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25/84

25.スキルレベルの差

 1時間後。




 盗賊たちは皆捕えられて、城の広間に拘束されていた。




 縛り上げられた集団の中心で、




「くっ、貴様ら、一体何をしたんだっ!」




 盗賊の頭領らしき人物が、悔しそうに叫んだ。






 どうして伯爵家の兵士たちが、自分達を捕えることができたのか、まったく信じられないという様子だ。






 コールスは進み出ると、頭領と対峙した。






 その少年の姿に、盗賊たちの一部から悲鳴があがった。






 コールスが昨日、すさまじい剣気で盗賊たちを葬る様子を目撃した者もいたからだ。






「難しいことはしていません。“領域探知”と“気配遮断”、そして“不可視化”のスキルを使っただけです」






 コールスの言葉に、頭領は、ケッっと唾を吐いた。






「バカな!それは俺たちが最も得意とする術だ!貴様らごときに後れを取るわけがない!」






「ですが、lv.99まで極めておいでではないでしょう?」






「な、何っ!」






「訳あって、僕はいずれも最高レベルで使うことができるんです。




 まず、“領域探知”によってあなた方の“気配遮断”と“不可視化”を見破ります。




 そして、最高レベルの“気配遮断”と“不可視化”で兵士の皆さんの姿を覆い隠して、あなた方の背後に送り込んだんです」






「……!」




 頭領の脳裏を、自分たちが捕まった瞬間がよぎったようだった。






 実際、火矢を城へと放とうとしていた盗賊たちは皆、刃を首元に突き付けられるまで、兵士たちの存在に全く気づいていなかった。






 悪魔に遭ったかのような目でコールスを見ていた頭領は、やがてため息をついた。






「くそっ、こんな化け物を敵に回すとわかってたなら、暗殺計画になんぞ乗らなかったものを!……そのあげく、ジェイクまで無駄死にさせちまうとはよ!」






 ジェイクとは恐らく、コールスに敗れて自害した仲間のことだろう。




 頭領はがっくりとうなだれた。



 そして、



「盗賊に身を堕とした時から、いつでも死ぬ覚悟はできてる。


 俺の首はくれてやる。


だが、その前にもう一度だけ、ジェイクに会わせてくれねぇか?」



 と言った。



 コールスは傍にいるタクトスに視線を送った。



 彼は盗賊捕縛作戦の指揮者として、クレアからこの場を任されていた。



「いいだろう、ここに遺体を持ってこさせよう」


 とタクトスは頷き、部下に指示した。



 間もなく、自害した盗賊の遺体が運ばれてきた。



「もっと近くで見せてくれ」


 と言う頭領のために近くに持っていく。



「あぁ、ジェイク!こんなになっちまって、すまなかったなぁ……」



 遺体を前に泣いている男の姿を、アナスタシアは痛ましそうに見つめている。



 たとえ敵であった者にも、憐れみをみせる少女を、コールスは



――優しい子だな。


と思った。



 その時突然、頭領は死んだ仲間の顔にフッと何かを吐きかけた。



 その何かは見開いたままになっていたジェイクの胸元に当たった。



 すると突然、遺体のあちこちからシューっという音とともに煙が噴き出して、辺り一面を瞬く間に覆った。



「こ、これは!?」


「爆発するぞっ!」



 誰かの声が響き、



「ひぃ!」


「危ねぇっ!」



 兵士たちは一斉に遺体から離れるように逃げ出した。



 コールスもアナスタシアを逃がそうとしたが、すぐにハッと気づき、鑑定スキルを発動させて、遺体を“鑑定”した。



 そして驚きの声を上げた。


「これは、爆発なんかしない、ただの煙幕だ!」



 そのとき微かに足音が聞こえて、コールスは反射的に剣を抜いた。



 ギィイン!!



 銀色のナイフが閃き、コールスはそれを素早く弾いた。



「誰だっ!」


 アナスタシアを庇うようにしながら剣を構えるコールスの目の前に、一人の覆面が立っていた。



 ナイフを構えた小柄な姿。



 その瞳には見覚えがあった。



 昨日、コールスを追いかけてきた、あの少女だ。



「ルミナ!?」

 


 コールスの声を聴くと、少女は襲い掛かってきた!


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