ペット禁止
【キーワード】
・毛布
・目くそ鼻くそ
・クワガタムシ
「ゆうくん、何隠しているの?」
話しかける際は出来るだけにこやかに、それでいて優しい声色で。昨日の井戸端会議にて、他のお母さんから聞いたコツだ。子供を問いつめる時に効果的な。
「んーん! 何も隠してないよ!」
しかし我が子は首を横に振る。無論嘘に決まっている。
「そうなのー? ママ、気になるな〜」
ゆうくんの背後ではモゴモゴと毛布が動いている。明らかに何かを隠している。しかし、ここで怒ってはならない。
我が家はペット禁止だ。それは何度も我が子に言って聞かせたつもり。悪い事をしたと本人だって分かっているはずだ。
「ゆうくん、教えてくれる?」
自分から進んで反省し、いい子に育って欲しい。だから私は怒らない。怒ってはならないのだ。
「何も隠してないよ! 本当だもん!」
しかし、我が子も頑固者だ。野良犬だか野良猫だかを連れ込んだに違いない。しかし必死になって隠そうとしている。
「ほら、じゃあお布団の中見せてみて?」
きっと野良犬や野良猫を拾ってきたのだろう。獣アレルギーを持つ私の鼻がムズムズと動いた。
「クワガタムシだもん!」
ゆうくんは慌てて布団を自らの体で隠した。
「そんな大きなクワガタムシは居ないでしょう?」
「じゃあカブトムシだもん!」
「そういう問題じゃないわよ!」
というか、ペット禁止なのだから、例え犬猫じゃなくとも目くそ鼻くそじゃないか。
「もう、ゆうくん嘘つきは泥棒の始まりよ!」
私はそう言うと布団をひっぺがした。案の定、中から毛むくじゃらの異臭を放つ男が現れた。
「えっ、お、男?」
「あぁ、ごめんよポチ、バレちゃったよォ」
ゆうくんは泣きだし、半裸の男は我が子の頭を撫でながら私に頭を下げる。
「すみません、私ホームレスでして、この子がご飯をくれると言ってくれたのでついてきてしまいました」
「……は、はぁ」
開いた口が塞がらない。
「ま、まさか本当に生の鶏肉を食べさせられるとは思っていませんでしたが……」
私は男の言葉を遮ってゆうくんをひっぱたき、ホームレスに指をさした。
「我が家はペット禁止って言ってるでしょ! ちゃんと返してきなさい!」
私に指された男は、震える声で呟いた。
「あんたら目くそ鼻くそ」
どうしてもギャグが書きたくなった(笑)




