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ウィ・ハブ・コントロールG! シーズン1:留学生・アフリカの魔女  作者: フリッカー
ラストフライト:激突! リボンVSゲイザー!
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セクション11:絶対なる勝利

「ふうん、おじさまもまだまだやれるんだ。腐っても元エースって事ね」

 リボンは、ラプターのコックピット内で戦況を俯瞰していた。

 俯瞰とは言っても、敵は全て肉眼で捉えられる距離にはないので、シチュエーション・ディスプレイを利用した画面上で見る形であるが。

 ラプターが扱える情報量は、それまでの世代の戦闘機とは比べ物にならない。

 レーダーを含むあらゆるセンサーが捉えた情報を統合できる、センサーフュージョン能力。

 そして、その情報を元に攻撃の優先順位を自動で決定する事もできる。

 戦いを制するのが情報だとするならば、ラプターはこの面でも最強と言えるのだ。

『ゲイザー! ゲイザー! ねえ、何してるのー!』

 一方で相手はというと。

 激しい巴戦を繰り広げているストームが必死に仲間を呼んでいるが、返事がない事に困惑している。

 なぜ答えがないのかはわからないが、味方とうまく連携が取れていないようだ。ならば、そうなって当然だ。

 ここでも、力の差は歴然としていた。

 相手の動きが手に取るようにわかるこちらと、味方の状況さえわからないあちら。

 こんな状態で、不利になるはずがない。

「ま、引き立て役としては充分すぎるわね」

 そんなラプターが弾き出した、次なる攻撃目標。

 それは、正面に捕えている1機のミラージュ――ミミ機であった。

 リボンは迷う事無く、ミミ機をレーダーでロックオンした。

 だがその時。

『……この反応は! 見つけました! ミサイル発射(フォックス・スリー)!』

 そんなミミの声がしたと思うと、機内にミサイル警報が鳴り響いた。

 しかし、ロックオン警報が鳴らない所を見ると、レーダーで見つけた訳ではないようだ。

「なるほど、MICAミサイルか」

 リボンは全く動じる様子もなく、むしろ感心してその原因を推察した。

 ミラージュが装備する空対空ミサイル・MICAは、赤外線誘導型・レーダー誘導型の二種類があり、かつ射程は遠近両用というユニークな特徴を持つミサイルだ。

 本来は短射程ミサイルの誘導方法を使用した赤外線誘導型も遠距離から撃つ事が可能であり、天候がよければちょっとしたIRSTのように使う事もできる。

 リボンは、事前にその事を勉強して来ていた。

 これならば、飛行中のラプターを限定的ながら探知する事ができる。

 これで撃ってくるのは予想外ではあったが、それでもリボンにとっては大きな問題ではなかった。

「でも、残念」

 ラプターは、フレアを散布しながらミサイルを発射。

 その後、すぐに緩やかな旋回に入った。

 案の定、ミサイル警報はすぐに止み、代わりに撃墜を知らせる電子音が鳴り響いた。

『あっ! そんな――!?』

 撃墜判定を受けたミミ機は、不本意ながらも離脱していく。

 探知できたところで、所詮はミサイルだ。回避できれば何の問題はない。

 何より、ロックオンした所で、データリンクによって位置がばれる事もない。

 スルーズ空軍のミラージュが、近代化改修でリンク16データリンクシステムを積んでいる事はリボンも知っている。仮にミミ機のレーダーで捉えられていたら、まずかったかもしれない。

 だが、データリンクで共有できるのは、あくまで自レーダーで捉えた情報だけ。ミサイルのシーカーが捉えた情報は対象外だ。

 つまり、ミサイルを撃たれた所で全く慌てる心配はないのだ。

 予想外の事態が起きても、敵は未だリボンの掌の上にある。

「残りはガイのイーグルも含めて3機……そろそろ締めと行きましょうか」

 そう呟いたリボンは、勝利が目前にある事を確信していた。

 いや、元より勝利は最初から自分のもの。

 最強の戦闘機に、最強と言われる自分が乗っているのだから、当然の事。

 リボンには、そういう自負があった。手加減が入っていても、わざと負ける気など毛頭ない。

 レーダー画面に、次なる獲物が映った。

 カイラン空軍のFC-1シャオロン。リボンにとっては初めて対戦する相手であるが、所詮はラプターより世代が下の戦闘機。敵ではない。

「あのバカに、世代の差ってものを思い知らせてあげないとね……!」

 自分に勝てると挑発してきたパイロット、サンダーが面を食らう場面を想像しながら、リボンは相手をロックオン。すぐさまミサイルを発射した。

ミサイル発射(フォックス・スリー)!」

 見えないミサイルが放たれる。

 シャオロンはロックオンされているとも気付かないまま、そのミサイルをもろに受ける事となった。

 撃墜。

 遂に、残りは2機となった。

 リボンの確実な勝利も、いよいよ秒読みとなってきた――時。

『へへ、オレの死をもって作戦の成功とする、ってか……後は頼んだぜゲイザーちゃん……!』

 初めて、相手の通信を聞いた。

 サンダーのものだ。

 負け惜しみにしては随分と物騒な台詞、とリボンは他人事のように思った。

 そのまま、戦いを続けようと思った矢先だった。

 鳴らないはずのミサイル警報が、鳴り響いたのは。

「えっ!? ミサイル!? 嘘!?」

 リボンは、初めて動揺した。

 MICAミサイルを使えるミラージュは、既に全機撃墜した。

 ストームとツルギのイーグルは、フロスティのタイガーシャークと交戦中でこちらには手が回らない。

 ならば、一体誰がミサイルを撃ってきたというのか――?

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