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第41話



「……そういう訳で、俺はこの世界に来たんだよ」


「間抜けな理由ね」


「ハッキリ言うなよ!」


 俺は最初に通された部屋に戻り、彩と二人でボードゲームをしながら、この世界に来た理由を話していた。 

「そういう彩はどうしてこっちの世界に来たんだよ」


「な、なんでも良いでしょ! それよりもアンタの番よ!」


「俺は話したのに……」


 俺はそう言いながら、自分の軍のドラゴンのコマを動かす。

 まぁ、彩もこっちの世界に来たのは良かった。

 これで明日の約束は自動的に無くなった。

 それに今は彩と部屋に二人きり……この状況はかなり嬉しい。


「うーん……どうしようかしら……」


 彩はゲームの盤面を見ながら次の手を考えている。

 このゲームは俺たちの世界で言うところのチェスのようなゲームで、互いに自軍の駒を動かし、先に王を倒した方の勝ちになる。

 まぁ、駒にドラゴンとか不死鳥とかあるだけで中身はあまり変わらない。


「ユートは明日帰れるって行ってたけど……本当に帰れるのかね……」


「さぁ、私に聞かれてもね……でも、普通じゃ絶対出来ない経験だし、それに楽しんだ方が精神的にも楽でしょ?」


「そりゃあそうだけどよ……」


「あ、じゃあこうして私のかーち」


「あ! ちょ、ちょっと待て! 待ってくれ!」


「待たないわよ~だ、これで私の二連勝ね」


「くっそぉ~……」


 また負けてしまった。

 こう言うゲームはあまり得意では無いんだよなぁ……。

 

「それにしても……いつまで待たせるのかしら……」


「さぁな、そろそろゲームも飽きてきたな」


 ユートとアーネから待っていろと言われて約一時間、そろそろゲームにも飽きてきたし……。


「なぁ、明日の買い物……行けなくなっちまったな……」


「仕方ないでしょ? お互いにこっちの世界に来ちゃったんだし」


「久しぶりの休みだったんだろ?」


「休みなんてまたあるわよ」


「そうだけど……楽しみだったんじゃ……」


「は、はぁ!? べ、別に楽しみなんかじゃないし!! わ、私はただ買い物に行きたかっただけで……」


「俺は……楽しみだったけどな……」


「ふ、ふぇ……?」


「あ……いや……その……」


 思わず本音が出てしまった。

 彩は俺の方を見て顔を赤く染めている。

 恐らく俺の顔も相当赤いだろう、顔がもの凄く熱い……。


「な、なんで……楽しみだったのよ……あ、アンタはただの荷物持ちでしょうが……」


「あ……いや……その……」


 言えない……お前と一緒だからなんて、恥ずかしくて死んでしまう……。

 

「お、俺も買いたい物が……あ、あったんだよ」


「そ、そう……それは残念ね……で、でもアンタこそいつでも買えるでしょ……」


 いつでもどころか売ってねーよ……お前とデート出来る権利なんて……。


「限定だったんだよ……明日じゃなきゃ……意味がねー」


「そんな物買おうとしてたの? そんなお金良くあったわね」


「まぁな……でも……もっと良いもん買えたし」


「え? どういうこと?」


 お前と二人で過ごせるこの時間だよ。

 なんてホストみたいな甘い台詞なんて言えるはずもなく……俺は彩の質問を無視する。


「そ、そういえば遅いなユート達……」


「あ、ごまかした」


「遅いなぁ~」


 そんな事を言った丁度その時、部屋のドアが二回ノックされ、中にユートが入ってきた。


「良い雰囲気のところ悪いけど……」


「「良くない!!」」


「それはそれは……まぁ、なんでも良いけど食事にしよう、付いてきてくれ」


 ユートはニヤニヤと笑みを浮かべながら、俺と彩にそう言い食堂に案内し始める。


「ここだよ」


「相変わらず良い部屋だな」


「ありがとう、そこに並んで座ってくれ」


 俺と彩は言われたとおり、並んで椅子に座る。

 向かいの席にはアーネがニコニコしながら座っていた。

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