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黒の聖女の冒険譚~思い出をアルバムに収めて~  作者: ぬけ助
第9章 世界の牢獄クアトラーダム
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第66話 虹の根本へ


 その後来た道を戻り、街に戻った一同だったがそこでタロの母親と再び出会うことになる。


「かーちゃん! 左遷は取り消しだよ! これでかーちゃんのやりたいことは続けられる!」


「タロ! 無茶なんかして……でも、ありがとう。皆さんもうちの子に何かしらのフォローは入れてくれたのでしょう? ありがとうございます。」


 頷く一同。そこに意外な人物が現れた。


「ごきげんよう、ヤム様。左遷はなくなったようで何よりですわ」


「フタバさん! 聞いてくださいようちの息子がね……」


「ええ、ええ。先ほどの話は聞こえてたので把握してますわ。それはそうと、またお会いしましたわね」


 フタバ。幾度となく陽子の前に現れた謎の魔族。クアトラーダムで会いましょうと伝えられたのもどれぐらい前だっただろうか。そんな彼女とこの場所で対峙することになった。


「クアトラーダムの外で会えるなんて幸運ですわ。陽子様。旅は順調ですか?」


「うん……いろいろあったけど……」


「せっかくですので、わたくしのうち迄来ませんか? 護衛馬車もあって罪人もおりませんので安心…ですわ」


「待ちなさい。ヨーコを勝手に連れて行こうとするのは看過できないわよ。そもそも、あなたはいったい何者なの?」


「前も言った気がしますがレディには隠し事がつきものですのよ? そういえばスティックメンの方が見当たらないようですが……」


「療養中だよ。ルインメーカーって知ってるか?」


「もちろん。ルインメーカーが倒されたと風の噂で聞きましたので買い物に来たのですわ」


「魔王様ならともかくなんで知ってるんだ? まだ倒れてから数日しか立ってないのに?」


「……おっと、言い過ぎましたわね。それでは皆さま、ご機嫌よろしゅう。改めて、クアトラーダムで会いましょう」


 タロは逃げるようにして立ち去るフタバを追おうとしたが、ローゼスに止められる。


「タロ! あいつが気になるけど一度、拠点に戻ってメリー達と話をした方がいいわ。クアトラーダムに行くにしても行かないしても」


「あいつ、何か知ってそうだから行く前に聞き出したかったよ……オイラ行きたくねえよ。クアトラーダム」


「トリアエズ、館に戻りマショウカ」


「タロ! 怪我はしないようにね!」


「あっ、ありがとうかーちゃん! オイラ、頑張るよ!」


ヤムやフタバと別れたのち、一同は拠点に戻っていった。


***


 トロールの襲撃、タロの直談判、館に帰るまでの話をしていく。ローゼスの推察の事ももちろん話した。


「ふーむ、予言が終わってないとなると続きの予言が気になりますな。確か……」


「星降る夜、始まりの地で終焉率い双頭の竜出ずる」


 それを聞いてサンゼンが頭を抱える。


「どうしたの?」


「次の星降る夜までもう二週間だったと思うんだが……」


「ちょっと!? それかなり危機的じゃないの!?」


「始まりの地……娯楽都市の事かな……学術都市からカスミ峠を越えれば向かえるけど……」


「じゃあ、今から向かうのか? 娯楽都市に」


「お客人達、少し落ち着いた方がいいですぞ。流星群の対処ができないと無謀だと思いますぞ」


「ハディンさんの使ってきた『伝説の音紡ぎ』だよね……対抗する方法……何かあるのかな?」


「目には目を歯には歯をといいますぞ。伝説の音紡ぎの楽譜の行方はこういわれてますな。一つは時空の狭間に。こちらは二週間で見つけるのは不可能でしょうな。一つは信頼できる吟遊詩人の友人に。これがおそらくハディンの持つ流星群。そして最後の一つは元の歌の楽譜にばらされて謎のスクロールとして世界各地に……」


「……どれも手に入れるのは不可能じゃないかな?」


「タロ殿。まだ続きがありますぞ。そしてばらしでもなお残った楽譜は虹の根本に……イーリス王国のイーリスというのは虹という意味を持ちますぞ」


「……ツマリ、その残った楽譜が虹の根本…イーリス……クアトラーダムにあるト?」


 それを聞いて複雑な表情をしたのはタロ。


「そういえば、魔人協定のヒトの遣いがパスト・イーリスにとあるスクロールの保管を頼んだ、みたいなのを教科書で読んだぞ……でもそれってかなり昔の話……」


「あの流星群に対抗デキル手段がアルならば取らない選択はないのデハ?」


「おい、タロ。クアトラーダムが地獄って言われてるのは知ってるけどそんなにビビッてどうしたんだよ。お前らしくねえぞ」


 そういわれて、みんな聞いてくれとタロが意識を集めて話し始める。


「あそこは、トロールが、いっぱいいる」


「……冗談よね?」


 本当だ。あそこはトロールであふれているとタロの言葉を補強するようなことをいうチェーヒロ。それを聞いて、考え込む一同。


「それに、あそこは悪感情を増幅する瘴気で満ちている。あのフタバってのはマジシャンといってな、パスト・イーリスの学者……言わば考古学者だ。マジシャンやその護衛の浄化者は瘴気の対策法を知っているが、あの瘴気に触れ続けると、最終的には気が狂う。重罪人の収容所になるのも納得だ。死刑のようなものだ。仮に正気でパスト・イーリスにたどり着いて引き返すのはよほどの馬鹿だ」


「私の思った以上に危険地帯なんだね……でも……」


 少し俯いて考えていたが、振り切るように顔を上げる。


「行こう。ハディン……さんをそのままにしておくわけにもいかないし、フタバさんの言葉が気になるから」


「ヨ、ヨーコがいうなら仕方がないなあ……! オイラも、気合入れてやろうじゃないか!」


「瘴気の対策法を調べられないかしら? トロールの戦いのときに浄化者がいたでしょ?」


「決まりましたな。明日旅立ちの準備を始めるといいですぞ」


 サンゼンはトロールの気は読みやすいから俺も行った方がと最後まで言い切る前に、ローゼスに休んでなさいよと止められる。


「とりあえず、皆今日は寝なさい。解散」


 その言葉で皆、それぞれの部屋に戻って就寝する。

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