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二人の魔法師と五つの魔導書  作者: 手鞠 凌成
一章 戦闘訓練
2/23

相対し合う二人

記念すべき2話目の投稿となりました。

目標としては一週間1話ずつ投稿しようと思いますが、

リアルの事情によりできないかも知れません。


今回はあの、入学式が終わったシーンから続きです。

お楽しみください!!

  無事、円滑に終わり新入生改め新一学年は、学園より指示されたクラスに入っていく――――はずだった。


  生徒達は次々と足を一組のドア前で止めては、「キャーーー!!」とか「やっべぇっぞこれ!?」と云った甲高い声をを口々に上げていた。おかげで1組から後へ通づる廊下は完全は妨げられ大迷惑と化してしまった。

 

  不測の事態に、これから担任になるであろう教師達は収集を付けるべく何度も呼び掛けたり、教室へ戻るよう促すも全て上の空。生徒達の声に掻き消され、耳にすら届いていない。教師達は何でいきなりこうなったのか、ある程度予測は出来たものの、頭を悩ませた。


 そんな事何て露知らず、彼ら、彼女らの目の先には前列の席の、隣同士で座っている男女に釘付けになっていた。

 そこに居るのは洗礼された肉体を持つクロネスと、金髪ロングヘアーが特徴のレスティアだ。

 

  この二人から漂う異様なオーラは辺りに及ぼし、誰も近付けようとしなかった。しかもその周辺だけこの空間と隔離したみたいな、また別の世界が広がっているような感覚がし、その領域に一歩でも入ろうもんなら二人から放たれる圧力(プレッシャー)が容赦なく精神を削ってきそうだった。

 

  もう格が違っていた。一人だけならともかく二人一緒となると最早恐怖へと変わり果てる。そのため、他の生徒等はその周辺から眺めるような形となってしまうのだ。


  ともかく、二人を目に灼き付けようとする生徒が寄って集まっていた。


  そんな中。クロネスは一人、心の中で溜息を吐いた。


(はぁ〜〜……何で首席が俺一人じゃなかったんだよ。てか、首席が二人とかありか〜?)

 

クロネスは左隣にいるレスティアを一瞥した。

  横から見ても分かるその美貌に、一瞬気を取られそうになったが頭を振ってその考えを払拭した。

 

(いやいやいや、今回はたまたまなだけであって、もしかしたらの可能性だって十分にあるだろ! 俺は、魔導師になって"あの御方”にお逢いするんだ!! )

 

  クロネスは脳裏に深く刻まれた、一人の魔法師の後ろ姿を思い浮かべた。

 

  威風堂々としていて、戦火の中鋭く光る双眸。そして勇ましくも大きいその背中。


  "その時"のクロネスはまだ幼く、小さかった。


  顔はフードによって隠され全貌は明らかになってないものの、"その時"のクロネスにとっては偉大であり、何より救世主だった。それ以降クロネスはその魔法師に憧れを抱き、彼みたいになりたい!! と、強く願い、勉学に励んだ。


(――そして、俺は立派な魔法師になって"あの御方"にお礼を言うんだ!! そのためには……一位であり続けなければならないんだよ!! それを……)


  ぐぬぬぬぬ…………怒り混じりにクロネスは乱暴に頬杖を着くと奥歯を噛み締めた。


  一方、レスティアと云うと、


(ねぇ? 何でこっち睨んでくるの? 何か貴男(あなた)にしたっけ!? )


  困惑していた。


  何せ、隣の男子がもの凄い勢いで自分を睥睨してくるのだからもう怖いったらありゃしない。

 

  レスティアは多少怯えつつ、横を極力見ないようにした。

 

  ………………。


  落ち着かん!!


(え? 何でそんなに私を見てくるの? なんか顔に付いてたりするの? それともそんなに私の隣が嫌なの!?)


  当然だが、クロネスの心情など分かるはずもなく、

 レスティアは汗が滴るのを感じながら、ちらっと横目で右に座るクロネスの顔を窺った。


  やっぱ怖い!!


  言ってしまえばそれは威嚇だった。

 

  しかもそれは、今にもは縄張りから追い出そうとする獅子の如く、牙(歯)を剥き出しにして。


  今すぐにでも自分の周りに遮音・不可視結界を張りたい所だが、学園の原則により戦闘用の魔術・魔法の使用は緊急時(授業や実践テスト等に置いては例外だが)以外基本的には禁止とされている。


  レスティアは深いため息を吐いた。


  ――多分こいつとは一生馬が合わないな。

  勿論それは心の中で吐いた愚痴であって、実際には言っていない。


  ただ、嫌悪な目で見ているだけだ。


  その瞬間、寒気がこの界隈に走ったと思うと途端に数百度下がったような気がした。


  周りの生徒達も急激な温度変化に戸惑い、温度感知魔法で今の気温を調べてみるも一切と変わっていなかった。


  この謎の現象に生徒達は不思議に感じたが、すぐにその原因は判明した。


  ( ( ( ( あのふたりだ!! ) ) ) )


  生徒達の思いが一致した瞬間であった。

 

  この状況どうしたら………と各々に困り始めていると、


「はいはい!! お前ら席に着け!! 他のクラスの奴のは戻れ! 通行の邪魔だろ! ほら、退いた退いた!」


  人混みを掻き分け堂々と入って来た一人の男性。その傲慢な態度に少し怒りを覚えたが、その男性が教師だと気づくと教室のドア前に群がっていた生徒達は「何だよ」「もう少し見ていたかったなー」と呟きながら三々五々に散って行く。


  一組の生徒らもそれが担任だと分かると、さっきまでの熱気(?)は何処へやら。自分の席へと腰を下ろして行った。


  そして、 レスティアとクロネスに流れていた氷獄の空間はその一言により制止すると、お互いに嫌味を感じながらも姿勢を正した。


  男教師は教壇へと上がると、脇に抱えていた名簿と思われる冊子を強く教卓へ叩き付ける。


  バンッ! と突然響く音に皆は身体を一瞬跳ね上がらせた。


  教師は面倒臭そうに頭を搔くと、言葉を紡いだ。


「一年一組の担任となったドルス=ワーグナーだ。

 いきなりだが自己紹介をしてもらう。いいな?」


 こうして、不安と緊張が入り交じった学園生活が始まった。

読んでいただきありがとうございました!!

誤字、脱字、または修正して欲しい箇所があったら教えた下さい!!

またこの調子でこれからも投稿していこうともいます。

改めて、読んで頂きありがとうございました!!!

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