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精(霊)力をぶちかませ! ~妹幼女と精兄と~  作者: 岸野 遙
第一章 妹幼女の白パンはオムツでした
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ツバサの七日間戦争

 毎日、学ぶことは多い。


 蝕天前以上に、講義と実技に毎日みっっちり時間を取り。

 時にはオーワンの猛攻をかわし。

 時にはオーワンの拳撃を耐え。

 時に、オーワンの怒涛のような魔術を必死で凌いだ。


 つまりは、気を抜くと、死ぬ。

 そんな日々を繰り返し、数日。

 旅立ちの日は、まだ遠い……



―――   ―――   ―――   ―――   ―――



「今日は、味方を守り生き延びる術を身につけてもらおう」

「それ、昨日とほぼ同じなんですが!」

「はっはっは、気にするな。

 君は死んでもマーリィとマユリを守らねばならん。

 そのためには、百遍くらい死ね」

「目的と手段が入れ替わってる!?」


 今日も今日とて、いろんな意味でぶっちぎりのオーワン。

 すでに傍らのイケメングリーンが空気と化している。


「と、言いたいところだが。

 今日はもう少し、戦闘中心の講義をしよう」

「お?」

「守るためには、知識も必要となるからな」


 それだけ前置きをし。

 戦闘並に激しい講義が始まった。


 講義の主題は、いかに戦うか。

 具体的には、役割分担の話だ。


「マーリィは、森術師をメインに、森戦士として弓の扱いにも長ける。

 だが、村から出た経験が乏しく、弓と魔術を扱う以外のことは、ほとんど出来ないだろう」

「箱入りっぽいもんなぁ……」


 おしとやかでお嬢様然としたマーリィさんを思い描く。

 うん、美人だ。柔らかくて美味しそうだ。


「テルス」


 オーワンが名前を呼んだだけで、テルスが無言で矢を射る。

 狙いたがわず頬を数ミリ切り裂き、矢は背後の木に突き立った。


 こいつらこえーよ!

 いや、ここ数日で射掛けられるのも随分慣れたんだけどさ。慣れたくなかったよ?


「簡単につかまるような足手まといではないだろうが。

 マユリを守るので手一杯で、敵を減らすことは難しいと思った方がいいだろう。」

「分かってるよ。

 由梨を守ってくれるだけで十分だ」

「うむ。

 なので君がすべき役割は、全ての攻撃を引き付けて人からも魔物からも命を狙われつつ、その身に敵の攻撃を浴びながらも敵を全滅させることだ」

「ようするに、一人で戦えってことと一緒なんだろ?」

「それ以上だな。

 逃げたり隠れたりすればマーリィ達が狙われる。

 常に敵を引き付けなければならない」


 そうか、一人だったら隠れて各個撃破とか、逃げて先頭から倒すとか色々あるもんな。

 最低限、マーリィさん達が逃げたり隠れるまでは、そういう真似もできないわけか。


「つまり、常に敵の眼前に居て、タコ殴りにされろということだ」

「なんかそれ、言い方に随分と棘を感じるんだが?」

「棘なんてそんな」


 はっはっはと笑いながらオーワン。


「むしろ、刺し殺す気まんまんだよ」

「いばることじゃねーよ!」


 胸を張ってヤる気まんまんのオーワンに、無駄と知りつつも突っ込まずには居られない。


「町に出たら、まず祝福を受け、ジョブを得るべきということは覚えているな?」

「ああ。

 神殿とか冒険者ギルドとかで、ジョブを増やすべきって話だよな」


 この村には、一般的な意味での祝福を受けられる場所はない。

 エルフの小さな村だけあり、ここで習得できるジョブは森戦士と森術師のみだ。


 なお、この2つのジョブはエルフ限定と言われてるらしいんだが。

 厳密には、エルフ限定ではなく、リーファディオルの加護を受けたもの限定、ということらしい。


 つまり、オレも習得できちゃったということなんだよね。

 弓使う予定はないし、普通の戦士のジョブの方がメインになるんだろうけど。


「ツバサくんに適正があるかは分からないが。

 敵を倒す戦士よりも、味方を守る衛士のジョブを得て、伸ばすといい」

「衛士?」

「うむ。

 衛士のジョブには、敵の攻撃を自分に引き付けるスキルがあるのだ」


 なるほど。

 ゲーム的に言うところの、挑発とかヘイト上昇とか、そういうやつだな。


「全体的に、攻撃力を高めて敵を討つスキルよりも、防御力を高めて生き延びるスキルに主眼が置かれている。

 君の場合は魔法で敵を倒せるのだし、物理面については攻撃より防御を中心に考えた方がいいだろう」

「わかった。

 確かに、魔矢ボルトの威力を考えれば、いくら剣振っても無駄な気もするしなぁ」


 主を倒し、空を貫いた一撃。心の中では波動砲と呼んでいる。

 倒れない程度にセーブしなきゃいけないとは言え、それでもあの破壊力だ。

 いくら剣を振ったって、どう頑張ってもあれに及ぶとは思えないよな。


「もっとも、魔法での攻撃手段についても、修練は必要だがね」


 魔矢ボルトは初歩の初歩の攻撃魔法。

 無属性で敵を選ばない反面、威力は大したことないし、それだけでは非常に単調だ。

 矢数を増やしたり、威力に強弱つけたり、曲げたり追尾したり。

 他の魔法とあわせたり、工夫をしてこそ生きるらしい。


 最低限、魔術師になり各属性の魔矢を撃てるようにはなれと言われた。


「ともあれ、今日の課題は衛士だ。

 衛士の習得条件の達成を目指しつつ、まだ未修得とは言え、スキルの概念と修練を重ねてもらおう」

「その習得条件ってのは?」


 オレが当然の疑問を口にすると、オーワンは嬉しそうに笑った。


「よくわからん。

 とりあえず、いっぱい殴られればいいんじゃないかな?」

「うわ、邪悪!」

「なに、盾は持たせてやる。

 あとは死ななければ良かろう」


 笑いながら、指の骨をべきべき鳴らすオーワン。

 その横で、テルスもまた弓を下げて素手で戦う準備をしている。


「そら、盾だ」

「ちっさ!」


 渡されたのは、手のひらくらいの大きさの盾。

 腕に取り付けるバックラーってところかな?


「さあ、あとは我らの攻撃を受け止めまくって、見事立派な衛士となるがよい」

「つまり今日も、結局はこのパターンってことだなちくしょう!」


 あーもう、結局2人がかりでのリンチじゃんかよ!

 ちくしょうやってやろうじゃんか!


「さもなくば、死ね!」

「おっさん本音駄々漏れすぎるだろ!」




 そんなこんなで。

 痣だらけになったりもするけれど、私は元気です……


 修行は、多分きっと、順調。そんな三日目でした。


嬉々として殴りかかるオーワン。

その目の喜びは、果たして修行か私怨か。

実は、ただただツバサを亡き者にしようとしてるんじゃと思いつつ修行は続く。


次回『ツバサの戦争 五日目』


―――早く、おっさんじゃなくて美人と戯れたいです


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