牛は何故、英語でカウなのに牛肉はカウミートではなくビーフなのか?
気になったから調べてみた
日本語に慣れていて英語を習った人なら一度は思ったことがあるかも知れない疑問。
牛ってカウって言うのに何故牛肉ってカウミートじゃないの?
通りすがりの人「……(何言ってんだこいつ)」
先生「は?ビーフだからビーフなんだよ!理由なんてねえよ覚えろ!」
というのが義務教育での勉強です。
そんなんだから覚えられないんだよなぁという真っ当な意見は置いておきまして、本題に入りましょう。
日本語で牛肉と言う言葉は牛・肉の二つの文字で構成されています。
牛|肉
牛単体だと生きている牛や動物の牛という意味になりますが、肉がつくことによって捌かれて肉になった状態の意味になります。
牛肉と聞いてまず生きていると思う人はいません。
牛肉=牛+肉
この式が成り立ちます。
ここまでは日本語がどのように構成されているのかという分析でした。
(※外人向けの日本語の学習方法のサイトを参考にしました)
続いて英語の構成を見て見ます。
牛と言う単語を辞書で引くとcow、bull、oxなどといくつかこれ以外にも種類が出てきます。
沢山あってどれを使えばいいかわからない人は、単語をみて日本語的に1番あっているものを使っておけば無難です。
さてそれぞれの意味ですが、
cow雌牛
bull雄牛
ox去勢牛
となります。
これらの発音は簡単なカタカナにしたものなので正しい発音は自分で調べてみてください。
これらの3つは現在の中学生が英語で習うとされている単語です。
oxはやらない学校もあるみたいですがね。
しかし少し勘の働く小学生ならブルが牛だと言うことはレッドブルを知っていれば気づけるかも知れません。
牛の言い方についての話ではないのでこれ以上は割愛しますが、ここで日本語の言語構成のルールを当てはめてみるとします。
牛のいい形にもいろいろあるように、肉にも様々な呼び方があるので、ここでは牛をcow、肉をmeatとしておきます。
さて、日本語の構成ルールを英語に当てはめてみようと思います。
日本語 牛|肉
牛+肉=牛肉
はい、牛、肉で牛の肉と言う意味で、牛肉になりました。
では英語の場合はどうでしょうか。
英語 ???
cow+meat=cow meat
このように日本語の構成に当て嵌めて直訳してしまうとcow meat と言う聞き覚えのないとんでもない言葉ができてしまいました。
しかし、日常生活を送る中で牛肉はビーフ呼ぶことを知っているとは思うのでこんな間違いはそうそう無いと思います。
しかし何故、ビーフというのでしょうか。
牛肉という意味のbeefと言う単語と、牛と言う意味のcowやbull、oxなどにはどう見ても関連が感じられません。
精々beefとbullのBが同じという点ですが、『もしかして……』となるような類似点ではありません。
初めて疑問に思った時は、とにかく気になったのでなりふり構わず家の本を読み、ブログや辞書などインターネットのサイトを探しまわりました。
結局、途中でインターネットの情報は信用に欠けると思い調べるのをやめました。「だと思う」「と言う話を昔聞いた」などと言う曖昧な情報だったので参考にするのはやめました。
調べてゆく中でガストロノミと言う食の知識や歴史ついて書かれた専門書の中に記述を発見しました。
◆◇
本題。
英語といえばアメリカのイメージがありますが英国の言葉と書いて読む通り英語が英国発祥の言葉だということをまずそのことを前提に話します。
""
昔、イギリスでは生きていても死んでいても関係なく牛をカウと呼んでいました。
牛は今と同じでカウですし、牛肉もカウミートとからではなくカウと呼んでいました。
ところがフランス(ノルマンディー)から海を渡って侵略してきたバイキング民族によって、フランスの言葉がイギリスに入って来ました。
バイキングは元々、フランス人でもフランス語を使っていたわけでもありませんでした。
ここでいうバイキングとはがフランスに移動してきた後、代を重ねるごとにフランスに馴染みフランス語を違うようになったノルマンディーに住みノルマン人となったバイキングを指します。
※ バイキングと聞くと野蛮なイメージがありますがイギリス王室も最初はブリテン島にやってきた海賊だったので、そんなに違いはありません。(ここではイギリスを貶す意図はないので気になる方は調べてみてください)
※2.バイキング(ヴァイキング)は北方系のゲルマン人(ゲールマン人)でしたがアジアの遊牧民であったフン族という民族がヨーロッパに侵攻したことにより棲家を追われたゲルマン人達は様々な地域に移動し、特に南下してフランスへ来た者達がノルマン人と呼ばれるようになりました。
そして、フランスでもイギリスと同様に牛の生死に区別する言葉が無く、生きている牛たも、牛肉もブフと読んでいました。
ところが何を思ったか、イギリス人はフランスでは牛肉をブフと読んでいるのだと勘違い。区別して呼ぶのはいいなぁと、生きている牛をカウ、牛肉をブフと呼び始めます。
ブフはフランス読みなのでイギリス人には発音しづらく、イギリスで使われてる間に言葉が変化しビーフと言う言い方が定着し呼ばれるようになりました。""
という話です。こういった例には他にもあります。
豚です。
英語では豚はピックですが、豚肉はポークです。
これも牛肉がビーフになったのと同時期にフランスから豚の意味をもつ『ポール』が伝わり、イギリス人が勘違いしポールを豚肉の名詞として使い始め、読みが変化してポークと呼ばれるようになりました。
ポール→ポーク
そして英国はアメリカやカナダ、オーストラリアの他にインドやアフリカ大陸の各地に植民地や傀儡政府を持っていたが為に様々な国で英語が使われ独立した後も英語が根付いています。
その時代の英語が残り今でも英語では生きている牛をカウ、豚をピック。
死んだ牛や豚を全く違う言葉で言うというか文化が根付き、今では牛肉をビーフ、豚肉をポークと呼ぶようになったのです。
◆
まとめ
フランスから伝来した牛、豚と言う言葉をイギリス人がそれぞれ牛肉、豚肉という意味だと勘違いした。
それが根付いて今の牛肉、豚肉になった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
本エッセイは以下の資料を元に制作いたしました。
とても皮肉が効いていて面白い本なので興味が有れば是非読んでみてください^ ^
参考資料 参考 産業能率大学出版 カストロミ〜食を楽しむ知識と知恵 p78〜79
*別の文献には少し違うことが記載されていましたが、
そちらの方に関してはいずれ別のエッセイで紹介したいと思います