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精(霊)力をぶちかませ! ~妹幼女と精兄と~  作者: 岸野 遙
第一章 妹幼女の白パンはオムツでした
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この世の春、モテ期

 ちょっと、恥ずかしかったり怒らされたのは、良かった。

 でないと、もしかしたら、また泣いてたかもしれないから。


 生きてて良かった気持ちは本当なんだよ。

 でも、納得いかないんだよ!


 テルスが散ってオレが号泣してたシーンを、エルフのほぼ全員で鑑賞会してただなんて……!




 なんて怒りも忘却し、今回はオレのサービス回なのです☆



―――   ―――   ―――   ―――   ―――



 テルスが生きてたことを知り。

 その後、オレの状態について説明を受けた。


 精霊力の枯渇状態。

 オレの凶悪なだるさは、病気ではなく疲労みたいなものだったらしい。

 急激に精霊力が減少し枯渇した状態で、もうちょっとやりすぎたら死んでたそうだ。


 さらっと言われたが、本当に恐ろしい……

 無我夢中でフルパワーだったんだが、今後はもう少し調節ってやつを覚えよう。


 ともあれ、精霊力は少しずつ自分の中から生み出されたり、外部から取り込めるとのこと。

 精霊力の枯渇に対しては、当分安静にしてるしかないそうだ。


 そこでふと思い出した、我が師匠スフィのこと。

 聞いてみたら、オレを村まで運んだ後、滞在を拒否してふらりと森に消えたそうだ。

『許可されるなら宴には参加しよう』と言い残して。

 もちろん、話を聞いたオーワンは許可したそうだ。

 火クラゲ(名前忘れた)を倒したのはスフィなんだしな。


 そんなわけで。

 食事と、最低限の情報だけ聞いたオレは、ひたすら安静に過ごすこととなった。



 オーワンに頼まれたエルフのセーンさん(男)は、暇なオレにこの世界の文字を教えてくれた。

 会話は自動翻訳(異界の旅人のスキルらしい)でなんとかなるが、文字はそうはいかない。この世界で過ごすなら、覚えることは必須だろう。

 オーワンは、たまにセーンさんの代わりに文字を教えてくれた。主に性的な部分を。

 テルスは日に2度来て、果物の差し入れをしてくれた。元気そうだった。

 マーリィさんは、マユリちゃんが寝てる時にたまに顔を出してくれた。いつも綺麗だった。

 後の時間は、ほとんど食っちゃ寝で過ごした。


 そんな、だらけた日々を送ること二週間(6×2=12日間だね)

 ようやく体が動く程度に回復したオレは、短い闘病生活とおさらばした。

 ほとんど布団に居たせいで、身体がすっかり固まって鈍ってるな。

 でも鈍ってるだけで、テルスの訓練後と比べても衰えたり弱くなった感じは特にない。安心した。


 ちなみに、オレが最初に目覚めた時、蝕天から丸二日以上が経過していたとのことで。

 蝕天から、元の世界で言うところの半月ほどが経ち。月も半月はんげつとなり。

 今夜、先送りにされていた勝利の宴が催されることになった!



 いやー、オレの回復を待っててくれたとか、嬉しいよね!

 火クラゲ側はオレとスフィ以外全滅だったし、ガルゴジラ(だっけ?)の方もオーワン以外全滅してたそうで。

 なんだかんだで、MVPと言える働きだったらしい。

 最大の功労者抜きで祝勝会というわけにはいかぬとの長の言葉で、今日まで開催が先送りだったのだ。

 オーワンに感謝だな。




 村の中央、大きな広場。

 見張りと赤子以外の全エルフが集まる中、中央に立っているのはオーワンとオレだ。


「皆の者、此度の戦い、本当によくやってくれた!

 蝕天から日が開いてしまったが、今宵は祝勝会だ」


 オーワンの声に歓声をあげるエルフ達。

 大人しくて知的ってイメージのエルフ達だったが、宴の席では人間と一緒だ。


「今回の蝕天は、過去に類のないほどきつく激しいものであった。

 恥ずかしながら、私さえ主の攻撃で気を失ったほどだ」


 あちこちから、静かなどよめきがあがる。

 オーワン、気絶してたんだなぁ。そう言えば全然姿見なかったよな、忘れてたけど。


「だが、リーファディオル様が遣わした異界の勇者、ツバサのおかげで我らは勝利を収めた!」


 一斉にあがる歓声。拍手喝さい。


 喜びや賞賛の声に、調子にのって腕なんかあげてみる。

 お、もっと盛り上がった。楽しいなこれ!


「さあ、今宵は無礼講だ。

 戦いに出たものも生活を守ったものも、皆等しく楽しんで欲しい!」


 皆に、酒とジュースの杯が配られる。

 予め酒は飲めぬと辞退しておいたおかげで、オレのはジュースだ。


「異界の勇者ツバサと、リーファディオル様に感謝を!」

「「感謝を!」」


 乾杯の言葉はなく、皆が杯を掲げ。

 それが、宴の開始の合図となった。




「こんばんは、勇者様!」


 掲げた腕を戻し、ジュースを一口含み。

 さて―――と思う間もなく、オレの前に数人の女の子達がやってきた!


「お、おお?」

「すっごい強い主を、お一人で2体も倒したのですよね」

「とってもお強いんですね!」


 こ、これは……!


「ははは、ツバサくんは早速もてもてだな。

 お前達、ツバサくんはまだ病み上がりだからな。座らせて、食事をお持ちしてあげなさい」

「はい、わかりました」

「ツバサさん、こちらへどうぞ」

「ツバサさま、何か召し上がりたいものはございますか?」


 オーワンの言葉に、意外とてきぱきと動くエルフ子ちゃん達。

 若干のだるさはあるが、そんなに辛いわけでもない。でもちやほやされちゃう。


 一番近くのベンチに座らされると、両脇に腰を下ろして身体を寄せてくるエルフ子ちゃん達。

 隣に座れなかった2人は、一人はさらに隣、もう一人は椅子を持ってきて斜め前に陣取った。


 おおお、いい匂い、あったかい、これだけでも幸せすぎる!

 どっちを向いても可愛い子ちゃん、どっちを向けばいいんだくうう!


「勇者様、ご気分はいかがですか?」

「あ、ああ、すっごくいいよ!」


 もう、すっげー気分いいよね、みんなのおかげで!


 って、言っちゃおうかな、言っちゃおうかな?

 うん、自重なんかしてたまるか!

 爽やかなはずの笑みを浮かべて。


「君たちが居てくれるからね」

「「きゃー!」」


 ちょっとわざとらしいオレの言葉に、黄色い声をあげるエルフ子ちゃん達。

 うおお、自重しなくてよかった!


「勇者様、まだお加減よろしくないのですよね。

 私が食べさせて差し上げます!」

「あ、えっちゃんずるーい!」

「飲み物が欲しければ、あたしに言って下さいね」


 4人の美少女エルフ子ちゃん達に囲まれて、まさに春、まさにモテ期!


「勇者様、あーん?」

「あーん」

「ツバサさま、こっちもですよぉ」

「ツバサさん」

「ツバサ様」


エルフのかわい子ちゃんに囲まれてうはうはのツバサ。

ちょっと冷たい視線や周囲の好奇の目にも気づかぬ幸福は、しかし。

帰ってきた師匠によって、見るも無残に―――


次回『帰ってきた衆道』


―――エルフ子ちゃんハーレム、とならないのがツバサクオリティ。


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