表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/60

第22話

「ん……やっと来た」


「あ、彩……」


 ドアを開けると、直ぐ目の前に彩がいた。

 部屋着姿で壁に寄りかかり、スマホを弄っていた。

 部屋着姿の彩なんて、見るのは始めてだ。

 風呂上がりなのか、なんだかいつも以上に良い香りがする……。


「で、何?」


「え?」


「話し……あるんでしょ」


「あ……えっと……」


 危ない危ない、彩の部屋着姿に見とれて、本来の目的を忘れるところだった……。


「彩、あのだな……西井とのあの行為はだな……」


「別にアンタが誰と何をしようが私には関係ないし」


 うっ……やっぱり怒ってる?

 それともヤキモチ?

 いや、どっちにしても嬉しいな!

 それって、少なくとも俺の事を意識してくれてるって事じゃん!

 まぁ、怒らせたままってのはまずいけど……。

 

「じゃ、じゃあなんでそんな怒ってるんだよ!」


「は、はぁ?! お、怒ってないわよ!」


「怒ってんじゃねーか! 口調も冷たいし!」


 そうだ、わからないなら聞けば良い!

 明らかに彩の態度は怒っている。

 ならば、なんで怒っているかを聞けば良い!

 あいつの怒っている理由なんて、俺が他の女とイチャツイテいたからに決まっている。

 いや……だって……あんな姿見てるし……。


「べ、別に怒ってないわよ! それに私は言ってるでしょ! アンタがどこの女とイチャつこうと関係無いって!」


「でも、いつも以上に口調がキツいのはなんでだよ」


「べ、別にいつも通りだし!」


「いや、いつものお前はもっと口調が優しい!」


「そ、そんなのテレビとかの印象でしょ! バラエティ番組とかならキャラくらい作るわよ!」


「じゃあ、なんで話したく無いって言ったんだよ!」


「あ、アンタと話したく無かっただけよ……」


「お前昔からそうだよなぁ……怒ると三日は口聞かねーの」


「なっ……そ、そんな事無いわよ!」


「いや、ある! 昔、俺が用事で遊べなくなった時だって……」


「あ、アレはアンタが悪いんでしょ!!」


「お前は昔から小さい事で……」


「う、うっさいわね! なんでそんな事をいちいち覚えてるのよ!!」


「まぁ……昔が一番……楽しかったからな……」


「え……」


 よし! これは結構ポイント高いだろう!

 だって彩の頬真っ赤だし、なんかモジモジしてるし!

 てか……やっぱり可愛いなぁ……そりゃあアイドルになっても人気だわ……。


「い、今よりも?」


「ま、まぁ……だって……あの……」


 言え! 言うんだ俺!!

 お前と話せ無くなったからだって言うんだ!

 そうすれば、俺と彩の距離は昔に戻る!!

 

「だって?」


「だって……」


 うっ……そ、そんな悩ましげな視線を俺に向けるな! 照れるだろ……。

 俺は彩に見つめられ、次の言葉が出てこない。

 ムカつくぐらい可愛らしいその容姿に、俺は改めて彩がどれほどの美少女なのかを再確認させられる。

 そして、俺はそんな彩の視線に照れてしまい、言葉を濁してしまった。


「わ、わーわー良く泣く奴がいなくなったからなぁ~! 弄れる奴がいなくてつまんねーわ!」


 俺の馬鹿野郎ぉぉぉぉぉぉ!!

 そうじゃないだろ!!

 俺は……ただ彩に側に居て欲しいだけなのに……。

 

「あっそ!!」


 彩は怒ってそっぽを向いてしまった。

 まずい……更に怒らせてしまった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ