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精(霊)力をぶちかませ! ~妹幼女と精兄と~  作者: 岸野 遙
第一章 妹幼女の白パンはオムツでした
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蝕天・其の一 連戦

 最初に会ったのは、森の中。

 正直、殺されるかと思った。


 面倒見がいい……のか悪いのか、最後までよく分からなかった。

 それでも、面倒を見てくれたのは確かだった。


 基本的に、淡々としていたけど。

 時々、驚いた顔を見せたり、褒めてくれたり。


 マーリィさんの前でだけは、珍しく感情的で。

 面白くもあり、楽しくもあった。



 オレは。

 お前の、友人、だったんだろうか?


 なぁ、テルスよ。



―――   ―――   ―――   ―――   ―――



「―――そろそろ、行くか」


 俯いていた顔を上げて。

 立ち上がれぬまま呟いた声は、なんとも遠くて、他人の声のようだった。


「うむ」


 頭に手を置き、少し乱暴に撫でてくれるスフィ。

 無駄に涙が出そうになるのをぐっと飲み込んで。

 軋んだ体に鞭打って、ゆっくり立ち上がる。


 まずは、村に戻ろう。

 それで、オーワンとマーリィさんに、話そう。


「……」

「ん、どうした?」


 うん、えっと、あれ。

 た、太陽があそこ、だから……えっと、朝には……


「……スフィ師匠」

「なにかね、不肖の弟子よ」

「エルフの村の方向、分かる?」


 結局最初から最後まで、師匠に頼りっぱなしでした。


 頼りがいのある師匠で嬉しいです!




 水晶玉を持って歩くスフィ。その後ろを、それなりに長い事歩いている。


「ついでだ、いくつか教えておいてやろう」

「ん? うん、よろしく」


 知りたいことはある気がするんだけど、尋ねる気になれなかった。

 そんなオレを思いやってか、スフィの方から話を切り出してくれる。


「まず、精霊力の受け渡しについてだが」

「……お、おう」


 きゅっ、と。あれこれが引き締まっちゃう。

 心とかだよ!

 おしりじゃないよ!


「基本的に、お前と共に行動するだけで少しずつ影響を与えていく」

「一緒にいるだけで、渡されるってこと?」

「そうだ。

 今こうしているだけでも、少しずつ影響を与える。

 ま、数時間程度では変化を感じることなどないがな」

「ふむふむ」


 身体から漏れ出るパワーを吸収しちゃう、みたいな感じだな。

 でも少ないから、ちょっとやそっとじゃ意味がない、と。


「次に、直接汝と接触することで、汝の精霊力を大幅に受け取ることができる」

「接触……」

「布越し、素肌。キス。その先は、性的な接触というところだな」

「性的!」


 なんだろう、このときめく響きは!

 ときめくのに、相手がスフィだと怖くなる響きは!


「この世界の者の有する精霊力からすれば、だが。

 手をつないで歩くだけでも、数時間で目に見えて精霊力を受け取ることができるだろう」

「おおー、すげぇ」


 具体的にどんなもんかぴんと来ないが、公然とデートに誘えるってことだな!


「それよりも多量に受け渡すなら、接触よりも強く繋がり、明確に力をやりとりする必要がある」

「つ、つまり?」

「性交渉だな。

 汝の精霊力を、直接相手に注ぎ込む」


 う、うおおお。

 直接注ぎ込むとか、注ぎ込むとか!


さかるな、ゲス野郎」

「ひっ」


 地の底から響くような、氷の中から睨みつけるような声に思わず縮み上がるアレソレ。

 スフィ師匠、小柄なくせに迫力あります……


「触れて受け渡すのと比べても格段に違う。

 その力の大きさは、我の魔法で見た通りだ」

「そ、そうですね」


 あのスフィの小さな唇で、五回も……!


「って、ちがうちがうちがう!」

「?」

「喜んじゃだめだ、ハマっちゃダメだ、男は駄目なんだ!」


 慌てるオレに、くっくっくと肩を震わせるスフィ。

 師匠、こえぇっすよ!


「なんだ、先にあれほど出したというのに。

 それ程我の奉仕が気持ちよかったか」

「超気持ち良かったで―――ちがうってば!」

「よい、許すぞ。

 汝が良い弟子であれば、またしてやらんこともない」


 うっ、くそ!

 ちょっと喜んじまった、くそ、くそ!


「ともあれ、精霊力を渡す方法は以上だ」

「ううう、了解……」

「あと、気持ちの問題も大きな影響を与える」

「気持ち?」

「力を渡したい、力を受け取りたい―――という気持ち、ではなく」


 ん?


「単純に言えば、好意だな。

 精霊力は感情の影響を受ける」

「つまり、オレがスフィを好きだと効果が大きいと?」

「そこで我を引合いに出す辺り、よほど我に夢中と見えるな」

「ち、ちがう、そんなんじゃない!」

「くくく、照れるな。

 汝の気持ちも、我の気持ちも、だな」


 照れてるんじゃなくて違うんだもん!


「で、ここからが本題だ」

「ん?」

「汝の精霊力は、それはもう莫大だ」

「らしいなぁ。実感ないけど」

「その力を得ようと、悪意に晒されることもあろう」


 この力を?


「それって……」

「えろい誘惑でお前を唆し、精霊力を受け取るために契る、ということだ」

「お、おおお……!」


 ま、まじかまじかまじか!

 なんだそれ、イケメンの比じゃねーじゃん!


「喜ぶな、ゲス野郎」

「いやだって、これは喜ぶだろ、合意の上だろ!?」

「そうだ、が……」

「ひゃっほう、バラ色だぜ!」


 つまり冒険者の魔女っ娘とか、精霊力の弱い巫女さんとかが喜んでオレに抱かれに来るわけだ!

 オレの精(霊力)が欲しくて!


「……はぁ。まぁ、いいか。

 教えた以上、義理は果たした。後は好きにするがいい」

「教えてくれてありがとう、師匠!」

「ふん、都合のいいやつめ」


 ちょっとつまらなそうに足を速めるスフィ。

 いや、露骨に走るほど速いよ! いきなり走り出したよ!


「師匠、いきなり早いっす!」

「ゆっくりしてる場合ではなくなった。

 別の天の影で、戦闘中のようだ」

「!

 それってもしかして、オーワン達が向かったっていうもう一つの?」

「かどうかは分からんが、村の北西、少し行った所だな。

 このまま向かうが良いか?」

「もちろんだ!」


 何が出来るかわからない、何もできないかもしれない。

 それでも。


「向かってくれ、スフィ」

「分かった。

 手を繋げ、何もしないよりマシだろう」


 スフィの伸ばした小さな手を、握る。

 柔らかく、温かく。オレよりずっと、小さな手。


「先ほどの戦闘で、汝から借り受けた精霊力はほぼ使い切った。

 今度は、汝自身が敵を倒すのだ」

「お、え、ええ?」

「大丈夫、先ほどの戦いを経た今なら、やれる」


 握りしめた手から。

 暖かさや安らぎや、スフィの期待や信頼や。色んなものを感じて。


「わかった。

 やれるかどうかは分からないけど、とりあえずやってみるよ」


 オレは、小さく覚悟を決めた。

 死ぬまで頑張る必要はないんだったら、まず頑張ってみるくらいはいいよな!


「それでいい」



 それから、もう少しだけ走り。


「さぁ、見えたぞ。

 きっちり勝利し、汝の初陣を飾ってみせろ」

「了解!」


 オレはスフィと共に、最後の戦場に辿り着いたのだった。


精(霊)力の受け渡し方法に喜ぶも、束の間。

状況を知り、もう一つの戦場へとなだれ込むツバサ。

今度こそ、自分が後悔せず納得できる結果を得られるのか?


次回『蝕天・其の一 決着』


―――主人公、ついに精(霊)力以外を解き放つ、のか?


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