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二人の魔法師と五つの魔導書  作者: 手鞠 凌成
一章 戦闘訓練
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戦闘訓練その2

やっと戦闘描写に入ることができました。


是非お楽しみにください

 ――ドォォォォオン。


 ――ドカァァァァン。


 爆発音がそこかしこから鳴り響き、大地を揺らす。


 それは、何処かの場所で何処かのチームが戦闘が始まった合図であった。


 そしてそれは、クロネスチームも然りであった。


「なっ……!」


 今回の標的(ターゲット)である【土の巨兵(ゴーレム)】が突如、地面から這い出てきたのだ。


 しかも、背後から。


 大小異なる石を無理やり繋げ、手足胴体、そして頭を形成させたような姿。


 クロネスは一瞬で気配を感じ取ると、体を反転させ左掌を前へ突きだした。


 クロネスの謎の行動にドゴル、クリス、キャロスは何事かと後ろへ振り返ると土で創成された巨体が今にも襲いかかろうとしている所であった。


 突然の出来事に三人の身体は動かず、膠着したがそれを置き去りにしてクロネスは演唱(スペリング)した。


「《暗黒なる斬撃よ・全てを呑み・無えと帰せ》!!」


 左掌から放たれた、黒い斬撃は真っ直ぐに飛び、【土の巨兵(ゴーレム)】の胴体を横に真っ二つに切り裂き、破壊する。


 記念すべき一体目であった。


土の巨兵(ゴーレム)】が土に還るのを見送ると、どっと緊張が解け、疲れがクロネスに押し寄せてきた。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


「「「え、うそ………」」」


 突然の出来事に唖然とし、まだ理解が追いついてない中三人から絞り出された言葉がそれだった。


「ち――――っ! おい、 迎撃体制を取れ!! 周囲に目を配らせろ!!」


 咄嗟にクロネスから放たれた指示にドゴル、クリス、キャロスは戸惑いながらも魔術、魔法を使う体勢へと移った。


 四人は背中を内側にし円を作ると、全ての”動き"に目を

 光らせた。


 ――葉の靡き――木々の揺れ――土の動き………。


 と、キャロスの前方、数メルト離れた先の地面が徐々に膨れ上がっているのが見えた。


「クロネス! 僕の前方、推定十メートル先に地面の不自然な動きがあるよ!!」


「ナイスだクリス! 」


「おい、クロネス。こっちもだ」


 ドゴルがそう伝え、


「クロネス! ぼくも、見つけたよ!!」


 キャロスも、笑顔でそう言った。


 クロネスも自分の視界の端に地面の不自然な丘陵を発見した。


 数として四体……とクロネスは念頭に起きつつ、この後どうするべきか思考を巡らせた。


 そうこうしている間にも【土の巨兵(ゴーレム)】の体は生成されて行く。


 間も無くしてズシン、ズシンと辺りに大きな足音を響き渡らせながら、四つの巨体はゆっくりとこちらへ向かって来た。


 囲まれてしまったようだ。


「なぁクリス」


「どうしたの?」


「全方位攻撃の魔法はあるよな?」


「うん。勿論あるけど……」


「よし……。ドゴル。俺が合図したらお前は目の前にいるもう一体を討伐しろ」


「嗚呼、了解だ」


「キャロスは、もし俺達が倒し切れなかった場合。トドメをさせ」


「うん! 分かった!!」


 クロネスはゆっくりと目を閉じ深く息を吸うと、意識を集中させた。


 ――そして、【土の巨兵(ゴーレム)】の眼前に現れた瞬間。


「ドゴル! 行くぞ!!」


 その掛け声とともにクロネスと、ドゴルは同時に大地を強く蹴った。


 クロネスは【スプリゲン】を使い、迫ってきた巨大な拳を跳躍し躱すと、すぐさま演唱(スペリング)した。


「《暗黒なる斬撃よ・全てを呑み込み・無えと帰せ》」


 闇の刃は【土の巨兵(ゴーレム)】の身体を斬り付け、そのまま崩れ落ち――なかった。


 深いダメージを負わせた筈なのに、未だに顕在していた。


(―――っ!!)


 クロネスは倒せなかったことに焦燥を感じつつも、再演唱(リスペリング)した。


 斬撃は見事に【土の巨兵(ゴーレム)】の頭に命中すると、砂の粒子となり、消え去った。


(何で一発で倒さなかったんだ……さっきは倒せたのに……)


 しかし、考える暇は無かった。【土の巨兵(ゴーレム)】はあと二体も残っている。


 クロネスは地面まで辿り着く数秒の間に【土の巨兵(ゴーレム)】の位置と場所を確認した。


 ドゴルと対峙している一体は自分の斜め左側、


 残りの二体は自分の後方――それぞれ左右に一体ずつ。


 ――――嫌な予感がした。


 爪先が地面に着いた瞬間、クロネスはステップを踏み衝撃を和らげるとすぐさまドゴルの元へ向かった。



「《紫電の双撃よ・彼の物を撃ち据えよ》」


 途端、空気を切り裂くような一閃がドゴルの手から迸った。


 それは瞬きすら許さぬ速度で【土の巨兵(ゴーレム)】の胸部を穿った。


 一瞬、身体をよろけさせたが、すぐに立ち直った。


 ドゴルも負けじと『電撃』を放っていく。


 しかし、中々倒れない。


 中り場所が悪いのかと思い、腹部、腕、頭と撃ってみるも効いておらず、ピンピンとしていた。


 ドゴルはだんだんと、倒せないもどかしでイライラが募ってくる。


 と、【土の巨兵(ゴーレム)】は両手を組むと高らかに持ち上げ、勢いよく振り降ろした。


 それはドゴルに肉博し――死が目の前に広がったその瞬間。自分の右脇に何かが衝突したと思うと思いっきり吹き飛ばされた。


 組まれた両手は大地と接触するなり、砂埃が巻き起こった。そして、たちまちクレーターを完成させた。



「ごほっ、ごほっ」


  ドゴルは咳き込みながらも、視界が未だに優れない中、目を凝らし横を見た。するとそこにはクロネスが俯せとなって、地面に倒れていた。


 どうやら、クロネスが自分に突進してくれたおかげで、間一髪で直撃を免れることが出来たらしい。


 ドゴルは助けてくれたお礼として、感謝を告げようと口を開こうしたがその願いは叶わなかった。


 言うが早いか、クロネスは即座に立ち上がり大きく叫んだ。


「クリス!! 殺れーーーーーっ!!」


 その言葉を聞き取ったクリスはふっと、笑顔を漏らすと

 口を紡いだ。


「《銀の氷狼・万物を凍てつかせ回帰せよ》」


 刹那――吹雪が吹き荒れこの界隈を埋めつくした。


 制服(また、このローブ)には体温調節と空気温度一定の術式が刻まれており、常に人の平均温度である36.5に保たれるようになっている。


 極端な事がない限り維持され続ける。


 そのため、何とか耐えられてはいた。


 周りにいる【土の巨兵(ゴーレム)】に霜が広がっていき、徐々にと動きが鈍くなっていく。


 クロネスはその隙を見逃さ無かった。


「《(デリト)》――《(ローネス)》」


 すると、クロネスから禍々しい霊気(オーラ)が解き放たれた。


 その姿を見た三人はゾクッと背筋に寒気が走る。


 途端に三体の【土の巨兵(ゴーレム)】の身体中にルーン語が羅列した帯が駆け巡ると、ぼろぼろと風化したように崩壊し、数秒も経たないうちに完全消滅した。


「おい、ここにずっと居てもだめだ。ここから移動するぞ」


 クロネスのとんでもな魔術に三人は驚愕を通り越して呆気に取られながらも、クロネスの提案に相槌を打ちつつ、この場を離れた。



(ふーん。こういう戦い方するのか)


 この一組の担当である教師――ドルスは、水晶玉の映像を通し、クロネスチームの戦闘を観ていた。


(【呪縛デリトローネス】か……久しぶりにみたな。

 クリスの氷結魔法も中々だったが……問題は……クロネス。"何故お前はその戦い方"をしっているのだ……。

 まぁいい。さてさて、もう一人の首席はどうなのかな?)


 ドルス教師は水晶玉に手を(かざ)すと、映像が切り替わった。


 そこには、一人の金髪の娘が魔法を華麗に使用している場面(シーン)であった。


(さ、どんな戦い方を見せてくれるのやら……)


 ふっと、ドルス教師は笑みを浮かべた。

読んで頂きありがとうございました。


戦闘描写はどうだったでしょうか。


この「戦闘訓練」はあと数話くらい続けようと思います。


読んでくださった皆さま、次をお待ちください。

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