彼からのプレゼント
【キーワード】
・時計
・クリスマス
・嫉妬
「待たせてごめん」
待ち合わせは、クリスマス・イブ。つまり24日の22時だった。
彼からデートに誘ってくれたのはかなり久々の事で、今日は何かあるに違いないと決め込み、珍しく苦手なお化粧もした。
衣服だって、この日のために少し奮発した。それほどに嬉しかったからだ。
「もう、遅すぎるよ。ばーか」
なんて頬をふくらませても、きっと表情はニヤケて、迫力なんてものはありゃしないのだろうが。
「ごめんごめん、少しこれを取りに行っててさ」
彼は頭を掻きながら申し訳なさそうに笑う。もう、一ヵ月近く会えていなかった。そんな彼からのクリスマスプレゼント。
「気に入ってくれると嬉しいんだけど」
私にはそれが何かすぐに分かった。小さく黒いケースに、厳重に保管されている物。
クリスマス前のイルミネーションに包まれ、直接手渡す特別な物だ。
「ううん、嬉しい」
私は幸福だった。今や周囲から向けられる嫉妬の視線すら心地よい程に。
「開けても、いい?」
高揚する頬で手を温めて、彼の返事と共に箱を開く。
赤や青のイルミネーションに照らされ、より強く輝くそれは、小さな女性用の時計だった。
「前に、欲しがってたでしょ?」
呑気に笑う彼を睨みつけ、私は家へと帰った。
結婚はまだまだ先になりそうだ。
クリスマスと嫉妬がキーワードなら恋愛ものしか出てこないよね(笑)