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15 託す

アズサメアが指を鳴らすと、周りのモニターの電源がつき映像が映る。

そこに映されていたのは、ミラクの各地の研究所から、機械兵器や戦車がワラワラと出てきている映像だった。


「我々は世界へ宣戦布告し、壊滅させ我が物とする。」

「と同時に……」


急に、後ろの不気味な機械が動き始めた。


『超次元ポータブルを起動します』

「アサルト。お前は今日ここで殺してやる。」


次の瞬間、雷のような音が鳴り、小さな真っ黒の球体が空中にできたと思ったら、それを中心にグニャリと空間が捻じ曲がり、その中から誰かが出てきた。


「あーお邪魔虫だ!殺されにきたの?アサルトちゃん!」

「アズサメアー僕は呼ばないでって言ったよね!うう眠い」

「うるさい。さっさと終わらせよう」

「んんんんん!、?!ああ!アサルト!アサルトだ? うん。そうだ ね?死、死死死死死んで欲しい!死んで欲しいな?」


なんだなんだ?ゾロゾロと人が出てきた。

でもミラク研究所関連の奴らであることは間違いなさそうだ。

と思った次の瞬間、すごい速度でアサルトさんが近づいてきた。


「少年!いいか?よく聞け!そこのフェルを抱えてここから逃げろ!出来るだけ遠くへだ!」

「え?は、はい!分かりました!」

「頼むぞ!」


そう言うと、アサルトさんはニコッと笑って頭を撫でてくれた。


「ハル。手を出して。」


アサルトさんはいつもの勇ましい感じと違って、なんだかとても優しく、今が緊迫した状況なのに気が抜けてしまいそうになった。

言われた通りに手を出すとそこにアサルトさんは手を被せ、僕の手に何かを置いてくれた。そこには青色のブレスレットが置いてあった。


「これは一体…?」

「このブレスレットには強い術式が組み込まれていて、君を守ってくれるんだ。」

「いいかハル。君は強いから、生きて。そして世界の人達を生かすんだ。」

「きゅ、急にどうしたんですか?!」


アサルトさんは僕の腕にそのブレスレットを左腕につけると、


「よく似合っているぞ!」


と言ってくれた。


「さあ!早く行ってくれ!」


僕はアサルトさんの言葉通り、立ち上がってまず気絶しているフェルの所まで駆け寄る。アサルトさんは、アズサメアと先程出てきた4人との計5人を相手に激戦を繰り広げている。


「フェル!おいフェル!」

「うう……ハル、さんっ……」

「歩けるか?」

「足が、痛いですっ」

「分かった、肩を貸すよ」


僕はフェルと肩を組んで、一歩一歩前へと歩く。

周りからは爆裂音が聞こえてきた。僕はもう一度アサルトさんの方を見た。

するとそこには、片腕がないアサルトさんの姿が見えた。僕が呼びかけようとすると、ショットガンの玉のようなものがアサルトさんの腹部を貫通し、血飛沫をあげる光景が目に入った。アサルトさんはこちらに気づくと、手で払いのけるような仕草をして、「来るな!」と叫んだ。

僕は目の涙を拭って、また前へと歩みを進める。フェルはアサルトさんを見て、「ダメ!ダメ!」と言って体をバタつかせ喚いている。

急にグワンという音がして後ろを向くと、そこには先程の4人が出てきたゲートが起動していた。アズサメア達が、そのゲートに入って姿を消す。視点を下に落とすと、体中穴だらけでピクリとも動かないアサルトさんが座り込んでいた。

悲しみに浸る暇もなく、ライグウ支部研究所のスピーカーから恐ろしい音声が聞こえてきた。


『ライグウ支部は信号を受信したため、10秒後自動的に爆破されます』


どうすることも出来なかった。というか、どうでもよかったのかもしれない。

アサルトさんとは長い付き合いという訳ではないはずだが、心に穴が空いてしまったような感じだ。

放送で『10、9、8……』とカウントダウンが始まっている


「ううっ……ぅあっ……あ…アサルトさんっ……!」


フェルが座り込んで泣き出す。

僕の腰あたりを掴むと、ぐっと僕の体を引き寄せ抱きしめてきて、顔をうずめて泣きじゃくった。


「なんでっ……!ぅううっ……ハルさんっ……!」


僕の目からも滝のような涙が流れ、僕の服はびしょびしょになってしまった。


『3』


カウントダウンが進むが、一歩も動けない。

死を覚悟した次の瞬間、僕の腕のブレスレットが強く光りだした。


『2』


光が眩しくて思わず目を閉じる。




左目を開くと涙でグジュグジュでよく見えなかった。右の目を開けてみるとそこには青髪の少女が僕とフェルの前に立っていた。

この物語を読んで頂きありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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