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RTAシリーズ

【姉END】主人公追放RTA ~SSSランク勇者パーティを人類最速で追放されたい俺が、深夜のカップヌードルで勇者を釣り出した結果、実姉に額を割られるまで〜

掲載日:2026/05/04

【主人公追放】


主人公追放は単なる「クビ」の物語ではなく、「正当な評価を得られなかった強者が、束縛から解き放たれて自由に輝く姿」を描く、現代的なシンデレラストーリーの一種――。

 

 聞こえはいいけど、シンデレラっていうほど強者か? な、RTAが今始まろうとしていた。


「この世は合理。俺の名前は合理太郎……すごい力持ちの俺がぁ!! SSSランクの勇者パーティからぁ!! 人類最速でぇ!! 追放されてやるぜっ!!」


 すごい力というのは物理なのか、それとも特殊能力なのか。

 合理の欠片もない太郎の絶叫が闇夜に響き渡ると、勇者一行は目覚めた。


 パァァン!!


 誰がやったのかはわからない。

 太郎の額を捉えようと鞭のように伸びてきたのは、濡れタオルだった。


 しかし太郎は凄い力持ちなので、この攻撃を避けない。

 発生したアドレナリンによって、痛みを感じさせないという合理性を見せた。


「ニィィィィ!!!!」


 歯を食いしばる太郎。

 アドレナリンだけでは、ちょっと痛いらしい。


「おのれ殺してやる!!」


 突然みせる狂気。

 先日開催された、第12回世界やせ我慢選手権で32位に入賞した太郎であったが、痛みは我慢しきれなかった。


 テントから飛び出してきたのは、鬼龍院(きりゅういん)彩香(あやか)

 職業・戦士。

 勇者パーティの中で最も首の太い男である。


「……また騒いでおるのか。なぜそんなに追放されたい?」



 パァァン!!



 真面目な展開になりそうなところで

 彩香の額を合理的に割ったのは、

 濡れタオル使いのムチャマッチョだった。


 勇者パーティの中でも絶世のセクシー担当であるこの魔法使いは、

 女子専用テントから一歩も出てくることなく合理的に熟睡した。


「くそう!!」


 どうする、どうなる、展開に置いてけぼりの主人公。


 悔しがった太郎は、懐からおもむろにカップヌードルを取り出すと、

 線よりちょっと下になるように、合理的にお湯を注ぎ入れた。


「ふざけんじゃねぇ!! お前コラ、カス、コラァ!!」


 次の瞬間、テントから出てきたのは

 金のネックレスと腕時計に、柄シャツを纏った勇者でした。


 そうです。

 すべては太郎の計算だったのです。


 深夜のカップヌードルは、パーティを率いるこの男を召喚するための専用アイテムでした。


「ふっ……ついに出たか」


 何も知らず、おめおめと姿を現した勇者に、太郎は思わず笑ってしまいました。


 さぁ、太郎。タイムを叩き出せ。

 リーダーに何か、嫌われることでも言って、追放されるがよい。


「俺、今日で辞めます!!」


 うーん……ふつう。

 考えてみれば、逆に合理的か。


 これに対し、勇者はどう応えるのでしょう。


「お前が辞めたらケイティちゃんの散歩、誰が連れて行くんじゃぁぁぁ!! コルァァァ!!」


 ――ワン。


 丸々と太った柴犬が、巻き巻きの尻尾を振りながら、二人の足元に座り込んでいました。


 ケイティちゃんです。

 柴犬3年、ペット半年。

 行き場のない彼女を拾ったのは、他でもない太郎でした。


 今日もケイティちゃんは合理的にカロリーを摂取するため、

 太郎の作ったカップヌードルに鼻を突っ込もうとしました。


「ダメダメダメ!!」

「ガルルルルル!!」


 拾われたことに恩義を感じることもなく、今日もケイティちゃんは食事を邪魔してこようとした太郎の手を、骨が見えるまで全力でかじりつきました。


「ニィィィィ!!!!」


 太郎の合理的防御は合理的に説明文章すら省く。


 さぁ、収拾がつかなくなった。

 そのとき、重い腰を上げたのは――。


「めんどくせ」


 パーティで一番のニート。


 めんどくさい先にしか、

 見たことのない景色は広がっていません。

 これでは、どうにもなりません。


 タイムロスのピンチです。


 さあ、どうする太郎!?


「チッ……」


 太郎が懐から取り出したのは、猿と雉。

  【桃太郎】という職業をニートに与え、きび団子も持たせずに旅に出した。

 ついでにケイティちゃんも追放。

 実に合理的である。


「そうか!!」


 自らの策で新しい策を閃く。

 さすがは主人公。


 そう。

 自分が追放されるのが難しいなら、自分以外を消せばいい。


 危険な思想に達した太郎が、手始めに懐から出したのは暴対法!!

 チンピラ勇者に法的根拠で対応、そして退場。


 続いて取り出したるは、スコップ!!

 これによって彩香とかいう、深夜テンションで生み出された悲劇のキャラはいなくなる!!

 すごいぞ、太郎!!

 ありがとう、太郎!!


「問題は……」


 さあ、ラスボスだ!!

 太郎が見据えるは、総勢50名がひしめき合う女子専用テント。

 別名――やめておきます。


 それでは太郎さん、懐ガチャをお願いします!!


「ついに、これを使う時が来ちまったか……」


 なんと、なんと!!

 太郎が出したのは、50人の理解ある彼氏だぁ!!

 これは強い!!

 これは平和的!!

 素晴らしい物語が幕を下ろしそうだぁぁぁ!!



 スパラパラパラパラパパパパァァァァァァン!!!!



「うるせぇんだよ、何時だと思ってんだ?」

「ごめん……姉ちゃん」


 濡れタオル使い、ムチャマッチョ。パーティ最強の女。太郎の姉。


「……お前もさ、バズりたいのかもしんないけど、ふざけすぎ。そのジャンル、好きな人もいるんだから。大人なら、ちょっと考えればわかるよね?」

「???」



 …………。


「わかるよなぁ!?」



 ……すみません。


「声が小せえぇぇぇぇ!!!!」


 はい!! すみません!!


「じゃあ、やり直し。明日、ダンジョン配信・現代ファンタジーで書き直しな。うちの太郎、貸してやるから」


 そのジャンルも、ちょっと知らない……


「あ?」


 頑張ります。



 ムチャマッチョがにこりと笑うと、太郎の額が割られた。

 頑張れ、太郎。

 頑張れ、私。

 ゴールデンウィーク短編も、あと一本で終わりだ。

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