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42.ミルティース再び

「やぁ、そこにいるのはいつぞやの獣人のボウヤか。元気にしてたかい?



 その様子だと、ダンフォーはやられてしまったみたいだね」



 レオネアを通じてミルティースが声をかけてきた。



「まだ生きているよ。ディークソン伯爵家で取り調べを受け居ているところだ。今頃、お前のことも喋ってくれるだろう」


とコールスは返す。



「へぇ、そうかい。そいつは困ったなぁ」


 ミルティースはそう言って笑った。



 盗賊たちが捕まったとしても、痛くもかゆくもないということだろう。



 実際、ダンフォー達は、この魔術師が一体何者で、どこから来たのかほとんど何も知らないのだった。



「てめぇ……一体、何が目的だ!アタシたちの関係をめちゃくちゃにしやがって!」


 とルミナが叫ぶと、ミルティースは鼻を鳴らした。



「おいおい!私のせいにしないでほしいね。私はただ、あんたたちが望んだとおりに、力を授けただけさ。それが上手くいかなかったからって逆恨みしないでもらいたいな」



「何を!!」


 思わず詰め寄ろうとするルミナを押しとどめるようにしながらコールスは、



「だからレオネアにも力を授けたのか?」


 と尋ねた。



 レオネアの腹部に描かれていた”逆理の蛇紋”。


 

 その紋様に、コールスは見覚えがあった。



 ダンフォーが腕にしていた刺青も、似たデザインをしていたのだ。


 

 ダンフォーに尋問したところ、刺青は、ミルティースから授かったものだという話だった。

 

「『この刺青があれば、自分がいなくてもレベル99でスキルが使えるよ』とミルティースが言ってたんだ」


 盗賊の頭はそう話した。



 レオネアもまた、ミルティースの名前を口にしていた


 とすれば、ダンフォーのように能力が向上するように手助けしてもらえていただろうことは想像できた。



「フン、察しがいいね。確かに、この女は力を欲しがっていた。なんでも、近年は法力が思うように出なくなってたらしいのさ。


 それじゃあ治癒術を含めて、法術が使えない。


 せっかく今まで”聖女様”ってみんなから尊敬されてチヤホヤされていたのに、それがなくなっちゃう~って、弱ってたみたいなんだよね。


 だからまぁ、他人から法力をもらえるように知恵を授けてやったってわけ。


 どう?別に悪いことなんてしてなくない?」


 そういって魔術師は悪びれることなく嗤っている。



「というかねぇ、そういう君だって”代償効果”でとんでもないレベルのスキルが使えるわけでしょう?



 そうやって”王の力”を手にしておいて、同じように強い能力を求める者を批判はできないんじゃないかなぁ?」



「好きでこうなったんじゃないよ。それに”王の力”ってどういうことだ?」


 コールスが聞き返すと、ミルティースは、



「おや、知らないのかい?へぇ~……」


 といった後、黙ってしまった。



「ちょ、ちょっと何?知ってるなら教えてよ!」



 とアナスタシアが問いただすと、


「じゃあ、教えてあげてもいいよ?ただし、私の仲間になってくれるならね?」


 と魔術師は言い出した。



「ふざけるなっ!誰が!」



 コールスが反発すると、ミルティースは嗤った。



「フフフ、そうか、ざぁんねん!それじゃ、これ以上用もないし、帰ろうか、な!」



 すると、レオネアの身体がふわりと浮き上がり、風のように向かってきた。



 すぐにその狙いが、ソフィヤであると分かった。



――彼女を連れ去るつもりか!?




 だが、近くにいたアナスタシアが、


「ダメ!」


と庇いにかかる。



 その瞬間、わずかに口角が上がるのを見てとったコールスは、ミルティースの真の狙いが、アナスタシアであると見抜く。



「……させないっ!」



 コールスは”脚力強化”で一気に距離を詰めると、レオネアの手を掴んだ!


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