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智良と小さな巫女  作者: めじろ
4/12

心無い噂

 すれ違う生徒たちは智良ともよしを見つけると黙ってやり過ごし、ひそひそと噂話を始める。


槙本まきもとの妹、殺されたって」


「何なに?」


「A組の槙本の妹がさ、風濱かざはま家の誰かに殺されたんだって」


「うわ、お家騒動ってやつ?」


「なんで風濱家が槙本の妹を殺すの?」


「マジで? イサンソーゾク?」


「誰が殺したの?」


「さあ」


「連続殺人事件の始まり始まり~」


「きゃはは」


 恵香めぐかの爆弾発言はあっという間に全校に広まって、殺人犯が誰か賭ける者まで出始めた。2‐Aも例外ではない。


「槙本の母親ってさ、理事長の浮気相手の子供なんだって」


「理事長は、風濱よりも槙本兄妹がお気に入りらしいよ」


「あの二人と比べると、風濱ってパッとしないしね」


「誰が見たって、ねえ」


「ねえ」


「じゃあ、腹いせに殺したのかな」


――鈴奈すずななんかいなければいいのに。


 妹の戯言が不意に蘇った。


「槙本の妹って、超能力使えないらしいぜ」


「なら殺すの簡単じゃん」


 だん、と机を叩く奴がいた。学級委員の曽根そねだ。


「止めろよ! 野次馬根性丸出して、恥かしいと思え!」


 教室は静かになった。しかし、曽根に向けられたのはしらけた視線。


 性悪女子が笑う。


「アンタの方が恥ずかしいし! ぎゃははは!」


「野次馬するしか能のないお子様は幼稚園に帰れ!」


「正義の味方気取りのボクはママのところに帰ったら? ぎゃあっははは!」


 智良は立ちあがった。


「曽根、放っておけ」


「けど、智良君」


「余計なお世話だ」


 高崎は智良と曽根を見比べておろおろしている。


 次の授業はサボリに決定。図書館にでも籠ろうか、修練場を貸し切ろうか。


 智良に無視された女子は、気持ち悪い目を恵香に向ける。


「ねえ、槙本さん、妹ちゃんの降霊会しない? 誰に殺されたのか教えてもらおーよ」


 恵香は立ちあがった。


「バカじゃないの?」


 言葉と視線で思い切り侮蔑して教室を出て行った。智良も教室を出た。高崎がおろおろとついて来た。


「高崎」


「ヨッシー、いいのかよ」


「戻れ。お前まで殺人犯呼ばわりされる」


「事故なんだろ。誰も殺してねえんだろ」


 智良は壁を殴った。高崎は息を飲んで黙った。


 呼吸が乱れている。落ち着け。俺らしくない。


「修練に集中したい。帰ってくれ」


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