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黒の聖女の冒険譚~思い出をアルバムに収めて~  作者: ぬけ助
第8章 輝きの塔と狂王の槍
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第60話 集光塔第四層・モノリスデスマッチ

第四層。そこは一転して広場となっていた。陽子たちは通り抜けは簡単なように感じた。

しかし、タロがそれを制止する。


「まった! ここはかなり危険だ。」


「何もないけど、ここは何があるの?」


「ここはね、防衛用のゴーレムがいるんだ」


「それを倒して奥に進めってことだな? 簡単じゃないか」


「確かに君たちなら難しくないかもね。でも『掴まれたら』すぐに振りほどかないといけないよ。それだけは覚えておいてよ」


「おう、覚えておくよ。じゃあ行くぞ」


 歩を進めて広場の中央へと向かえば、ずんぐりむっくりのゴーレムが立ちはだかる。顔の代わりに砲口がのぞいており、分厚い装甲はやわな武器や飛び道具を受け付けないといった風であった。

それだけではない、広場を囲むように大量のモノリスがせり上がってきたのだ。


「ちっ……そういうことかよ……! 金網デスマッチならず、モノリスデスマッチといったところか…!」


「皆、立ち位置に気を付けて! 空気が震える感覚がしたらすぐにその場を離れる事!」


「真ん中で食い止めるぞ!」


 サンゼンが飛び出して迫るゴーレムを食い止める。しかしさっそくつかまれてしまった。


「くそっ、力が強い……!」


 床にぶん投げられたのをいいことに、受け身を取って着地する。


「こいつ、近づき過ぎたらだめだ! 受け身取れなかったらそのままモノリス地帯に突っ込むぞ!特に陽子! こいつに狙われないように気をつけろ!」


 そういって、今度は側面に回りこむようにしながら攻撃を始める。しかし、散弾のような魔法弾を砲口から発射し、後ろの方にいたローゼスと陽子を傷つける。


「散弾…! 足元には当たらないみたいだけど、近づくのは危険……どうすれば…」


「オイラとアカリで盾で中距離で壁を作るからその後ろでうまく立ち回ってよ!」


「うん…! 黒よ、傷を削れっ! 私は大丈夫!」


 その時ゴーレムは跳躍して、重量を利用したプレスを放つ。衝撃で一同は転ぶがすぐに立て直す。ローゼスやヨーコの飛び道具は殆ど効いてないようで、一方でサンゼンの負傷が次第に目立ってきた。


「うう、どうしよう……距離が離れすぎているから回復がしにくい……サンゼンさん! 大丈夫!?」


「お、おう……なんとかな…! 俺が前に出ていれば、陽子達は怪我せずに済むんだ……」


「馬鹿! 誰かが犠牲になるなんて嫌だよ! タロさん! サンゼンさんと交代して!」


「オイラ登場~! やってやる!」


「助かる…!」


 タロは双陽棍を構えて、素早く装甲に振り下ろす。鈍い打撃音が確実なダメージを与えていることを示していた。


「こういう使い方だってできるんだ! 見とけよ!」


 鉄球を振り回して、ゴーレムの脚部に鎖を巻き付けた。攻撃力は下がるが、武器を握っていれば掴まれても鎖で踏みとどまることができる。その裏で陽子はサンゼンの治療に専念していた。しかし、それめがけて何かを発射するゴーレム。急いで矢で迎撃するローゼス。電気を伴う爆発が周囲に広がり、アカリがその爆風に巻き込まれてしまう。


「アカリ! ごめん、大丈夫!?」


「ハ……ハイ……感電して一時的に機能低下していますガ、ナントカ……」


 それからは一進一退の攻防が続いた。散弾を防ぎきれず負傷したり、復帰したサンゼンがお返しといわんばかりに強い蹴りを入れたりと、お互いにダメージが蓄積していく。


「大体相手のやることはやってきた感じかしら……射角の違う散弾に、電気を伴う爆弾、掴みにパンチにプレス……シンプルだけど厄介ね」


「散弾が来マス! お二人はウシロに!」


魔法の散弾が盾に防がれる。


「よし……今度は……ってあぶねえ! いつの間に端の方に寄っていたんだ……」


 空気の震えを感じて反転、中央に戻る。そう、この戦い敵はゴーレムだけではない。周囲のモノリス……戦う場所も気を付けなければならないのだ。反転したサンゼンめがけてプレスを放つゴーレム。素早くローリングでかわして即座にアッパーで反撃する。それに対して爆弾を三つ発射する。かん、かんと弾んで一つはモノリスの方へと転がっていき、一つはローゼスが安全に撃墜する。そして一つは……


「何処かしら……!! ヨーコ!」


「えっ、わっ……きゃあ!」


 とっさにぶんと杖を振る。偶然、爆弾に命中し撃ち返される。ゴーレムもこれには対処できずに爆発をもろに食らう。感電して隙を晒す。


「ヨーコ! ナイス! 一気に叩き込むぞ!」


 機能が低下しているその隙に一斉攻撃。飛び道具も今なら通った。そしてついにゴーレムは倒れる。


「よし、やったな! これで先に進め……」


「!! エネルギーが増加してる……! 離れてクダサイ!!」


 最後に自爆する。なんとか直撃は免れたが、近くにいたタロとサンゼンは少なくない負傷を負う羽目になった。


「いてて……あの爆弾やモノリスもそうだけどオイラ知らなかったよ……」


「ヨーコ、治療を頼めるか?」


「もちろんだよ、二人ともこっちに来て」


 治療が終われば最上層にたどり着ける。その時だった。壁をぶち破って、大槍を持ったシスターが飛び込んできた。それはモノリスを悉く破壊して、ローゼスの前で斃れる。そう、ルインメーカーだった。

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