自己紹介
ドルス教師のいきなりの発言に一組の生徒達は戸惑った。
「じゃあ、1番最初の席の奴から」
すると、燃えるように紅い髪色をした男子生徒が颯爽と立ち上がった。
「俺はバルッシュ=バンだ。得意な魔術は火炎!! 気軽に話しかけてくれよ!!」
ニカッと歯を見せ満面の笑みで言い放った。
補足で言っとくとこの世界では、魔術・魔法が二つ存在している。それは地域や種族、家系等で色々変わり実質定まっていないが、基本的には魔術・魔法のどちらかを使うかはその"個人の特性”によって決まる。
魔術の場合は『世界の理を解き、大いなる神に
より与えられし力――魔素を根源とす』
言い換えると、霊脈から湧き出る"マナ”を身体で感じ取ることが出来るかどうかの話だ。もし、感じ取る事ができ尚且つそれを内部へ吸収する事が可能なら、その人の体質は【魔・Ω型】となる。
魔法の場合は『神より齎れし仔――精霊を遣い、神の名の元に神秘を解く』
この意味は自然に存在する神の仔……つまり"精霊"を第六感で感じ、それと干渉を行い我が物とする事が出来ればその人の体質は【魔・β(ベータ)型】となる。
つまり、このグレロスは【魔・Ω型】だ。
あっつあっつの自己紹介が終わり、グロレスは席に着いた。それを筆頭とし他の人たちも次々と自己紹介を始めていく。
「テ、テスラ=バテスです。わ、わたしの得意魔法は水です! よ、よろしくお願いします!!」
「ドゴル=カルレッテ。得意魔術は電撃だ。よろしく」
そして、順番はクロネス元へ回ってきた。
………はぁ、とため息を吐き、立ちあがる。
「クロネス=バルティーレ。得意魔術は黒魔術。よろしくな」
クロネスは適当に言い終えると、すぐにドカッと落ちるように座った。
そのタイミングでレスティアは腰を上げる。
「私の名前はレスティア=パルド=ロンデウスと申します。得意な魔法は白魔法です。特に、相手の目を晦ます
【エクスフラッシュ】が好きです。以後お見知り置きを」
クロネスに対しレスティアの気品溢れる態度に、周りの男子達はつい、目を奪われてしまう。
ドルス教師はそのレスティアの名前を聞きちょっと驚いたような顔をした。
「ロンデウスって、あの貴族のロンデウス家の事か?」
「はい。ダストレス=ケルト=ロンデウス公爵の娘です」
「お、そうか………確か、白魔法が得意だといったな」
「はい」
「………実は、そのバルティーレ公爵と知り合いでな、今年の入学式にその娘が来るとは聞いていたがまさか、ここで逢えるなんて思って無かった。確か、公爵も白魔法が得意だったな。やっぱりバルティーレ公爵の娘だけある。これからも宜しくな、レスティア」
「はい! こちらこそよろしくお願いします!!」
レスティアは破顔すると腰を曲げ、深々と頭を下げる。
ぱちさちと、比べ物にならない拍手が教室中に巻き起こる。
それを聴きながら──
「――――ちっ」
その隣で、気分が悪そうに舌打ちをした。
時間は経過し放課後へ。放課後と言ってもまだ外は明るく日は高い。太陽が燦然と煌めいている。
教師が教室を出て行くなり、女子生徒達はレスティアの周りに集まってきた。
自己紹介の甲斐があってか皆の頭の中から『畏怖』の概念は消え、『好奇心』が湧き出ていた。
「ねぇねぇ! レスティアちゃんって、あのロンデウスの子供だったんだね! 今度遊びに行かせてよ!!」
「あの〜もし、このあと時間が空いていたら一緒にご飯食べに行きませんか………? もし良かったらで良いんで!」
「えーずるいー、レスティアちゃんが行くならシュライもいくっ!!」
レスティアは笑顔を振り撒きながら、色んな質問や誘いを柔軟に対応していく。
クロネスも他の女子や男子から誘いを受けなくはないが、圧倒的にレスティアのほうが多い。
教室のドアからも、二人を見ようと溢れんばかりに生徒が群れをなしているが、その半分以上がレスティアの方に目を向けていた。
クロネスにとっては、こんな空間が不快でしか無い。
人気者になりたいと言う訳ではないが、どうにもいけ好かない。
クロネスの目にはレスティアの姿だけが写っていた。
しかし、これは好意の何者でもない。
警戒であった。
クロネスは目の前に映る光景が、甘い香りに誘われてやって来た虫のように思えてくる。
………気に食わねぇ。
クロネスは誰にも聞こえない声でそう呟くと、机に掛けてあったショルダーバッグを、乱暴に肩にかけ、この場を後にした。
読んでみて頂きありがとうございます!!
新キャラも登場で活気だってきました。
伏線にも注目して下さい!!!