004話 2078年のモビリティ
良い睡眠が取れたおかげで、スッキリした気持ちで1日を始められる。
セリュリアが朝食を用意してくれたので、一緒に食べながら今日の予定を立てた。
「セリュリア、街に出てみたい。この倉庫から出ても奴ら追いかけてこないかな?」
「はい、おそらく追跡されているのであれば昨夜中で来ているはずですし、身体のスキャン結果としてGPSのような信号も確認できなかったので大丈夫だと思われます。」
「ただ万が一もあるので、腕に記載されている文字や、髪など特徴がある部分は隠しましょう。」
「今の時代は歩き方や骨格で監視カメラでばれないの?」
「たしかに個人を映像から特定することは容易です。しかし街中のセキュリティカメラを管理している企業はサイバー攻撃にかなり強く、”幽境の詠図”からハッキングされることはまずないでしょう。」
セリュリアの言葉に安心し、まずは倉庫から出ることにした。
まず目に入ったのは、この世界のモビリティだ。
自動車はもちろん、空飛ぶドローンもある。俺が前世で聞いてた「こうなる」という世界に割と近い。
そして、気になったことを逐一セリュリアに聞いていった。
「自動車」に関しては、前世でもあったが、ほとんど自動運転になっているようだ。
この時代の自動運転は段違いに安全性が担保されているので、むしろ自動運転および運転補助がない自動車に乗る場合は、実技含めた免許更新を毎年行う必要がある。
予想したとおり、電気自動車のみになっており、ガソリン車は法律により禁止されるようになった。
ただ、何年たっても運転を楽しんだり、エンジン音をを楽しむ”エンスージアスト”のニーズに対応するため、合成エンジン音がついているものもある。
また、クラシックカーを電動化するカスタムも流行っており、法規制内でのカスタマイズをする業者もいる。
これらは公道の話だが、モータースポーツは以前として残っており、これは特別にガソリンを利用して走行することが許されており、好きな人が集まって情熱を共有できる場が提供されている。
テンションが上がったのは「エアタクシードローン」だ。
名の通り、大きいドローンがタクシーとして、人を運ぶ。空飛ぶ車だ。
ただ、一般の所有は禁止されており、公共交通機関の一つのようなものになっている。
渋滞を避けられるため、都市部での移動に非常に便利なようだ。
ターミナルがそこら中にあり、地上からエレベーターで発着場にあがり、そこで呼び出しをすることで、すぐにエアタクシードローンが到着する。
乗車する前に降車のターミナルを選択することで目的地まで運んでくれる。
「鉄道」も変わらずある。
現在も同様にあるが、少し変わったところとしては電車とホームの間には2重にホームドアがあること。
運転手はいなくなり、完全自動運転になったこと。
磁気浮上式鉄道が主流であり、より早い移動が可能になったこと、が上げあられる。
その他、前世から比べたら近未来的なデザインのモビリティであふれており、個人が移動する際には、
小型の自立型移動ツールが使われていたり、公共交通機関のバスから電車、タクシーの乗り継ぎに関してはすべて一貫してスケジューリングしてくれたりと、
移動に関してはかなり効率化されている。
「すごく良い風に時代が進んだと感じたよ。特にエアタクシーは興奮したね。」
「そうですね、この時代の交通手段は、多くの革新があふれています。それによって、より早く、より環境に優しい方法で移動が可能になりました。」
セリュリアはにっこり微笑みながら言った。
コーヒーを飲みながら、俺はこれからの生活でどの交通手段を利用すべきかを考え始めた。
ドローンタクシーは便利だが、高額な料金がネックだ。一方、地下鉄は移動範囲が限られるものの、スピードとコストのバランスが良い。
「セリュリア、君はどの交通手段をオススメする?」
「それは、ジンさんのライフスタイルや必要に応じて変わると思います。一般的には、電動車で近距離を移動し、地下鉄で都市間を移動するのが効率的です。もし急いで移動する必要があれば、ドローンタクシーを利用するのも良いでしょう。」
そら、そうだ。
「とりあえずこの時代の自動車の仕組みやモビリティ全般の運転方法は網羅したいのだが、どこで学べる?」
「そしたら、私がマニュアルを作成し記録デバイスに読み込みます。」
「その後、それを首のインターフェースに指してください。そしたらすべて操作できるようになります。」
もう学校いらないじゃん。