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32.信頼、崩れて

「頭領……」


 再び呟くと、コールスとアナスタシアに支えられながら、ルミナは立ち上がった。



「る、ルミナ、無事だったか?」



 ダンフォーは卑屈な笑いを見せた。



 ルミナは眉間のしわを深くすると、低い声でたずねた。



「どうして、どうしてアタシの中に蟲を入れたの?」



 そう言って腕の斑点を見せる。


 ダンフォーは目を円くして驚く。


「お、お前どうしたんだその腕は」


 

 あくまでもしらをきるつもりなのだろうか?



 蟲など知らないというつもりなのだろうか?



 ダンフォーの白々しい態度に、ルミナは首を振る。


「どうしたも何もない。頭領が仕込んだんだろう!」



「いやいや、蟲なんて。可愛がっているお前にそんなモノを入れるわけ――」


 頭領のごまかしに、ついにルミナが切れた。



「いい加減にしろっ!前からアタシは知ってたんだ。アンタがミルティースと組んで蟲を飼っていたことを。


 アンタたちが蟲について話しているのをこっそり聴いてたんだ!」



「!」


途端に、ダンフォーの顔が青ざめる。



「だから、黒い斑点が出たときはショックだったよ。


 どうしてアタシが、って。


 なんで、先に話してくれなかったのか、って。


 でも、アンタを信じたい気持ちもあった、


 これはきっと作戦のうちなんだ、伯爵家を混乱させる手の一つなんだ、って。


 だから、きっと助けに来てくれるって信じようとした。


 なのに、どうしてこの3日間何もなかったの?


 ここで治療を受けていなければ、アタシはもう死んでたんだよ?」


 その上、蟲について黙っていたことを謝るかと思えば、しらばっくれようとするし、最低だよっ!

 

 もう信じられないんだよっ!」



 そこまで言うと、ルミナは隠し持っていたナイフをダンフォー目掛けて投げつけた。



「くっ!」



 咄嗟に避けたためにナイフは腕を掠めただけだった。



「ダメ、か……!」



 殺害が未遂に終わり、思わずルミナは膝をついた。



 看護師が彼女を急いで抱きかかえて、ダンフォーを睨みつけた。



「この子はこちらで保護しました。もうあなた方の言いなりにはさせませんよ!」



「顔を合わせれば、もう一度自分になびくと思ったみたいだけど、甘かったね。


 

 長年築いた信頼も崩れるときは一瞬なんだよ!」



とコールスが叫ぶ。



「……!」



 大男は、青ざめた顔で脂汗を流し、ぐっと押し黙っていたが、突然、



「ふ、ふふ、ふふはははははは!!」



 と笑いだした。



「!?」



 周囲がぎょっとしていると、ダンフォーはニヤリと大口を開けた。




「なるほど、もはやこれまで、か。……だが、このダンフォー、ただでは死なんぞ!」



少し短めですみません。

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