六道
僕は死んでも
輪廻の果てから舞い戻る
君に逢うために
青空は怖い。
吸い込まれそうで、いやなんだ。
星空は切ない。
ボクは小さな星、どんどん増えていく星の中で
いつまで輝きつづけられるのだろうか?
「ブラフマー」
男の声に、少年は振り向いた。
「こんにちは、ヴィローチャナ」
「空がどうしたんですか?」
「・・・・綺麗だなって思って」
ボクは誰なのだろう?
ぽっかりと空いた、空っぽの記憶。
ここが何所なのかもわからない。
自分が誰なのかもわからない・・・。
───生きているのが怖い。
「ブラフマー、昼食はどう?」
「・・・・もう少しだけ・・・・ここに居させてください」
死ぬのと生きるのはどっちが楽なのだろう?
生きること、それは自分という存在なのかもしれない。
ボクは自分という存在が無い。
いつのまにかこの世界に居て、あたりまえのように生きている。
死ぬこと、それは自分を愛せなくなってしまうことだろうか。
「ボクは・・・いつまでボクを愛せるのかな・・・?」
この世界はボクの存在を認めてくれるのかな・・・。
『すまない・・・・、ブラフマー様・・・』
男の声が響く。
『やっぱり君は僕を騙してたんだね』
そしてボクは微笑みを浮かべ、男の瞳を見つめている。
いつも見る夢。
夢の中のボクはボクでは無い。
そして男の人といつも一緒にいる。
「どうかした?」
「い、いいえ。ちょっと、散歩しにいきます・・・」
人気のない道。
(静か・・・)
ふと、目の前を雪のようにひらひらと舞い落ちる
黒い羽根。
「・・・・黒い羽根・・・?」
『・・・・・・・』
男は息を潜め、ブラフマーを見ていた。
『今度こそ・・・・』
ども、深淵です。
前書き、タイトルは一応それぞれのキャラにちなんで
の言葉などにしました。
カルマ、輪廻、六道の意味を知っている方の方が多少楽しんでいただける?と思います。