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『チョーク一つで世界を変える〜異世界教育改革漁村編〜』  作者: くろめがね


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57/61

第五十七話「続くと、仕組みになる」

57話です。

二人目は、

昼に来た。


朝じゃない。

夜でもない。


一番、

人が多い時間だ。


「……また来た」


ランが、

干し場から言う。


今度は、

女だった。


年は若い。

だが、

目が合わない。


立ち方が、

昨日の男と同じだ。


「……ここは」


言いかけて、

言葉が切れる。


誰も、

助け舟を出さない。


昨日と、

同じだ。


作業は、

止めない。


先生は、

板を持たない。


「……数、

 合ってる?」


女が、

小さく聞く。


「合ってる」


マリが、

即答する。


女は、

それだけで頷いた。


「……なら、

 いい」


座る場所を探す。

探して、

迷って、

端に座る。


誰も、

誘わない。


拒まない。

だが、

迎えない。


「……昨日、

 戻ってきた人がいるって」


女が、

ぽつりと言う。


「いる」


ランが答える。


「……壊れてなかった?」


「壊れてない」


「……本当に?」


ランは、

板を指す。


数が、

並んでいる。


「減ってない」


女は、

板を見る。


「……減ってない」


同じ言葉を、

繰り返す。


それだけで、

呼吸が落ち着く。


昼。


二人は、

干し場の端で

同じ作業をしている。


教えない。

だが、

見れば分かる配置。


「……これ」


女が、

干物を持ち上げる。


「向き、

 逆?」


「逆」


マリが答える。


「……理由は?」


「腐る」


それだけ。


女は、

何も聞かない。


理由を、

掘らない。


それが、

ここでは正しい。


先生は、

遠くから見ている。


板を立てる。


戻ってきた人

×2


「……増えたな」


ランが、

小さく言う。


「増えた」


先生は、

頷く。


「だが」

「まだ、

 “特別”だ」


「特別?」


先生は、

板に線を足す。


特別

扱いが決まっていない


「……あ」


「昨日までは」

先生は続ける。

「“どうするか”を

 考えていた」


「今日は?」


「考えなくていい」


「……え?」


先生は、

浜を指す。


二人は、

作業している。


止まらない。

邪魔もしない。


「何も、

 追加していない」


「ルールも?」

ランが聞く。


「増やしてない」


「説明も?」


「してない」


「……じゃあ」


先生は、

静かに言った。


「これが、

 最初の仕組みだ」


沈黙。


「仕組みって」

マリが言う。

「もっと、

 固いもんだろ」


「違う」


先生は、

首を振る。


「仕組みは、

 考えなくても

 回る形だ」


夕方。


三人目は、

来なかった。


だが、

来ないことに

誰も安堵しない。


「……来なかったな」


「来なくて、

 いい」


ランが言う。


「来たら、

 受ける」


それだけ。


夜。


灯りが、

もう一つ増える。


外向きじゃない。

内向きだ。


女が、

小さく言う。


「……ここ、

 変」


「どこが」


「優しくない」


ランが、

吹き出す。


「正解」


女は、

少し考えてから言う。


「……だから、

 壊れない」


先生は、

板に最後の一行を書く。


仕組み

優しさを

要請しない形


この村は今、

人を救う村でも、

受け入れる村でもない。


ただ――

減らさない作業を

 続ける場所になった。


それは、

目立たない。

誇れない。

噂にもならない。


だが――

続く。


次に来るのは、

奇跡じゃない。


**“数が増えた時”**だ。

誤字脱字はお許しください。

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