されている。

 最高峰のマント、金貨150枚くらいか・・・


「いいでしょう。ソロでクエスト連続達成だぜ」

「良かったな」

「負け惜しみを・・・僕を追放して後悔していない?戻って来て欲しくない?」

「してないよ。欲しくない」


「フン、今、ここに勇者パーティーのスカウトが来ているって、僕が呼ばれると冒険者達は予想しているよ」


 言いたいことだけ言って去った。

 そんな噂があったな。


「奴は奴、俺たちは俺たちだ」

「はい、おリーダー」



 それから半年経ち。

 マリーとリサリサが帰って来た。

 見違えている。


「リーダー、アタッカーをさせて下さい!師匠に怒られましたわ」

「私は3日なら連続戦闘可能だよ」


「皆、成長したな」


 とクエストを連続達成していたらギルマスに呼ばれた。昇格の話か?

 だが、何故か。ギルマス室にはレオリーナがいた。ギルマスの席に座り。

 ギルマスが横で立っている構図だ。


「うむ。B級に昇進だ」

「有難うございます・・レオリーナ、そこどきなさい。ギルマスに失礼だ」

「オホホホホ、まずは謝罪をしますわ。私、勇者パーティーのスカウトですの。謀って申訳ございませんわ。これをご覧下さいませ」



「はあ?」


 話し方が元に戻っている。

 首のネックレスを外して見せた物は・・・


「これは・・」

「勇者パーティーに許される即決裁判メダルですわ。ご存じのことかと思われますが・・」


「ああ、国王の逮捕まで許される。最強のメダル・・」

「それは譬えですわ。でも高潔で最強の勇者様なら悪逆国王も逮捕処刑は可能です」

「まさか、魔王の復活が近い・・のですか?」


「勇者タケシ様が異界より来られました」


 これすなわち魔王復活が近いとの女神様の警告ですわ。

 勇者様はお若い。現在勇者の旅に出ていますわ。


 最強の勇者のジョブ・スキル、賢者が作った魔道具、聖剣でも魔王には勝てません。

 成長しなければならないのです。


「何故?俺をスカウトするのですか?」



「オイ、コラ言えるリーダーは鰯の群れのごとくいますが、成長を促す素質を持ったリーダーは貴方です」

「ヒィ、嫌です。無理です。出来ません」

「命令でも出来ますが・・・そうはしたくありません」


「考えさせて下さい」

「はい、もちろん。でも、時間の猶予はありませんわ」



 どうしよう。ギルマス室をレオリーナと出て会合場所にしている酒場に向かった。もう、情報が広まっていた。


 仲間の冒険者たちも・・


「「「カイト、スゲー」」」

「なあ、俺たち友達だよな」

「俺、前から何か違うと思っていたんだよ」


 うるせえ。そう思っていないくせに。


 マリーとリサリサはしんみりしている。


「「カイトおめでとう」」

「行かないなんて言わないよね」

「そうだよ。これで残ったら怒るよ」


 皆・・・


 だが、お祝いムードに水を差す奴が出てきた。

 マルコだ。突然乱入してきた。



「ちょっと、おかしいよ!僕は連続クエスト達成だよ。ドラゴンを単独討伐挑戦中だよ。それに・・・スカウトさん聞いて下さい!」


「まあ、何かしら?」

「僕こそ勇者パーティーに相応しいです。カイトに魔力を貸し付けていました。今、それを返済中です。ええ、10日で一割で契約しました。返済は追放されたらです。僕のスキル、無尽魔力は・・・そうなっています」


 はあ?何それ?


「今、絶賛没落中です。C級パーティーですよ」


 意味が分からない。

 俺の魔力は減っていない。


「リサリサとマリー、魔力減っている?」

「ないね。むしろ地力があがったわ」

「うん。私の魔力あがっている。前とは比べものにならないくらいだよ」


 するとレオリーナが解説してくれた。


「・・・・それは妄想ですわ。そもそも契約は本人と合意の元、契約しなければ効力を発しませんわ。貴方、契約を3人と結んだのですか?」


「だから、僕は魔力を支援していたのではなくて貸していたのですよ!」


「女神様の名の下に契約したのですか?」

「だから、僕が支援すれば契約したことになるのだよ」

「それは・・・この世の摂理ではありませんね」


 ラチが空かないと思っていたら、マルコを呼ぶ声が聞こえた。魔道具屋の店主だ。


「マルコさん。そのマントの代金を払って下さい」

「はあ、このマントのせいで、ドラゴン討伐出来なかったよ」

「当たり前ですよ!メンテナンスもしていないし。ドラゴンを倒す仕様ではございません」


 魔道具の店主ともめている。ツケで買ったのか・・・



「ドラゴンを倒せなかったから代金払いません!」

「じゃあ、裁判だ」

「はあ、無知だね。裁判は時間と金が掛かるよ。それに冒険者ギルドの口座に金を少ししか預けていないから差し押さえは無理だね」


 うわ。最低だな。

 その時、レオリーナがニッコリ笑って宣言を出した。


「では、勇者即決メダルの元に判決を下します。マルコはマントの代金を払うこと。いかなる異議も認めません。

 商業ギルド、冒険者ギルド、全ての機関と個人はマルコのお金を差し出すこと。

 店主、マントの値段は?」


「はい、金貨150枚です」


 マルコは。


【やられたー!】と叫んで膝をついた。



 何故、魔力で支援するが、貸したことになったとマルコの頭の中でそうなったか分からない。パーティーの一員として対価を払っていたが。


「これはね。契約を理解していないからなのよ・・」


 レオリーナが解説してくれた。


「貴方たちはマルコの所有物、奴隷ではないわね・・・」


 例えば、契約書類で、私がカイトさんに魔力を貸し付けると女神様と契約したとしますわ。追放したらカイトさん達が利子をつけて返すとしますわ。


 それは無効です。

 カイトさん達の意思が入っていませんわ。女神様が魔力を返すなら可能でしょう。

 しかし、女神様はそのような契約はしません。


 するとしたら邪神、でも、邪神でも契約した者の命、体を欲しがるでしょうね。


「そうなのですか。マルコの勘違いでしたか・・」

 貧乏人の苦労知らずほど質の悪い奴はいない。と聞いた事がある。

 マルコの家は貧乏だったけど、マルコには魔道塾に通わせたり。スキル降臨の儀式もしていたからな。ますます貧乏になっていった。


 感慨にふけり。



 今俺は魔族領にいる。


「タケシ様!」

「カイト、分かっているよ。アタッカーは俺だね!」


 もう、勇者様は俺の指導はいらないくらい成熟されている。


 早く帰って、マリーとリサリサに会いたい。

 手紙は来ている。早くパーティーを組もうとのことだ。

 もうすぐだ。


「レオリーナ、帰っていい?」

「ダメですわ。魔王討伐の報償の一つにあります。重婚禁止の解除、すなわちハーレムですから、途中で帰ったらマリー様とリサリサ様が怒りますわ」


「何それ?」


 意味は分からないが俺は日々頑張るだけだ。


最後までお読み頂き有難うございました。


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