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66.スゲイルファミリー

「貴族にまで取り入ってるとは、そのスゲイルファミリーってのもやるねぇ」


 とルミナは腕組みする。その言葉にジンクは


「まぁ、貴族の側、ゴートセンにも十分な利点があるからですけどね」


 と言った。


「ゴートセンはスゲイルファミリーを保護するかわりに、彼らから大量の上納金を受け取っているらしいんです」


「上納金?貴族なのに、お金が必要なの?」


 十分な収入があるだろうに、とアナスタシアが首を傾げる。


 ジンクは苦笑した。

「確かに、不思議に聞こえるかもしれませんね。しかし別に贅沢をするために必要としているわけではありませんよ。

 ゴードセンは裏工作のために多くの金を使っているんです」


「裏工作とはなんですか?」


 ソフィヤの疑問にジンクは丁寧に答える。


「ゴードセンはヴィルネイス家の親戚など、他の貴族からの支持を得ようとしています。

より多くの貴族から“ヴィルネイス家の当主にふさわしい”と認めてもらえば、後継者争いに

おいて優位に立てる、というわけです

 

そして、そのためにゴードセンは賄賂を他の貴族たちに贈っているんですよ」


「賄賂のための金を、裏の人間に頼ってるのか。すごいことするねぇ。どんな汚い手を使ってでも当主になりたいってか」


 ルミナが呆れたような声を出す。


「ルミナさん、それを言うならオレたちだって裏社会の人間ですよ?」


「あ……!」


 ジンクの言葉に、ルミナはハッとして口をつぐんだ。行きずりの結果とはいえ、自分達が頼っているアイレーネファミリーだって同類なのだ。


「でも、あなた方はスゲイルファミリーとは違うのでしょう?違法な薬を売って、人々を食い物にしようとする真似はしないとさっきおっしゃっておられましたし」


 と言ってターセンはジンクを見つめた。


「ターセン様……」


 コールスもまたジンクに視線を送った。


 コールスとしては、まだ全面的に彼らを信用したわけではない。

 だが、敵対勢力に裏社会が関わっているとなれば、こちらもそれに対処しなければならない。


――そのためには、同じ裏社会の人間の力も借りる必要がある……


 とコールスは考えていた。


 ターセンの純粋な瞳に、ジンクはフッと笑みを漏らし


「そう、そうでしたね」


と答えた。


「では、改めてご協力させていただきます、ターセン様。あなた様を助けて、スゲイルファミリーと戦う準備を進めるよう、アイレーネさんにも進言します」


「よろしくお願いします」


 とソフィヤやターセンは頭を下げた。


 そのとき。


 バタバタバタと足音が響き、部屋の扉が開かれた。


 駆け込んできたのは、ルシーラだった。


「た、大変です、ジンクさん!」


 ジンクは、ノックもなしに子分が入ってきたことに文句を言おうとしたようだったが、


「スゲイルファミリーの連中が街で暴れているんですっ!」


 というルシーラの言葉に、


「何!?」

 

 と一同は驚いた。


今回は少し短めです。近々、続きを投稿しますのでお楽しみに!

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