強敵相手に欲張るか否か
【答え:②もしくは④】
自由になる戦力で何とかならないなら「挑まない」という選択も十分あり。世界の存亡をかけた戦いでもないので賢く立ち回るべき。
しかし、勝ち目を「用意」出来るなら――。
貴方のクランは金鷲獅子の情報に湧き、様々な意見を交わしていきました。
挑むだけ挑んでみるという意見が主流でしたが、「じゃあ具体的にどうやって勝つ?」「勝てなかった時はどうする?」という問いには答えられませんでした。
それでいて、クランの古株メンバーの中では慎重論が主流のようです。
「そうだな。いくら目の前に金儲けの種が転がっていようが、一か八かになっちまう厳しい戦いになるなら避けるべきだ。命がけの賭博なんざ、やるべきじゃない」
雇われの部外者である指導役も慎重論に賛成なようです。
その後ろで甲冑の戦士が急に素振りを始め、自分の存在をアピールし始めましたが指導役は無視しました。
慎重派は金鷲獅子との戦闘は避けつつ――しかしこの情報を活かさない手はない、という事で街に帰ったら「金鷲獅子が巣を構えてるところがあるぞ」という情報を売る事を検討しています。
元々、見つけたのは甲冑の戦士ではあるものの、彼はその辺は頓着しないらしく情報の扱いは貴方達に完全に一任してくれるようです。
「確かな情報だから買い手は見つかるさ。何ならちゃんとした買い手を紹介する。もちろん、人付き合い考えて知り合いのクランに売るのもいいだろうな」
「そこで下請けとして雇って貰えば、情報料だけではなく攻め手に参加したという事で金が貰えるだろうな。だが、そうなると自分達だけで狩るより報酬は少なくなるだろうな……!」
甲冑の戦士は「自分達で戦うのもいいぞ」煽ってきました。
それにより挑戦派が息を吹き返しました。
ただ、今度は策を携えての事でした。
その策は「夜襲を行う」というものでした。
相手は鷲獅子。上半身が鷲であるなら鳥目であり、夜間の活動に困るほど視力が落ちるだろう――という主張を根拠にした夜襲案でした。
指導役は夜襲案に反対しました。
「夜襲するなら攻め入る事になる。相手が有利な岩山の、それも山頂にな。森林でやりあうよりも撤退は容易ではなくなる。危険だ」
「先手取って襲撃して直ぐに倒さないと厳しそうだ。いや、私なら余裕なのだが」
甲冑の戦士は素振りを続けながらアピールしましたが、指導役は聞かなかった事にし、夜襲有利である根拠と主張されている「鳥目」について語りました。
「鷲獅子は昼行性の魔物だが、鳥目……夜盲症では無い。夜襲はほぼ無意味だ」
鳥目、という名称から「鳥は夜間は夜闇が苦手」と言われる事もありますが、全ての鳥が夜闇が苦手なわけではありません。
上半身が鷲の相を持っている鷲獅子も、夜盲症ではありません。
むしろ素の視力は鷲と同じく、人間の視力より優れています。
それでも夜は巣で大人しくしているのですが、それは人間が「日が暮れたから帰って寝よ」とする程度の生活習慣です。夜を徹して人を追う事も可能です。
「それにアンタらは昼間戦ってたから、このまま夜襲……となると消耗したまんま戦う事になるんだよな。下手したら徹夜だぞ」
相手の本拠地である巣での戦い。
そのうえ、こちらは昼間の戦いでそれなりに消耗している。
夜襲したところで大きなアドバンテージは無い。
突き詰めれば突き詰めるほど、勝ち目が薄れていく事からクラン内でも「今回は諦める」という話でまとまっていきました。
しかし、貴方は考え続けました。
金鷲獅子は強敵であり、おまけに群れを率いている。単体でも勝てるかどうか厳しいどころか、数までいるとなると撤退がおぼつかず壊滅の危機もある。
それでも打開策を考え続けました。
そして、夕食後――皆がくつろいでいるところ、2人の冒険者のところへと向かっていきました。
その2人、指導役と甲冑の戦士は談笑しながら半死半生の鷲獅子をいじっているようでしたが、貴方が近づいてくると向き直ってきました。
「良い考えが浮かんだか?」
「良かったら聞かせてくれないかな」
貴方は頷きつつ、先に問いかけました。
確認事項は一つ。
甲冑の戦士は「1人で金鷲獅子を相手どれるか」という事でした。その問いに対し、戦士は微笑しながら即答しました。
「可能だ。造作もない。群れ一つ壊滅に追い込む事も出来るよ」
もちろん全て倒すとなるとそれなりの時間はかかる可能性もあるけどね――と戦士は肩をすくめながら言い、貴方の言葉を待ちました。
彼の言っている事は事実でした。
ふらふらと遊んでいる彼ですが、戦士としては――冒険者としてはかなりの実力者であり、強力な魔物相手でも単騎で圧倒する事が可能です。
まだ若人ではあるものの、竜殺し、天魔退治、魔物の大群相手に大立ち回りをしてきた猛者です。金鷲獅子も群れも圧倒出来るだけの実力を持っています。
その事実を聞いた貴方は――。
【問題:どうする?】