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はやての異世界配信局  作者: はやてch
2/10

『ローンデイル騎士学園』~庭園~


大きな正門を抜けると綺麗に整備された庭園が目に入る。

周辺に敵も見当たらず入り口付近で特に警戒する理由も無いのでのんびり歩きながら周りを見渡す。

種類もわからんが色々な花が至るところに植えられていて非常に目に優しい。

誰も手入れなんかしてないだろうに不思議なもんだ。


『何か思ってたより綺麗な場所ね』

『騎士ってよりお嬢様が通ってそう』

『正面の校舎滅茶苦茶デケェな』

『ダンジョンに見えないよここ、はやてちゃん普通の学校に不法侵入してない?』


してねぇわ、俺をなんだと思ってんだ。

とか返すとまたしょうもない煽りあいになるのは目に見えているので内心イラッとしているが冷静にコメントに答える。


「ちゃんとダンジョンだっての。俺も三日前位に配信外で魔術ギルドの人に聞いたんだけど、ダンジョンってその土地の記憶を参照して最も印象的なものを模して出来るらしいぞ。このダンジョンはそれ」


『昔この周辺にこんな学園が建ってたってことね』

『いきなりこんなのがデカイ平原のど真ん中に生成されたのか』


「ちなみにダンジョン生成も色々なパターンがあって、さっき言ったいきなり生成されるパターン、既に有る建物や森、山とかが侵食されて出来るヤバいパターン、後はこの世界が出来た時から有るんじゃないかって位昔から有るダンジョンだな、難易度的には昔から有るやつがぶっちぎりでヤバいらしい」


やべぇダンジョンに色々なギルドのトップ層の連中が時々攻略に向かうのを見かけるが、全滅がそこそこ、半壊はかなりの確率、何人か重症がほぼとかいう鬼畜仕様らしいので正直当面は行きたくない。

全員無事に帰ってくるのはトップの面々の更に上澄みの人間やめたやべぇ奴ら位と言えば伝わるだろうか。


『ほえー』

『難易度はともかく侵食されるって怖いんだが』

『侵食された時にそこに居た人とかどうなるんかね』


「侵食はなー・・・お、ちょっと待って魔力草植えてんじゃん。根こそぎ収穫したろ」


庭園の一角に魔力回復の薬の材料になる魔力草の畑を見つける。

育つと色鮮やかな赤い花を咲かせるので庭園にこの畑が有ってもあまり違和感はない。


まぁ庭園の見映えとかどうでもいい。

収穫収穫。

畑に近づきしゃがみこんで豪快に引っこ抜いてはストレージに放り込んでを繰り返す。


『溢れ出る盗人感』

『一心不乱に薬(安全)の材料を引き抜く幼女』

『字面もヤバいし絵面もヤバい』

『特に悪いことしてないのに何でだろうね』

『普段の言動と行動がアレだから・・・』


・・・・・・。


「お?(威圧)」


『ヒェッ』

『ゴメンて』

『青筋立ててキレる幼女』

『草』

『相変わらずの煽り体制』

『ガチ恋距離なのに表情のせいで嬉しくねぇ!!』







「というわけで侵食の説明だったか」


コメントの馬鹿どもが黙った所で説明を再開。

魔力草も40本位取れたしもういいかな・・・でも魔力草って地味にレアなのであんま取れないしなぁ。

いいや、根こそぎ根こそぎ。


またしゃがみこんで収穫を再開。

相変わらず周辺に敵影は無し、校舎に入ってからが本番かも知れないな。


「侵食は基本一瞬で行われる。範囲内にいた生物ももちろん餌食だな・・・ダンジョン化した時にいた人は『ニンゲン』って種族のモンスターになると思ってくれていい」


『こっわ』

『はやてちゃんのいる世界難易度高過ぎひん?』

『見た目とかもそのまんまなの?』


「見た目も行動も生前・・・この場合生前で合ってるのか知らないけどそのままだな。隣の国で町一つがそのままダンジョン化した事が有るらしいがその中では飲まれた人が同じような生活を続けているらしい」


長くため息をつき体を伸ばす。

暗い話をすると気分が悪くなってやーね。

・・・さ、収穫ももうちょいで終わりだな。


「時も止まって見た目も変わらない、しかも踏み入った人間には当然極めて敵対的で殺しにかかってくるらしい・・・そいつらを殺してもしばらくすると再ポップするらしいしもう完全に違う生き物なんだろうな」


『胸糞』

『聞くんじゃなかった』

『怖』

『急なシリアスに頭がついてこない』


俺だって別にしたくてこの話をした訳じゃないんだけどもな・・・。

仕方ないじゃん、情報共有しとかないと君らが後で困惑する事になるし。


「ま、最近はダンジョン化の予兆が分かって対処出来るようになってきたらしいしもう大丈夫なんじゃね?知らんけど」


気付けば魔力草も後二本、まだ戦闘も起きてないけど疲れたな。


『はやてちゃんえらい淡白に話すね』

『そりゃお前こんな世界にいたら感情も腐るだろ』

『もともと自分と知り合いや仲間以外割とどうでもいい奴だろコイツは』

『何か空気悪くなりそうだしこの話題もう止めとこうぜ』

『そうね・・・ってはやてちゃんちょっと収穫ストップ!最後の一本葉の形が違う!』


最後のコメントに気付いたのと同じタイミングで最後の一本を引き抜いてしまう。

そして目が合う俺と顔付きお化け人参。

一瞬硬直する俺。

手で掴んでいるお化け人参、もといマンドラゴラは息を大きく吸うような動作をするとー


「ピィヤアァァァ「そぉい!!」ギュプェ!!」


大音量で叫ぶゴミを全力で握り潰し黙らせる。

飛び散るマンドラゴラ。

オレンジ色の汁まみれになる俺。


「っぶねぇな糞!!魔法型じゃなけりゃ麻痺の呪い食らうとこだった・・・」


『うっせぇ!!』

『耳が無いなった』

『何か音が聞こえなくなったんだけど』

『とても魔法型には見えない暴力的解決法』

『一瞬とはいえあの大音量なら敵こない?』


「あー、耳がキンキンする。まぁ近くに居る場合は来るだろうな・・・ってか来たわ、ほらあれ」


宙に浮いている半透明の目玉型のカメラ(趣味が悪い)をひっつかみ庭の奥の方に向ける。

こちらに全力疾走してくる人形の敵、数は一体だけか。

距離はおよそ100メートル・・・見えなかったが屈んでたのか?

一瞬であの糞人参ヤッてなけりゃめっちゃ来てたんだろうな。


『あー、庭師か?』

『格好は庭師とか農夫とかそんな感じか』

『こっちにもオーバーオールとか有るんだな』

『てか顔、のっぺらぼうじゃね?後腕長くね?』


「人の形してるだけで立派なモンスターだな。走り方もぐねぐねしててとてもキモい」


というわけで今日の初戦闘。

敵は推定庭師、武器は手鎌・・・草刈り用かな?

というか走るの遅いな。

入り口周辺ならこんなもんか。


「『火の矢』」


言うと同時に頭上に三本の火の矢が現れ待機状態に入る。

範囲内の敵対状態の敵に反応して勝手に打ち出されるからホントに便利なのよねこれ。

そんなことを思いつつこちらからも庭師に向かって走り出すが、相変わらずこちらに全力疾走する以外の行動はない。

近距離攻撃のみで確定で良さそうだな。


接敵まで残り20メートルを切る位で火の矢が発射、真っ直ぐに飛んでいき庭師に着弾する。

火が瞬く間に燃え広がり、気持ちの悪い声で叫びながら手を振り回す庭師。


「死ね」


「オゴェッ」


目の前の庭師に飛び掛かり、その勢いのまま片手に握った短剣を庭師の脳天にぶちこむ。

そのまま仰向けで倒れこみ消える庭師・・・ドロップはこいつの手鎌か、いらないし放置だな。


「というわけで今日の初戦闘は上々だな。てか熱いわ、燃えてるやつに短剣ぶっ刺したせいで手ぇ火傷したわ」


『生で戦闘初めて見たけどいい手際やね』

『強い』

『短剣持って敵に飛び掛かる魔術師』

『魔術師向いてないんじゃ・・・』


「うっせえよ、今のは即死狙っただけで・・・そもそも強そうな奴なら絶対近づかないっての。まぁ外はもう探索しても良いもの無さそうだし中行くか」


『やはり脳筋』

『がんば』

『最近レスバ勝てないから煽りに乗ってこないなこの幼女』

『へいへいはやてちゃんびびってるゥ!!』

『雑魚乙』

『誤魔化しの下手な幼女』




「そっちに帰ったら必ず全員特定してお礼するね(真顔)」



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