9 死地へ征く
僕の誕生日から約一か月が経とうかという時、それは突然だった。
アサルトさんはみんなを集めて言った。
「七日後、我々はミラク研究所、ライグウ支部を陥落させ、囚われた一般人100名を救出する!」
皆に緊張が走る。今回は普通の基地の攻略とは違う。今までは警備などはあったが、実態は研究所だった。だがライグウ支部は他の研究所とは違い、実態はほ軍事施設で、武器や兵も多くいる、かなり強固な基地なのだ。
「アサルトさん、またなぜそんな急に!?」
僕はアサルトさんに尋ねた。
「いい質問だな少年!実はこんな手紙が届いたのだ!」
手紙を読んでみる。
『こんにちはギャン革命軍の皆さん。
これより七日後、ライグウ支部で一般人100名を研究目的で使用する。
君達が止めたいと思うのならば、我々は歓迎するつもりだ。
ミラク研究所より。』
手紙を見てぞっとした。
つまり七日後までに来なければ、罪のない100人もの人を殺すというのか。
「隊長、これは明らかに罠ですよ!」
「うむ!間違いないな!だが、我々は100名の命を見殺しにはできん!」
何も言い返せない。
「みんな!戦の準備だ!」
急すぎて実感が湧かないが、三日後、そのライグウ支部へ行くことになった。
作戦としては正面突破になった。というか、それしかなかったというのが正しいのか。先程も言った通り、このライグウ支部は堅牢な基地で、全くと言っていいほど穴がなかった。みんなはずっと緊張していた。アサルトさんは、いつも通り元気そうに振る舞っているが、みんなわかるのだ。今回の戦闘でこちらが1人も死なない訳がないと。
今回の戦いは熾烈を極めるだろう。だが、ここの基地を落とせば、相手には大打撃。
だがそれは相手にも分かっている訳で、ここの守りに手を抜いていない筈がない。
三日は1時間に思える程早く過ぎた。
汗が首から流れ落ちる。
死の可能性が近寄って来ているのが分かる。
死神が僕の肩に手をかけている気がする。
今まで当たり前にいると思っていた人が明日にはいないかもしれない。
「ハルさん、水飲みますか?」
「ありがとうフェル、助かるよ。」
その日の夕方、バイクにまたがると、アクセルを踏むのが恐ろしかった。
死地が近づくと、覚悟が決まってきた。
途中からはバイクを降りて、歩きで向かう。
相手から死角の一番近い場所まで来たところで、
「これはやべえぞ……ハル、気張れよ!」
ドルガさんが励ましてくれた。
前を見ると、大砲や機械兵がずらっと並んでいた。
こちらの人数は1000人ぐらいなのに対して、向こうは外に居るだけで2000はいる。
これは確かに、素晴らしい歓迎だな。素晴らし過ぎて、開始1秒で爆死しそうだ。
「ハル!顔を見せろ!」
アサルトさんに呼ばれた。
「暗い顔をするな!我々はここを突破して、世界へ平和を取り戻す!」
明るい顔をなんとかする。
「よし!いい顔をしている!もう大丈夫だな!」」
「はい」
顔は明るくしていても、声は震えている。
「ハルさんっ!」
「フェル、どうした?」
「あの、、」
「……頑張りましょう!」
「…ああ、そうだな、頑張ろう。」
アサルトさんは声を張り上げる。
「みんな準備はいいか!今から我々は、このライグウ支部へ挑み、攻略して4階に囚われているであろう被害者を救い出す。本当にすまないが、"死んでも"勝つぞ!
心を決めてくれ。ここまでついて来てくれた皆に感謝する!」
「はい!」
「いい返事だ!それではみんな、2分後に突撃だ!」
みんなの顔を見ておく。
みんな緊張している。緊張しないはずがない。
「おい」
ドルガさんが話しかけてきた。
「言わなくていいのか?フェルちゃんに何か」
「はい」
「それはこの戦いが終わった後に言うつもりです。」
「たまにはカッコいいこと言うじゃねえかよ」
心は決まった。
こんにちは、身見不です。
この物語を発見、そして読んでいただきありがとうございます
僕は話のペースが速く、とても細かく区切って投稿しているので、そこのところで何かあれば、是非評価やいいね、感想などで教えてくれると今作や次回作に反映でき、参考になりますので、送って頂けるととても嬉しいです。今後もよろしくお願いします。