表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

Ep.1 さるちゃんと夏祭り

初投稿です。

毎日連載できるよう頑張ります!

「さるちゃーん、夏祭り!」

「だな」


講義が終わったと同時にどすり、背中に鈍い重量を感じた。おも。申田(さるた)は文句を言う元気もなく、昨日から走り続けている音ゲーのイベント譜面を叩いていた。

肩にぐでんと寄りかかっているのは同じサークルの同級生、新戸(にいと)だ。猫毛の薄い茶髪が、視界の端に移っている。ふわ、とあくびをかみ殺した申田は、譜面が易しくなった瞬間にちらりと新戸を見やった。手元にはひらひらと何かのチラシを持っているようだ。申田は新戸が何かを言っていた気がしていたが、何も聞いていなかったのでとりあえず頷いておいた。


「ちょっと、」


新戸はどうにもそれが気に食わなかったらしい。額にしわを寄せて申田の眼前にそのチラシを提示した。


「夏祭り!!!」

「うん」

「なーつーまーつーり!」

「うるせー」


耳元で叫ばれて意識がそれた。


「あ」


右フリック入力の反応が送れ、450combo!の文字があえなく消えて0からのスタートになる。くそ、ポイントもったいなさ過ぎる。 


「ねーえ」


妨害されるのはわかっていたので、ひょいと新戸の手を躱してスマホの画面を閉じた。まあ別に報酬カードさえもらえればそれでいいし。ちょっとぐらいサボったって間に合うはず。


「で?」


ようやく画面から目を外した申田は、肩に顎を載せたままの新戸を見て首をかしげる。わ。すげー不満そうな顔しててウケる。


「だから、夏祭りだって」

「それが?」

「あるの。7月15日に」

「そーなの」


うんともいいえとも言わない返答に、新戸の頬がみるみる膨れていく。


「も~!!!!こんなにかわいい俺が!夏祭りのパンフレットをもってきて、さるちゃんのことウルウルした目で見てるんよ?はい、模範解答は?」

「祭りって人多くて苦手なんだよなァ」

「......ふーん。いいもん。1人で行くもん。きれーなおねーさんと一緒に行っちゃうもんね!申田のことなんて知らないからァ~!!」

「うそうそ、行くよ」

「なぁに、お姉さんってって聞いて妬いたの?」

「や、迷子になって補導されそうだなと思って」

「何歳だと思ってるの俺のこと」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ