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第52話

 俺とユートは山道を歩き、反乱軍の隠れ家を探していた。


「クソッ! なんでこんなところに隠れ家を!!」


「人目に付かないようにじゃない?」


「それらしき建物なんてどこにも無いし!」


「そりゃあ隠れ家だからね」


「クソッ!! 早くしないと!!」


「悠人、少し落ち着いたらどうだい? 気持ちは分かるけど、焦ったってなにも良いことなんて無いよ」


「焦ってなんて居ない! 俺は!!」


 俺は思わずユートを怒鳴ってしまった。

 そうは言うものの自分では良く分かっている、自分が焦っている事も冷静ではないことも……。


「君は……やっぱり僕なんだな……」


「はぁ? いきなりなんだよ……」


 怒鳴った俺に対してユートは笑顔でそう言った。

 

「なんで笑ってんだよ」


「いや……昔の僕と君が良く似ていると思ってね」


「は、はぁ?」


「僕も昔、アーネ攫われた時は焦ったよ……心配するあまり、冷静さを失っい、行き場の無い怒りを仲間にぶつけてしまった」


「……何が言いたいんだよ」


「僕はその時、仲間に言われたんだ……自分一人で抱え込むなと……だから君も自分一人で抱え込まないで欲しい、僕も彼女が心配だ、君は一人じゃない、僕も居るしアーネも付いている。だから……落ち着いて冷静に考えよう」


「………悪い……熱くなってた……」


「分かってくれたなら、それで良いよ」


 ユートの言うとおりだ、心配しているのは俺だけでは無い、ユートだってアーネだって心配してくれている。

 それに俺だけが突っ走ったところで何も解決しない。

「建物を魔法で隠しているとしたら、魔法の痕跡がどこかにあるはずだ……それを探そう」


「あぁ、その痕跡って言うのはどうやって探すんだ?」


「そうだな……例えば景色が不自然だとか……」


「景色が不自然なところか……」


 俺は周囲を見渡し、不自然なところが無いかを探す。 すると、明らかに不自然な立て札を発見した。

 立て札には「危険立ち入り禁止」と書いてあったが、周囲に何か危険な様子は無い。


「なぁ……アレってなんか変じゃないか?」


「ん? 立て札か……確かにおかしいな……危険と書いている割には何も無いし……しかも不自然な魔力を感じる……もしかして、この奥か……」


 俺とユートは立て札の奥の森の中に入って行く。

 特に俺から見て変わった様子は無いのだが、ユートは何かを感じているらしく、終始警戒している様子だった。


「なぁ……何かあるのか?」


「あぁ……どうやら当たりのようだ……フン!!」


「うぉっ!!」


 ユートは突然俺の脇にあった木を切り倒す。


「あぶっねーな!! なんだよ急に!!」


「見れば分かるよ」


「え? な、なんだ!?」


 ユートの切った木が倒れずにそのまま煙を出して消えていった。


「なんだ……消えた?」


「あぁ……魔法で出来た木だ……ここら辺一体が魔法でカモフラージュされてる証拠だよ」


「じゃあ、この奥が!」


「そうだ……可能性は大きい、急ごう!」


「おう!」


 俺とユートは森の奥に走り出した。

 道は一本道だった。

 細い林道になっていて、あまり日が当たらず、薄暗い。


「なんか不気味だな……」


「そうだね……まぁ隠れ家なんて言うくらいだからね……」


 そんな事を言いながら走っていると、俺の足に何かが触れた。


「ん? 何かに……触ったような……」


「どうかしたかい?」


「いや……何かに触れたようなって……うわっ!!」


「悠人!!」


 俺が足下を確認しようとした瞬間、俺の足に植物が絡みつき、俺を宙吊りにする。


「な、なんだぁ!?」


「魔物か!!」


 俺を宙吊りにしたのは、大きな花の化け物だった。

 触手のように複数の植物の根を動かしており、頭には大きな口が付いている。


「クソッ!! 急いでるって言うのに……悠人! ジッとしていてくれ! 今すぐに片付ける!!」


 ユートはそう言うと、剣を抜き構える。

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