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僕と、俺と、私の、春夏冬くん  作者: Q輔
和音VS業多ファミリー
62/117

62. 今日から俺は、高校与太郎爆走族

★視点★ 櫻小路和音さくらこうじわをん

「あんたに、よいことを教えてやろう。とっても重要な事柄だから、その少ない脳味噌をフル回転させてしっかりと理解をするように。実は、俺もあの日あの公園に春夏冬と一緒にいて、あんたの弟をからかってケラケラ笑っていたんだぜ」

「なに? そうか、春夏冬と一緒にいたダチってのは、お前か」

「ダチ? あんた、なにか勘違いをしてねえか。春夏冬は俺の手下。ただのパシリだぜ」

「嘘を付け。弟は、風格や立ち振る舞いからして、間違いなく春夏冬が血の池高校のトップだと――」

「違うわ。この学校の喧嘩ナンバーワンは俺。あんたの言うところの総長はこの俺さ。そして、あんたのかわいい弟を、からかって、見下して、あざ笑ったのも、何を隠そうこの俺様なんだぜ」

「え? 春夏冬がこの学校の総長じゃないのか?」

「ないないない。あんなやつ、俺に媚びへつらってご機嫌取りをするだけのただの腰巾着さ。だから、あんたが春夏冬と戦うことに何の意味も無いんだ。分かるか? あんたの戦う相手は、この俺だ」

「なるほど。行き違いがあったみてえだか、こうしてテメエと直接出逢えたのはラッキーだ。ならば話は早い、ちょいとツラ貸せ、今からオレとタイマンだ」

「今日は嫌だ」

「は?」

「ついさっき派手な一戦を終えたばかりでな。体のあちこちが、すこぶる痛い。悪いが、あんたとの決闘は、また今度にしてくれ」

「テメエ、逃げるのか」

「逃げてねえよ。人の話をよく聞け。俺は日を改めてくれと頼んでいる」

「いつだよ」

「うるさい。耳がキンキンする。そのように大きな声で怒鳴らなくとも、あんたの声は聞こえている。日付は今週の木曜日でヨロシク」

 俺は、次に自分が体を使える日を告げた。

「よ~し、今週の木曜日の午後七時に、武蔵塚の広場に来い。そこで弟のカタキをきっちり取ってやるからな」

「うい~っす」

 俺は先輩二人の腕を自分の肩に回し――「置き去りにされたくなかったら、立って下さい。歩くっす。病院へ行くっすよ」――彼らを引きずるように歩き始めた。

「覚悟しろ。木曜日がテメエの命日だ!」背後からチートの捨て台詞が聞こえる。「うい~っす」俺は振り返ることなく、気のない返事をして歩き続ける。「今のうちに互助会に入会をしておけ」「うい~っす」「うい~っすしか言えねえのか、テメエはよ」「うい~っす」

……ん? 今週の木曜日? この時、俺は、一瞬妙な違和感を覚えたが――「殺されるかと思った」「和音、助けてくれてありがとな」「ほら、先輩たち。泣く力があるなら歩いて下さい。病院はまだ先です。足を止めたらここに置いて行きますよ」――それどころじゃない状況だったので、すぐに忘れた。

櫻小路和音さくらこうじわをん 荒ぶる十七歳 三人で体をシェアしている


血の池高校の先輩二人組 和音に喧嘩を売り鼻っ柱を殴られたことがある


業多血人ごうだチート 血の池中学校の元番長 

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