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精(霊)力をぶちかませ! ~妹幼女と精兄と~  作者: 岸野 遙
第二章 うさ耳兵士のご奉仕はいんぼうでした
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スフィさんの時代が来た

 どうしてこうなった、と問う時がある。


 例えばそれはバイト先、気づけば自分一人だけ一日中倉庫の整理をしている時。

 例えばそれは大学で、打ち上げ中に自分一人だけ黙々と宴会用の料理を作っている時。

 例えばそれは休みの日、昨日発売したばかりのエ□ゲーを自分のパソコンで妹がプレイしている時。


 いずれの場合も、それは命の危険とか、巨大な不利益を被るような話ではなく。

 ただ納得できない、小さな理不尽。

 現状への、我慢できる程度のささやかな不満。

 もしくは現実逃避。


 つまり、ツバサはこう呟いたわけだ。


「どうしてこうなった」


 その言葉は、ツバサ自身にも目の前の己へと向けられたものでもなかったが。

 他に人影のない二人部屋、ツバサの言葉を聞いた同室者はにやりと口元を歪めたのだった。




 時は少しだけ遡る。


 スフィと交渉したマーリィの活躍により、食事代を含めた宿代について、ツバサの分をスフィが出してくれることとなり。

 時間もそれなりに経ち、すっかり腹を空かせていた一同は階下の卓を囲んでいた。

 ちなみにネル達のスェンディ一行は、借りた部屋で話し合い中である。


「さあ食事にしようではないか、宿代に含まれぬ分は我が支払おうぞ」

「ありがとうございますね、スフィさん」

「すふぃちゃん、ふとっぱらー?」

「体型・体重とも秘密とさせていただこう」


 年齢、性別、種族に続き、不明事項を無駄に増やすスフィ。

 まあローブに包まれているとは言え、どう見ても太っていないことは事実だ。


 運び込まれた料理は、お世辞にも豪華とは言えない。

 固いパンと野菜のスープに、炙った干し肉。あとはゆでたまごと木の実。


「「今日の食事に感謝を」」

「「いただきます」」


 感謝を捧げたのはマーリィとスフィ。

 日本式いただきますはツバサと由梨。

 互いの習慣を特に気にすることもなく食べ始めた。


 風向きの村より三枚も四枚も劣る食事ではあったが、空腹の身には十分なご馳走である。

 特に言葉もなく、淡々と食事は進んだ。


 そう、言葉が、会話がないのだ。


「おにぃちゃん、だいじょぶ?」

「あ、ああ、大丈夫だよ。

 オーワンの料理ほどじゃないが、これがここの料理なんだな」


 少し引き気味?なツバサの様子に、マーリィも


「大丈夫?

 昼間は頑張ったんだし、疲れてるなら無理しないでね」

「ああ……マーリィも、だからな」

「ええ、ありがとう」


 頷き、相手にもと無難に返すツバサ。

 しかし心の中では


(一晩スフィの言いなりとか、なんでそんな滅茶苦茶な条件飲んじゃったんだよおおお)


 もう叫びまくりである。


 スフィの言いなり。

 一晩。

 二人きりの部屋で。


 もうがくぶるものである。


「どうやら、我との夜が楽しみで落ち着かぬようであるな」


 いつもの調子で、正解と綺麗に180度間違った論を告げるスフィ。

 口元には小さく笑み、もちろんと言うべきか三角帽子は被ったままである。

 これでもかと言うほどの平常運転。


「あほかぁぁっ」

「なに、どうしても嫌であれば約束を違えればいい。

 宿代も食事代も無料ではないが、契約を破れば問題はあるまい」

「なんつーことを……」


 契約……はともかく、約束を破るなどあり得るはずがない。

 あるいはツバサのそんな性格を知ってか、事もなげに言い放たれた言葉に深い溜息をついた。


「?

 スフィさんも、あまりツバサを夜更かしさせないであげて下さいね」

「心得た」



 恐怖の化身たるスフィにそんな進言をして下さるマーリィが天使に見えた。


 でもよく考えたら、その天使のせいで自分は地獄に落とされたんだよね?

 どうやらこの天使には、尻尾かどじっこ属性が搭載されているみたいだよね?



(そういえば……)


 思い出す。

 石につまづき、木の根につまづき、枝に髪を取られて立ち往生していたマーリィの姿を。

 村を出てから森を出るまでの日々。その中でマーリィがどじっこを見せた回数を。


「立てば絡まり座れば転び、歩く姿は……」


 一瞬考えるツバサに、


「どんくさい?」

「それだ」


 絶妙な由梨の合いの手。大いに頷くツバサ。


「ついでに、あたまは、はこいり」

「全くもって」


 兄妹のやりとりに、意味が分からぬマーリィは顔に疑問符を浮かべ。

 スフィは我関せずと、デザートを注文していた。




 食事を終え、湯をもらって。

 女の子のように、妙におどおどして隠れながらツバサだけが身体を拭き。スフィは拭かず。

 部屋の片隅に湯と布が置かれたまま、ベッドに上がるよう言われ。

 スフィさんが命令を下しました。


『騒がず暴れず、我に身をゆだねよ』と。


「ひいいいい」

「騒がずと言うたであろう、馬鹿弟子め」


 早速言いつけを守らぬ不出来な弟子に、しかしにやりと笑みを見せると。


「まあ良い。

 すぐに骨抜きにして、我に服従させてやろうぞ」


 ベッドに座ったツバサに、ゆっくりと近づき。

 首を抱くように身体を寄せ、しかし密着はせずに。

 顔をずらして、頬を重ねるように頭を寄せて


「我は汝の、精が欲しいのだよ、ツバサ」


 耳たぶに口づけるほど近くで、少し冷たい吐息とともにそう囁いたのだった。




 その後は、ツバサの名誉のために伏せるべきであろうか?

 それとも、そんなものは最初からないために伏せる必要はなかろうか?


 いずれにせよ、ツバサの尻を狙っていると公言憚らぬスフィは。

 しかしその言葉通りの行為はせず、上半身のみを使った一方的行為のみを繰り返し。

 己が満足するまで続けたのであった。


 ツバサもツバサで、最後―――どころか、開始1分未満で悲鳴も文句も綺麗に消え失せて。

 ただただ翻弄されるように、スフィの与える快感にどっぷりと溺れ。

 六日ぶりの快楽に、とめどなく弾けまくるのであった。



「さすがに純潔は、宿賃などで奪うものではなかろう?

 これだけでも我は非常に満足しておるよ。くくく」



「スフィは魔物だ……

 もうおむこにいけない……」




 つまりはまぁ、総じて、一言にまとめると。



『色々ありました』


とだけ、この場に記すとしよう。


……色々ありました。

あったんです、色々が色々と!

伏せるべきか、伏せざるべきか、それは今も分からないけれど。


次回『ツバサは言い訳をした』


―――ツバサの名誉を踏みにじる詳細描写は必要ですか。



          □ □ □ □ 



詳細描写の希望者、居るんですかね?


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