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世界創生後に微笑むのは  作者: 星輪
間の世界
2/2

夢の1

目が覚めたのはまるで生気を感じない水の中だった。

視界がはっきりしない、手足もろくに動かせない奇妙な感覚だ。

だが、不思議と息苦しさは感じなく、不安もない、水の中であるはずなのに

まるで母親に抱かれる様な感覚さえある。

なぜこの様な事になっているのかここはどこなのか思い出せない。


困惑を覚え始めると徐々に四肢の感覚が掴め始めてきた。

指先の動きを感じる。

手のひらで軽く握る。

つま先を伸ばす。

膝を曲げる。


自らの意思で体を動かせるようになると何故かこの体に少し違和感を感じる。

自分で動かしているはずなのに、誰かに、何かに操られているような感覚。

視界が少し映る。

上を見上げると薄っすらだが光が見える。

少しずつ光が近づくと今までに無い感覚が襲ってきた。

急に水がしょっぱいと感じ今までに無かった息苦しささえ覚え始めた。

急ぎ手足を動かし早く光の方へ向かおうと急いだ。


その光がこの広く感じる水の終わりだと信じ必至にもがく。

たとえそれがこの息苦しさと違和感から抜け出せる光でなくとも、


遂に光に手が届きそうな位置まで来た瞬間、誰かに手首を掴まれ引き上げられる。

大きな水しぶきを自らの耳に感じる。

肌に風が当たるのを感じる





視界が水の中にいた時とは断然違う光に覆われ直ぐには瞼を開けられなかった。

肩で荒い息をする。

徐々に息も整い

何者かに掴まれた手首にも痛覚を感じる。

今まで開けなかった瞼を開く。


自分の手首を掴み自ら引き上げたのは金色の髪色をした女性だった。

思考が追いつかない内に金髪の女性は自分を肩に担ぎ水辺へと向かう。

担がれている間彼女は言葉を発しない。

自分も何度も声を上げようとするが声が出せない。

このような状況になり始めて周囲の景色の違和感に気がつく。

自分が担がれている湖以外は真っ白い地平しか存在しなく星もない夜だ。

そしてその星すら見えない真っ白い地平線の先には不気味に不自然に2つの月があった。


水辺に着くと女性はゆっくりと自分を下ろした。

地面に手をつき感じる。

このどこまでも続くような真っ白い地平に、

手についた細かいものを好奇心で口に含み気づく

塩だった。


疑問が疑問を呼ぶ。

ここはどこなのか、

なぜここに居るのか、

なぜ塩と湖しかないのか、

なぜ月が二つあるのか、

彼女は何者なのか、


思考が少し正常に戻る





そして、




水辺に移る自分の顔に目がいく。

気がついた、

今まで自分の体の違和感に





………コレハ誰ダ……



水辺には記憶にない顔が映る。



混乱する自分を他所に金色の髪をした女性がが問いかける



「お前はどのお前だ?」



今まで出なかった声が無意識に出る。


「………紅い…………」



女性ははその答えを聞き沈黙する。

その表情は先ほどより少し暗いと感じた。


”ボク“は思考が定まらないまま“記憶”を探る。



それはしおりを挟んだ読みかけの本をめくるように。



”ボク“のそばで“世紀の”無い湖が静かに揺らいだ。






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