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メモリー:7~夏~
飼う・・・・・?うちで・・・?
「・・・・・」
陽南乃は言葉が出てこなかった。
「陽南乃。責任、取ってくれるわね?」
「・・・・あ、う、うん!!もちろん!!」
嬉しさのあまりその場にかたまってしまった。
母が
「陽南乃、先に車に行ってて
お母さんは先生と大事な話があるから。」
「キツネちゃんのこと?なら、わたしも・・・」
「いいから、行ってなさい。」
「・・・はい」
お母さんがやけに冷静だ。
いつもはもっとにこやかなのに・・・・・
陽南乃はとぼとぼと車のある場所へ歩いて行った。
(お母さん、いったい何の話をするの・・・?)
そして約15分後。
「おまたせ~ごめんね!遅くなっちゃった!」
お母さんが戻ってきた・・・。
いつもの笑顔で。そして母の腕の中には
子ぎつねが眠っている。
「さ、帰ろうか。」
わたしはうなづいた。
帰りの車の中で、わたしは子ぎつねの名前を考えていた。
(ナツ・・・?それとも・・・ツナ?)
わたしの頭の中には「夏」という言葉しか思い浮かばなかった。