男の正体
前回は色々あったやつでしたね!
今話もよろしくお願いします!
「あっあなたは───!」
目を輝かせてこっち、いや僕を見る男性。
その目には、涙すらも浮かんでる気がする。
「えっええと……」
そんな人の目に涙を浮かべるようなこと、言ったかしたかわからないけど僕ができるだろうか。
良くも悪くも田舎育ちで割かし平坦な人生。
相談に乗りこそすれど、人の何かを変えるようなことはした覚えも言った覚えもないし……
(ん?)
よくよく見るとこの人、どこかで見たことあるような気がする。
「もっもしかして……覚えてない、ですか?」
「ごっごめんなさい……」
すこし、いやかなり気まずい。
でも、もう少しで思い出せそうな気もするんだ。
「そうですよね。あれから忙しくなって、結局店でお会いしたのも一回きりだし、道端で会うなんかなかったし……」
(ん?店?)
店、ということはお客さんとして来たことがある、っていうことなのだろう。
何か、そんな気もしてきた。
ふと、頭に浮かんだバーで働いていた時の記憶。
確かあれは冬場で……
「あーっ!!」
そうだ、あの人だ。
「おお思い出してくれたんですか!よかった!」
興奮気味に、僕の両肩をガッと掴む。
固い皮膚、僕よりも大きい背丈。
大体ガレドより少し大きいくらいだろうけど、至近距離だからかインパクトがすごい。
「ごめんなさい忘れてて!お久しぶりです!」
「いえいえ全然!また会えて嬉しいです!」
何回か、落ち込んで入店する人がいて、彼もそのうちの一人だった。
名前は確かロガン。
どおりで見覚えがあったわけだ。
なんだかとてもすっきりした気分。
「ちょちょーい!」
僕とその人の間に割り込むロゼル。
「ちょちょいちょいちょい?」
「ちょちょいちょいちょーい!いやじゃなくて!そこの人!」
パッと指をさし、威嚇するように声を張る。
「何があったかは知りませんが、アラトは私の、幼馴染なんですからね!」
「は、はあ……」
困惑した様子。
本当に申し訳ない。
ただ少し、それに対して嬉しい自分もいる。
より一層、申し訳ない。
「おい、それを言うなら俺らの、だろ?」
「いやそこじゃないんだよなあ……」
「くんくん……」
ルーナが僕の体をくまなく嗅ぐ。
なんだか恥ずかしい。
「……何食べたの」
「えっと、シカゴピザ?ってやつ」
「今度行こ、2人で」
「うんいいよ」
僕が頷くとルーナは嬉しそうに少し笑う。
結構会う時間は多くても、2人で話すなんてあまりなかったしたまにはいいのかもしれない。きっとルーナも同じ考えなのだろう。
「ちょっずるいですよ!」
「早い者勝ち」
「アラト!俺も行きてえ!」
「うん、今度ね」
「わ私も!」
「う、うん……」
中に入ったとはいえ入り口付近には変わりないし、こんな長居するのもそろそろ怒られそう。さすがにそろそろちゃんと中に入りたい。
「あの、もう少し中でお話しされては?」
と思っていたら、受付嬢さんに注意されてしまった。
「すっすみません!」
「いえいえ、大丈夫ですよ。というよりそれよりも───」
目線が僕から逸れ、後のベルゼさんに行く。
「ん?なんだい」
「あの、Bランクのベルゼリアさんですよね?実はお願いしたいことが───」
遮るように鎧の音がする。
動いたのは、前にいる副団長とやらの人。
「なに?Bランク……少しお伺いしたい」
「だからなんだって。さっさと言いな」
そうして彼は、紙を前に突き出す。
「これを受けるつもりはないか?今ちょうどBランクパーティーが必要なんだ」
「どれどれ……」
その紙をじっくりと吟味するように眺める。
(っていうか、聞いてなかったんだ昼のやつ……)
割と大きい声で言っていたのに。
まあ、そこまで興味がないんだろう。
「よし、かまわないよ。だけどパーティーは臨時のでいいか?」
「臨時か……」
「そっこの4人だ!」
そう言って、僕ら幼馴染4人をがっと1つにまとめるように寄せる。
「なるほど……君たちランクは?」
僕らを見つめて聞く。
ものすごく答えにくい、というか答えたくない。
「Cです」
「Dだ!」
「D」
「……G,です……」
僕だけグッと下。
恥ずかしいというか、情けないというか……
「なるほど……しかし臨時か……連携は取れるのか?」
「連携、っというかこいつら見りゃわかるだろう?」
副団長はそう言われると、僕だけチラッと見て、すぐ3人の方へと目を移す。
そして3秒ほど見つめたと思ったら、少し頬をあげながら口を開いた。
「なるほどな。1人はともかく、確かに言うとおりだ───」
言い終わると同時に、受付の奥から声がした。
「その3人なら、私も保証します」
「おおっあなたはもしや───」
無精ひげでこのギルドではあまり見ないひょろっとした体系。
あちらそこらに寝癖を携えた、まるで二日酔いをしたようによれよれの服を着た頼りなさそうな男は───
「どもども、ここのギルドマスターでそこにいる3人の実技試験を担当したロウルです。いやいや、こんな格好ですみません仕事が立て込んでて……」
「いやいや、お噂はかねがね」
互いに一礼。
ギルドマスターだからそれなりのことはやっていたんだとは思っていたけど、副団長が頭が下げて敬語を使うほどなんて……
見た目からじゃ全く想像もつかない。
「あの元“木漏れの光刃”の方の後押しとなれば、これほど心強いことはありません」
「いやいやおr、私なんかあの中だと雑用みたいなもんでしたから」
「ご謙遜なさらず……いや、本題が逸れてしまった」
クルッと僕らに向く。
その眼から伝わるのは、安心と期待の感情。
「では、君たちに任せることにする。出立などはそちらに任せるが、できれば迅速な対応を求む。場所は南門から出てすぐの、クルルの森だ。よろしく頼む、では!」
そういうと副団長は外へと出ていき、後を追うように他の兵士たちも列を成しながら出ていった。
緊張の糸が一本切れた感覚。
僕はため息をする。
「ふう……」
「どしたアラト?」
不思議そうな顔で僕を覗くガレド。
「いや、ちょっと食べすぎちゃって」
「あっそれは行けません!少し休みますか?」
「いやいいよ別に」
「ダメ、休んで。依頼は夜から」
「いやホントに大丈夫だって!」
特に戦力にならない僕で、時間を取るわけにはいかない。
というか、みんなが僕のせいで待つっていうのは申し訳なさすぎる。
「アラトさん、俺は大丈夫ですよ!」
「私も、まあいつからやっても変わらないからね。というか、腹パンパンで動けない奴なんか、邪魔なだけだよっ」
2人とも僕のために言ってるのがよくわかる。
(ここで断るのも、逆に失礼なのかなあ……)
「じ、じゃあ言葉に甘えて……」
「よしっじゃあアラトの部屋行くぞー!」
「部屋まで運ぶ」
「ダメですよ!食べ過ぎた時は歩くのがいいんですから!」
そして僕は、3人に流されるがままホテルに向かうのだった。
酒の匂いにまみれたところに慣れていたからか、空気が美味しい。
ただ、食べ過ぎと夜のことが相まってお腹は少し、痛いけど……
今話読んでくれてありがとうございます!
展開進んでないけど、次回は森に行きますよー!
この森回終わったら、作品内では書ききれなかったキャラクターの情報とか世界観の情報とかを小出しにするやつを作ろうと思ってます!
次回もよろしくお願いします!!
じゃっ!!




