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008(初キッス)

スカイの手を引っ張って小走りしていたのは、オズだった。


「オズ部長、何? 何?」

「いいから来て」


スカイは神社の裏手まで連れられて来た。他に人は居ない。


「幼なじみを独りに出来ない」

「良いものあげる。目を閉じて」

「分かった。こう?」


スカイは目を閉じると、唇に生暖かいものが触れる。オズはスカイにキスをした。…………2人は我に返り、一歩下がる。


「私のファーストキスだからね」

「オズ……部長…………」

「瞳が綺麗なブラウンね。明日は土曜日だけど部活に来て。それじゃ、幼なじみのところに戻りなさい」


オズは走って行ってしまった。

(これがキスの味? レモンの味しないぞ。ネイビーの浴衣が似合ってたな。魔性の部長だ。いかんいかん! メルの元へ戻らないと)


メルがスカイを探しにウロウロしてると見付けた。


「スカイ、こんなところに居た。急に居なくならないでよ」

「すまんすまん」

「何してたの?」

「え、あ…………。部活のブリーフィングだよ。さあ、花火が見える土手に行こう」

「変なの。行こ」


スカイとメルは丘に座り、打ち上げ花火を観ながら焼きそばを食べる。


「1万円だけあって、かなりのボリュームだな」

「私、もういい」

「5分の1くらいでいいのか?」

「お腹いっぱいだよ~。あと食べて」

「仕方ないな」


スカイは焼きそばを食べながら、花火を観る。スターマインが始まった。2人は迫力に圧倒される。何千発の打ち上げ花火が、復興の意味も込めて盛大に開花する。


「凄いね」

「ああ。メル?」


メルの頬に涙が伝っていた。


「私、何で泣いてるだろ? 変だよね、フフフ」

「そういう時もあるさ」


祭りのシメは一発の特大花火で終わった。帰り道。人混みが散っていく。


「メル、ちょっとスーパーマーケットに寄るから」

「うん。何買うの?」

「お惣菜。2万5000円もあるから、もっと良いものが買えそうだ」

「お肉が買えるよ」

「おっ。モツでも買うかな」


スカイとメルはスーパーマーケットの精肉売り場へ行く。客は疎らだ。浴衣を着た家族もちらほら居る。


スカイはスーパーマーケットの肉をじっくり品定めする。


「スカイ、この味付けモツが安いよ。300グラムで1万7000円だよ」

「寿命なら25分ってところだな。早く15歳になりたい」

「食べ物を買うのに命を削るなんて怖いよ」

「15歳になれば、嫌でもGLのお世話になる。メルの親の漫画は紙媒体でも重版されてるでしょ。将来安泰じゃん」

「祖父がギャンブルで使い込んでるけどね」

「GL依存症か」


スカイは、メルが提案した味付けモツを手に取り、レジへ行く。AIロボットの店員だ。スカイは現金支払いして店を後にしようとした時、AIロボット店員は「チッ」と舌打ちをした。大人に使われてるAIロボットは寿命支払いでないのが気に入らないようだ。


スカイはメルを自宅まで送る。


「また来週ね。おやすみ」

「おやすみ。じゃあな」

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