表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人の魔法師と五つの魔導書  作者: 手鞠 凌成
一章 戦闘訓練
7/23

戦闘訓練その4

やっとかけた7話です。


ぜひお楽しみ下さい


追伸。投稿後、ルビなどの訂正があるので、実際の完成はその数分後となります。ご了承ください。

(前方に三体……斜め右に五体……左に四体……でも、まだその奥にいる……)


 レスティアは横目でテスラを見る。足は笑ってはいるものの、目には小さながらも、確かな闘志が燃えている。


 レスティアは不敵に笑うと、指示を飛ばした。


「テスラ、何か少量の魔力且広範囲で、地面を濡らす術ってある?」


「あ、ありますけど……何でですか?」


「お願いできる?」


「は、はい。やってみます!」


 テスラはレスティアの意図が分からなかったが、取り敢えず従う事にした。


 深呼吸をし、精神(マインド)を整える。吐くと共に、意識を外部意識へと移す。そして、自分の魂を自然界へ溶け込ますようなそんな感覚へ――堕とす。万物に存在する精霊(スピリット)に呼びかけるように、言葉を紡いだ。


「《大いなる水の恩恵あれ》」


 すると、上空に幾何学文様みたいな魔法陣が組み上がると、ザーーッと、突然雨が降り出す。

 しかし、その雨は【土の巨兵(ゴーレム)】のいる周辺にしか影響が及んでいなかった。


 水魔法【フォールレイン】。水の精霊(アクチュアル)の力を借りて、範囲を限定し、擬似的な雨を降らすことが出来る魔法。殺傷能力はもちろん無い。


 が、テスラは内心楽しみにしていた。


 一体、レスティアはどんな術を見せてくれるのか、と。


土の巨兵(ゴーレム)】の身体には雨が打ち付けるのみで、歩みを止める筈もなく。レスティアのいる方向へ徐々に徐々にと詰め寄っていく。


 間もなくして雨は止み、空から陽が零れ落ちる。水滴は球のように煌き、ぽたっと葉から滴り落ちた。


 レスティアは左掌を前へ突き出し、演唱(スペリング)する。


「すぅー……《自然より齎されし神の仔・主の名の元に大地を揺るがせ》!!」


 瞬間、それに呼応するように、ゴゴゴゴ……。地面が揺れ出すと、巨木の幹程ある蔦が、地面から無数に生え、次々に【土の巨兵(ゴーレム)】の全身に絡み、纏わり付き、動きを停止させた。


 そこから、テスラは討伐するのかと思いきや、レスティアはテスラの手を引き駆け出した。


土の巨兵(ゴーレム)】との距離はどんどんと離れていく。


 走りながら、


「レスティアさん! あの【土の巨兵(ゴーレム)】倒さなくていいの!?」


 単純な疑問をレスティアへぶつけた。


「大丈夫、気にしなくて良いから」


  が、レスティアは優しく微笑み返した。


「………?」


 テスラの疑問は払拭されないままであった。


 しばらく進んで行くと、


「おーい、レスティアー」


 遠くから自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。その方向を見目をやると、ある一本の木の下に二人の少女がいる。


 ケレスとシュライだ。


 シュライは木を背もたれにし、ぐったりと座っていて、ケレスは大きくこちらへ手を振っていた。


 レスティアとテスラは、顔を見合わせるとふふっと笑みを零し、二人の元へ駆け寄った。


「なぁ、さっきの地鳴りって何? まさか、レスティアちゃんがしたの?」


 レスティアは答えようと口を開き――


「はい!! レスティアさんの魔法です!! 」


 その前に、テスラに先に言われてしまった。


「レスティアさんね、巨大な蔦を地面から湧かせ、数十体の【土の巨兵(ゴーレム)】を一網打尽にしたんです!!」


 テスラの目はキラキラと輝いていた。


「おぉ……流石レスティアちゃんだな……」

 

「ううー、シュライもみたかっです……レスティアの術」


 するとレスティアは何か思い出し、袖口に手を触れた。

 四角形が展開され、四人の残りHP(パラメータ)を確認すると。


 レスティア、テスラ、ケレスは多少のダメージは受けているものの、ほぼ無傷に等しい。


 シュライはケレスの回復魔術(ヒーリング).がのおかげか、半分まで数値が戻っていた。


 ほっとレスティアは胸を撫で下ろした。


 取り敢えずは安心だ。


 と、キュルル〜………。


 何か音がなった。レスティアは周囲を見ると、シュライが両手でお腹を抑え、俯き、耳は真っ赤に染め上げている。


 全てを察したレスティアはパンっと手を叩いた。


「さ、ご飯にしましょうか?」


 四人は各々に虚空に、コードを描く。するとぽっかり、空間に穴が空いた。そして、手をその中へ伸ばし、包みを取り出す。


 ――昼食の時間だ。


 彼女らは向かい合うように円になると、弁当を広げ、そのまま話しに花を咲かせた。


 先刻、開いた穴は『亜空間転送式収納(レジスト・リュック)』だ。この学院には自分の持ち物を保管する場所がある。そこから、この術と専用の個人コードを通すことで何時でも何処でも、自分の持ち物を取り出すことが可能なのだ。ただし、本当に少ない質量のものしか運用できないので、実戦となるとほぼ使えない。


 魔術師(ウィザード)魔法師(マジシャン)では、遺跡などの探索調査の場合はバックパックを持参するが、戦闘、闘争等の時になると只の邪魔でしかならない。

 そのため、簡易的にベースキャンプを設け、そこに備蓄や食料を蓄える。


 しかし、今回は模擬戦闘――訓練であり、戦闘者は大人ではなくジュニアだ。流石に、規模としては小さいが、そこまでではない。この『亜空間転送式収納(レジスト・リュック)』はこの場でいえば画期的な機能(システム)だと言えよう。


 すると、もぐもぐと美味しそうな卵焼きたべていたテスラが口を開く。


「そう言えばレスティアさん、なんであの時地面を濡らしたんですか? 貴女の技量なら、そこまでしなくていいと思ったのですが……」


「そうなのか? レスティアちゃん。 あー、本当に見たかったな〜」


「シュライが、こんなミスさえしなけらば……」


「でも、シュライのあの身体強化と体術、身のこなしは流石の私でも、無理だな」


「あー、あんな一瞬でゴーレム(あいつ)の後ろを取るなんて、スゲーよ」


「はい! シュライさんも凄かったですよ!」


 そんな、絶賛の言葉に


「へへへへー、そうかな〜」


 顔はトロンと、バターのみたいに溶け、満更ではない笑みを浮かべた。


 皆に褒められ嬉しかったようだ。


「えっと、地面を濡らした理由についてだけど……言っちゃうと、大地の精霊(アースリスク)への”感謝"かな?」


「「「”感謝”?」」」


 三人の声が合わさった。


「そう、"感謝"。大地の神(ガイア)の仔に、貴方の自然を使わせてもらいます、っていうね。まぁ実際は"代償"と”対価"で成り立つものなんだけど……大丈夫?」


 テスラ、ケレスは何とかその話しに付いて行けてはいるが、シュライに至っては故障したロボットのように「だい……しょ……う。た……いか………?」と、唸っていた。


「分かり易く言うと、金貨で物を買うみたいなものかな?」


 すると、


「あ、そういうことね!! それなら分かるよ!!」


 身を前傾姿勢にし、弾けるような元気な声で応えた。


「シュライ……そこは頑張ろうぜ?」


「はい。私も大丈夫です……」


「じゃあ、続けるね? その"対価"と"代償"についてだけど、テスラをは魔法を使う時、何に心掛けてる?」


「? えっとですね……万物に存在する神の仔――精霊(スピリット)に、自分の身を捧げるように、呼びかけてますかね」


「そう、基本的考えはそうだよね。魔術は『内部に宿るマナを使い、生成する』魔法は『精霊(スピリット)により与えられし力を用い、形成させる』……これは既に中等学校の時に習ったよね」


「当たり前だろ。そんな、基本中の基本のこと。一番初めに習った奴だぞ、それ」


「はい。それなら、存じております」


「シュライだって、それくらい分かるもん!」


 と、頬を膨らまし、謎の意地を張った。


「でも、事実、それは上辺だけの"概念"であって、本来はもっと奥深くにあるの」


「まさか……それがさっにレスティアちゃんが言った"対価”と”代償"って事か?」


「うん。皆結構無意識には使ってる人もいると思うけど、そうなの。魔術を使うと内部マナも減る。当然だよね。でも、そのこと自体が既に"代価"と"対価”に繋がってるの。自分のマナを消費する――”代償"――の代わりに、魔術が力を行使する――”対価"ここで成立するの。だから、"代償”の分だけ魔術も強化される」


「へー、そうだったんだな。あんまり意識してなかったな。魔力欠乏をしない事だけを考えて使ってたからな……」


「す……凄いです……」


「ぷしゅ〜……」


 シュライの頭はオーバーヒートし、目をぐるぐるさせる。今に頭から煙が立ち上りそうだ。


「レスティアちゃん。シュライの事は気にしなくていいから、続けてくれ」


 そんな促しに、レスティアはシュライを気にしつつも説明を継続した。


「えっと〜、魔法も同じで、自らに宿る魔力、"代償”を精霊(スピリット)に支払う事で、その精霊(スピリット)が"対価”として、力を与えてくれるの。あの時使った術――白魔法【テクノスワップ】は、実際にはあんな高威力魔法じゃないの。勿論それは魔力容量や魔力濃度によって異なるけど、あんなには太くはならない。

 私の魔力全部使ったとしても、あんな巨大な蔦は形成されない。じゃあ、何故あんな事が出来たのか……」


 すると、ここでレスティアは焦らすように言葉をを溜めた。


「まさか……わたしの、あの雨?」


「そういう事。確かに、実力があっても魔力容量が少なくては意味が無い。でも、その魔力の代わりとなる別の""代償"を支払えば、話は別。精霊(スピリット)はその分だけ、応えてくれる。あの【フォールレイン】は魔術によって作られた技。つまり、魔力を変換しただけの産物に過ぎない。だから、あれをする事によって、私の魔力容量から補え切れなかった分か"代償"として差し出されたから、強化できたって訳。………何か、長々のごめんね」


 いつの間にかシュライはスースーと穏やかに船を漕いでいた。テスラは真剣にその話しを聞いていたため目はバッチリ開いている。


 でも、ケレスはこくこくと頭を上下に動かし、夢と現実の狭間を彷徨っていた。


 ――と、ケレスは起きたのか、微睡んだ目で辺を見渡す。途端にケレスは目を見開き、何かに驚いたように、あたふた慌て、正座。身体をレスティアの方へ向けた。


「………す。すまん……つい、寝ちゃって……」


「気にしなくていいよ。長く話したわたしも悪いんだし、あと皆疲れてるしね」


「ごめん………」


 あの活気は何処へやら。肩をしゅんと縮こませた。


「あ、そう言えばレスティアさん! 何で【土の巨兵(ゴーレム)】を討た無かったんですか?」


「あー、それはね――――」



 ―――――…………。


 ―――………。


 同時刻。とある場所の木の根元にて。


 クロネスの一言によって、四人は談笑しながら弁当に箸を進めていた。



読んでいただきありがとうございました。

やっと書けた7部はどうだったでしょうか。

今回は読んでの通り、魔術、魔法の基本の理念と深層概念について、説明しました。

レスティアの負担が多いですが、そこはまぁ、はい笑

戦闘描写は少なくては、会話を増やしました。

そして、そのあとの並行視点移動……

第8部もがんばって書こうと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界 バトル系 世界を楽しみたい
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ