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6 二人はどうなるの?

「ホラーなのか、コメディなのかよく判らなかったね」


 翔太の映画視聴後の第一声がこれだった。

 スタッフロールが流れる途中で「出ようか」と退席し、階段を上がっていきながら、お互いに感想を言い合うのも映画の楽しみの一つだと思う。本当はもっと映画館から離れてから言い合ったほうが良いんだろうけど、我慢できなかったようだ。

 翔太はこんな発言をしながらも、笑みは絶やさない所を見ると、心の底から見た映画に不満があるわけではないのだろう。上映途中で噴出して笑っていたし……。


「タイトルで察しろよ。俺は笑えたし、閣下のお声も拝聴できたし満足だったけどな」


 あの人が元気そうでなによりだった。ニュース番組にも出ていらっしゃるが、歌声は聴けないからな。当たり前だけど。


「ううーん、僕は怖がりたかったんだけどなー。まぁ、予想外の楽しみがあったから良かったけどね」


「怖がりたい、って自分で言うのか」


 俺の名は成宮低作。自他共に認めるブサメン第一人者だ。

 ヒマなので翔太と映画を見たのは良いが、この後はどうするかな……。時刻は三時過ぎ……帰るには早いが、もう予算が――


「どっか遊びに行きたいけど、成宮くんお金ないもんね。僕の家でゲームでもする?」


「え!? い、いいのか?」


 渡りに船、とはこのことか。このまま帰るのは勿体無い気もするし、俺のアパートで遊ぶのは……と考えていたところだった。


「うん、僕も一人暮らしだからねー、気を遣わないでいいよ。気楽で良いけど日曜とかずっと一人なの、なんか慣れなくて……」


 それはわかるけど……翔太の言うゲームって「○イスター」とかだったらどうしよう。男同士、○イスター、何も起き――止めておこう。想像するとシュールだし一応メモっとくか。使う機会が何時来るか判らないけど。


「あ、また何か思いつい――って『○イスター』なんかに誘うわけないだろー!」


「わっ! 人のスマフォ覗くな!」


 翔太にメモを見つかると、真っ赤な顔で怒られてしまった。


「あんなゲーム男二人で遊んで何が起きるって言うんだよ! 筋肉痛!? こむら返り!?」


「い、いや小説のネタ神様が舞い降りてだな……」


「その神様ただの変態だよ! 大体どんな小説書いてたら、そんな状況メモしようと思うんだよ!」


 う! マズイぞ、翔太をモデルにした男の娘のエロ小説書いてるなんて絶対言えない。

 ど、どう誤魔化そう。


「ええーっと、その……い、今書いてるのは……そ、ソウ!『デスゲーム』系の話なんだ」


「んん? いろんな人がゲームして、負けると死んじゃう……みたいなの?」


「お、おお! 大体そんな感じでいいや。ええと……男二人で『○イスター』するなんてバカらしいだろ? 俺もそう思う。俺はノーマルだからとてもそう思う。……で、でも命がかかっている状況で、犯人にそう命令された主人公と友人はやるしかないんだ。こ、このシーンは緊迫感と、脱力感が合わさって……お、面白い……かな?」


 ……俺は何を言っているんだろう。こんな話誰が読む――


「ふ、二人はどうなるの?」


 翔太の目がキラッとしている。顔の紅潮も収まったようで、代わりに鼻息が心持ち荒くなっているような……。


「え、ええと……そもそもあれどんなルールなんだっけ、このアイデアはボツかな。ははは」


 なんとか誤魔化せたかな? そもそも翔太にゲーム誘われて『○イスター』連想した俺は、かなりヤバいのかも知れない。し、しかしこれもノクターンで書くため……なのかなぁ、不安になってきた。


「ぼ、ボツは勿体無いよ! 今日の映画の様に、ホラーに見せかけたバカコメディをやりたいんだよね? 僕は見たいな」


 ご、誤魔化せた! ノリで喋ってたのに、翔太くんの気をそこから逸らせれた!


 ――思いつきで進めても、勢いさえあれば何とかなることもある―― 


 いや、これを天啓と言っちゃ駄目か。今日のノルマは達成したしこれはボツ。プロットは大事だ。


「○イスターのルールがわからないなら調べなよ。完成したら読ませてねー、初めての読者さんになってあげられるかもよ」


「お、おう……それは嬉しいな」


 どうしよう、適当に話を進めていたら変な方向に行ってしまった。

 「検索したら既にそれっぽいのあったわ。残念☆」で済まそう。よし、今日は思いっきりゲームして遊ぶぞ!

※書き終えた後、検索したら男同士で○イスターする作品ありました。残念☆

 しかも3人以上で遊ぶゲームなんですねコレ。本当に残念……。

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