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#01 異世界への落下~そして投獄~

 落ちている、現在進行形で落ち続けている。

 何処までも続く暗闇の世界を。

 しかし、暗闇しかないわけではなかった。

 体を回して見れば、あちこちにこの暗闇へ落ちる時に通った、木製の扉が無造作に浮かんでいる。

 暗闇に浮かぶこの扉達は一体どこに繋がっているのだろう?


「うぅーん……?」


 落ち続けて、体感時間早3分は経った気がする。

 こんなにも長く落ち続けているなんて、一体どれだけ深いのか。

 そもそも底はあるのだろうか?

 落ちていく先を見る、何処までも続く暗闇。

 自分の周囲を通り過ぎていく、木製の扉達。

 全く底は見えない。


 いい加減、この落下感にも慣れてきた。

 [現在進行形で落下中なう。]とかスマホで呟いてやろうか。

 流石にこの状況でスマホ取り出して、ポロッと落としてしまったら、二度と帰って来ない気がするのでやらないけど。

 落とさないように必死にバッグ抱えてるからサイドポーチに入ってるスマホ出せないしー。


 落下時間と共に落下速度もどんどん速くなっていってる気がする。

 高速で通り過ぎていく無数の扉をぼーっと見ていると、ふと思いつく。

 あれ、この速度であの扉にぶつかったらヤバいんじゃ―――


「っっ!!」


 予感。

 バッと先を見る。

 遥か彼方、まさに私の落下する()()()()に木製の扉一つ。

 ヤ バ イ !


「きゃあぁぁっ!きゃぁああぁっっーー!!」


 キャアキャア叫びながら必死に落下位置を変えようともがく!

 けれど、変えた位置にまるで追従するかのように扉が動いている気がする!

 これはアレだ!

 自分と物体の距離が遠すぎて正確な位置把握が出来ておらず物体の位置は動いていないのに自分の動く方向と同じように物体が動いているように見えるとかそういう!

 あるよね!?そういうこと!!


「こんな事ならアリスみたいなふんわりロングスカート履いてれば良かったぁあぁぁぁっっーーー!!!」


 そうすればスカートがふわって広がってふわぁーって落ちてたよきっと!

 今のミニスカートじゃふわっじゃなくてビラッだよっ!

 いや落ち着け私!

 そういう問題じゃない!

 どうする!

 どうするも何も落下状態で出来る事は何もないっ!

 そうこうしてる間にも扉が目前にまで迫ってきていた。


「いぃいぃぃやぁああぁぁぁーーーっっ!!!」

「ぶつかるうぅぅぅぅーーーっっ!!」


 そんな叫びが通じたのか、ガチャリと扉が開いた。


「ええっ!?」


 スポッと扉を潜り抜ける。

 ふわっと、体にかかる重力が変わったような浮遊感。

 ――あ、あおいそら。

 落下。


「またぁああぁぁぁーーーっっ!?」


 でも今度は真っ暗闇じゃない!

 青い空がある!白い雲がある!自然豊かな地面がある!

 自然豊かな地面!?

 ここ何千メートルの高さ!?


「今度こそ確実にしぬぅうぅぅぅーーーっっ!?」


 そんな事をきゃあきゃあ騒ぎながら眼下に広がる大陸を見て、違和感。

 ―――大陸?

 いや、今そんな事気にしてる場合じゃない。

 瞬く間に地面が近づいてくる。

 落ちる先に、大きなお城とそれを中心に広がる街が見えた。


「外国っ?あっ……!!」


 急に扉が眼前に現れ、その扉が素早く開きまた扉の中へっ・・・!

 ふんわりと上に浮かぶ浮遊感。

 再度落下。


「いい加減にしろぉおぉぉぉーーーっっ!?」


 落下の感覚を感じた瞬間、即座に背中越しに別の扉が現れたらしく、扉の枠が通り過ぎるのが見えた。

 重力が横にかかるような感覚がして、ガシャァン!とガラスを突き破る音。

 どうやら何処かの部屋にホールインワンされたらしい。


「ひゃぁあぁっっ!」

「ごはっ……!」


 ゴロゴロと部屋の中を転がり、壁に激突。


「痛ったぁ……。」

「もぉ、なんなのぉ……!」


 まるで、フリーフォールのアトラクションみたいだった。

 よろよろと立ち上がり、抱えていたショルダーバッグを肩に引っ掛けつつ、数十分ぶりの地面の感覚を味わう。

 やっぱ、人間、地に足つけるべきだよね……。


「えっとぉー……?」


 部屋の中を恐る恐る見渡してみる、なんだか凄く豪華な部屋。

 一部の窓が割れていた、どうやらあそこをぶち破って転がり込んだらしい。


「……っ!」


 人のいる気配がする。

 そちらへ目を向けてみる。


 こちらを見てポカンとしたような表情をしている子がいた。


 年齢は、私よりも下だろうか。

 腰まで伸ばした綺麗な銀色の髪。

 まだどこか幼さのある顔立ち。

 煌びやかなお姫様のようなドレス。

 その姿はとても綺麗で、可憐で、まるで絵に描いたような。

 ――これぞお姫様という感じの女の子だった。


「あー……そのぉー……こ、こんにちわぁ……?」


 無難に挨拶をしてみる。


「えっ!あ!は、はい!こん、にちは……?」


 あ、言葉通じた。

 良かった、ここ()()じゃないんだ。

 でも、こんな西洋のお城の部屋みたいな場所、日本にあったかな。

 それにこんなに綺麗なお姫様みたいな子がいるなんて。

 もしかして、留学してるのかな?

 それか、やっぱりここは外国で、日本語を話せる子とか?

 最近どこも国際色豊かだし。

 とりあえず言葉が通じるのなら質問してみよう。


「あのぉ……ここはどこでしょう……?」


「えっ?えっと、わたくしの部屋です、よ?」


 あ、うん、貴女のお部屋なのだろうとは大変理解しております。

 急に窓ぶち破ってダイナミックお邪魔しますして申し訳ありません。


「そ、そうじゃなくてね?ここは何県なのか、そもそも何処の国なのか――」


「姫様ッ!ご無事ですかッ!先ほどの大きな音は一体何がッ!?」


 バァンッ!と部屋の扉を開けて騎士のような恰好をした女性が入ってくる。

 その後に続いてこれまた鎧を着た兵士のような男の人達も現れた。

 メイド服を着た女の人もいる。

 ……騎士?兵士??メイド???


「ルキアっ?それがっ、そのっ……」


 あわあわと、姫様と呼ばれた女の子がちらちらこちらを見ながら何かを言おうとしていた。

 ルキアと呼ばれた、騎士の恰好をした女性がこちらに気付く。


「貴様、何者かッ!」

「何故姫様のお部屋にいるッ!答えろッ!!」


 シャキンと腰に下げられていた剣が抜かれ、その切っ先が私に向く。

 あ、私!?


「いや!私もそのっ!なんでこんな所にいるのかわからなくてっ!」

「とにかく怪しい者じゃないですぅぅっ!」


 両手を前に突き出し違うんですアピール。

 生まれて初めて剣なんて向けられた上にめっちゃ威圧されて、わたくし大困惑。

 いや、自分で怪しい者じゃないとか言っておいてなんだけど、どう見ても不審者だよ。

 数千メートル以上の空から落下して来た挙句、窓ぶち破って入ってきたし。


「この高さの窓を破って入ってきたのか?それにその見たことのない服装。」

「怪しい者以外の何者でもないッ……!」


 大変その通りでございますね!


「その女を捕え、牢へ連れて行けッ!」

「エストアラの者なのだとしたら情報が聞ける、後に私も尋問しに行くッ!」


 そうなるよねー、なっちゃいますよねー。

 お願いだからいたいけな女の子に拷問とかはおやめくださいね……。

 話せる事は答えるから!多分理解してもらえないけどっ!

 ……って、()()()()()


「――い、痛い痛いっ!引っ張んないでっー!」

「抵抗なんてしないからっ!女の子には優しくしないとだめだよぉ!?」


 一瞬気になった事が、引っ張られた痛みで吹き飛んだ。

 兵士の人達にずるずると引きずられていく途中、お姫様と目が合った。


「あっ……」


 お姫様らしき人が、何か言いたそうにこちらへ手を伸ばしていた。

 けど、私を連れて行く兵士達は、そんなお姫様の様子に気付かない。

 私は廊下に連れ出されていき、お姫様の部屋の扉が閉まる。


「さぁ歩け!暴れたりしなければ、こちらも無茶な事はせん!」


 後ろにいる兵士につつかれ、先を進む兵士の後をとぼとぼと歩いていく。

 どうしてこんな事になってるんだろ……?

 理解が全然追い付かない。


 長い廊下を無言で歩き、いくつか階段を下りていく。

 さっきのお姫様らしき人の部屋は、結構高い所にあったみたい。

 途中、そこらのコンサートホールよりも格段に広い、大広間を通った。

 大広間に通じる廊下はこれまた巨人が通るのかと思うくらい広かった。

 あちこちで何人ものリアルメイドさんを見た。

 時折、慌ただしく走る兵士の人達ともすれ違う。

 なんだか、この()()()()()()()()()が慌ただしい気がする。

 不審者(私)が現れたからかとも思ったけど、どうやら違うらしい。

 時々耳に入る会話から「……と戦争」とか「……の砦が落ちた」とか聞こえた。

 なんだか物騒な会話。

 ()()って、ここ日本じゃないのかな。

 ……みんな日本語話してるのに?


 広い廊下の突き当りを曲がると、また階段が見えた。

 その階段を下りて行くと、少し広めの薄暗い通路に出た。

 階段を下りてすぐの所には木製のテーブルと椅子がある。

 通路の壁には松明が掛けられ、炎がゆらゆら揺れている。

 松明が掛けられた壁の反対側を見る。

 正面が鉄格子で遮られた部屋がいくつもあった。

 どう見ても地下牢です。


「持っている物をテーブルの上に置き、そこに座れ。」


 前方を歩いていた渋い顔の兵士が、歩みを止めてこちらに振り向き言った。

 言われた通り、テーブルの上にバッグを置く。

 スカートのベルトループにカラビナで繋がっているサイドポーチも外す。

 外したポーチもテーブルの上に置き、大人しく椅子に座る。

 向かい側に渋い顔の兵士も座った。

 後ろを歩いていた兵士は、まだ私の斜め後ろに立ってるみたい。


「……うぅむ、これはまた随分と立派な鞄と腰袋だな。」


「あ、あんまり乱暴に扱わないでね……?」


 渋い顔の兵士が恐る恐る私のバッグから中身を取り出していく。

 大学ノート、教科書数冊、筆箱、携帯ゲーム機、スマホの充電機。

 USBコード、ライトノベル小説、A4クリアファイル(アニメ絵仕様)。


 バッグの中から次から次へと出るわ出るわ私の持ち物。


 各種化粧品、全然使った事のない香水(以前玲華ちゃんに押し付けられた)。

 手鏡、折り畳み傘、お財布、ポケットティッシュ、コンビニのレジ袋。

 飲みかけの280mlミニペットボトル(お茶)、漢梅グミの袋(中身有)。

 未開封梅おにぎり、ウェットティッシュ、コンビニのレシート。


 ……自分のバッグだけどよくこんなに入ってたなぁ、四〇元ポケッ〇か!

 レシートあるからコンビニで何買ったかバレるしっ!

 いや、もう買ったもの全部並んでますけどね!


「なんだこれは……本、なのか……?」

「何が書いてあるのか全くわからんぞ……?」


 教科書をペラペラとめくり、渋い顔を更に渋くする兵士のおじさま。

 あれ、字読めないんだ?

 日本語喋ってるのに?


「どれもこれも見た事のない物ばかりだ……お前は行商人なのか?」


 いえ、ただの大学生です。

 ついでに言うと行商人は空から落下して窓ぶち破って入って来たりしないと思います。

 あ、ただの大学生も空から落下して窓ぶち破って入って来たりしないわ。

 否定の意味を込めて、ふるふると首を横に振る。


「ううむ……。」


 おじさまが腕を組んで唸りながら、テーブルの上に置かれた私の荷物を見渡す。

 そしてまだ中身を見ていない物があるのに気付き、それを手に取った。


「ん?んん?なんだこの腰袋は、どこに口があるのだ……。」


「あ、そこの茶色い革紐みたいな所を横に引っ張ってみて?」


 親切に教えたら、凄い訝しんだ顔で睨まれた。

 はい、黙ってます。

 おじさまが短い紐を引っ張り、ジーッという音がしてサイドポーチの口が開く。


「な、なんと……恐ろしく便利な腰袋だ……。」


 もしかしたらって思ったけど、やっぱり()()()()()()()が無いんだ。

 お姫様の部屋にいた時から感じていた違和感がどんどん膨れ上がっていく。

 嫌な予感がする、少し冷や汗が出てきた。


 そして、ポーチの中からも色々出てくる。

 スマホ、ウォークマン(MP3プレーヤー)、ジッポライター、ミニLEDライト。

 ウォークマン用バッテリー、ウォークマン用USBコード、ハンカチ。

 1ポートUSBハブ(電源プラグ式)、耳掛け式イヤフォン。

 魔女っぽいキャラのねん〇ろ〇ど。

 ……なんで、ねん〇ろ〇ど入ってるの?

 あぁ、思い出した。

 この前、シュウ君がゲーセンで取れたけどいらないって言うからもらったんだ。

 ジッポライターは以前にコウ君がくれた物だっけ。

 十字架みたいなマークが表面に入ってるだけの、シンプルな奴。

 すっごーくびっみょーーに役に立つ時がある。

 ハッ!おじさまが()()()()を手に取ったっ!


「これは、人を形どっているのか……?うぅむ、むぅうっ!?」


「ブフッ!」


 魔女っ娘をつい下から覗いてしまい、慌てて魔女っ娘をテーブルに置くおじさま。

 その様子を見てしまったのか、後ろにいる兵士がちょっと噴いた。

 おじさまは顔が赤くなってた。

 なんだこのおじさま可愛い。

 そして、私がニコニコしてるのに気付いてめっちゃ睨まれた、怖い。


「グリルっ!」


 そこへ、唐突に後ろから声が響く。

 ガタガタァンッ!とおじさまが椅子から転げ落ちた。


「ブフォァッ!!」


 限界だったのか、後ろにいる兵士が思いっきり噴いた。


「お、おい?どうした、大丈夫か?グリル。」


「こ、これは失礼したッ!ルキア殿ッ!」


 そう言いながらバタバタと立ち上がり、倒れた椅子を直すおじさま。

 現れていたのはお姫様の部屋で剣を向けてきた、あの女騎士の人だった。

 ルキアって呼ばれてたみたいだけど、この人の名前かな。

 で、おじさまの名前はグリルね……多分。


「それで……何なんだ、このテーブルの惨状は。」


「そこの娘が持っていた鞄と腰袋の中身だ。」


「これが?全て?」


 そうだ、とおじさまが女騎士さんに頷いた。

 女騎士さんがこっちを睨んでくる、おじさまの数十倍怖い。


「まるで何に使うのかわからない物ばかりだな……。これは、魔法具、ではないな……。魔力も感じない……。これは食い物か……?他の物もどれも魔法具や凶器には見えんな……。それに先ほどの姫様の話を聞いた限り、暗殺者にしてはマヌケが過ぎる……。やはり、エストアラの手の者ではないのか……?だが、しかし――……。」


 女騎士さんがテーブルにあるものと私を交互に睨んでぶつぶつと呟いている。

 なんかマヌケとか聞こえた気がする、失礼な。


 それにしても、こうして見ると凄い美人だなぁー……。

 身長はそれなりに高く、すらりとした体付き。

 肩より長い髪を先のほうで一つに束ねてる。

 今はただの紐みたいだけど、大き目のリボンにしたら凄く可愛くなりそう。

 騎士のような服は動きやすさを重視してるのか、金属プレートの部分が少な目。

 膝丈くらいのスカート、金属製っぽい靴、グリーヴ?っていうのかな、これ。

 均整のある凛とした顔付でうんうん唸ってる。

 それを見てるとなんだか、玲華ちゃんを思い出した。

 みんな、どうしてるだろ。


「……おい、娘。」


「はっ、はいっ!?」


 テーブルの空いている所に手を付いて、女騎士さんが声を掛けてきた。

 つい敬語になり背筋がピンッと伸び、返事をした。


「貴様、姫様にここはどこなのかと聞いたそうだな?」


「は、はい……そうです。」


 お姫様、そこの所話してくれたんだ。


「ここがどこなのか、本当に知らないのか?」


「え、し、知らないです。」


「ここはレスティリア国王都、その城の中。」

「貴様が窓を破り転がり込んだあの部屋は、我が国の姫の私室だ。」


 あ、あれ?なんか思ったよりも凄く冷静に話してくれてる。

 けど、れすてぃりあこく、おうと?


「レスティリア国……全然、聞いたことがないです。」


「聞いたことがないだとっ?」


 ()()()()()()()、そんな国の名前は知らないし、聞いた事もない。

 漫画とか小説にならありそうな国名だけど。

 一体どこなの?ここは。


「ハァ……まぁいい、それで?一体どうやって姫様の私室に入り込んだ?」

「姫様の私室はこの城の上のほうに位置していて、かなりの高さがある。」

「飛行魔法でも使わねば、到底窓を破って入り込むなど出来ん。」

「もし飛行魔法を使ったというのなら、北の魔法国家ファディアの者か?」


 ひこう、まほう?まほうこっか?更に突拍子もない言葉が出てきた。

 この人は今、そんな事を真面目に真剣な顔で言ったの?

 駄目、冗談で言っているようには見えない。


「わ、私……路地裏にあった木製の扉を通ったんです……。」

「そしたら、真っ暗な扉の世界を抜けて、今度は空中にいて……」


 なんか、私の声が震えてきた。

 ここは、()()()()()()()()ないみたいだ。


「扉?空中?な、なんだどういうことだ?」


「空から落下……もとい……降って来たんです……。」

「気が付いたら、窓を破ってお姫様の部屋の中に転がり込んでて……。」


「どういうことだ……新手の転移魔法か……?」


 うぁー、ちょっと泣きそうになってきた。

 がんばれーわたしー。


「……むっ……仕方ない……何もわからないままだがここまでにしてやろう。」


「……えっ?」


 許してくれるの?もしかして私が泣きそうな顔してるから?

 ……女騎士さん、怖そうに見えて凄くいい人?


「……何か安心したような顔をしているが、まだ無実と決まったわけではない。」

「例え無実であろうと、今は少しでも怪しい者を手放しには出来ない。」

「しばらくは、そこの牢の中で過ごしてもらう。」


 あ、やっぱり投獄は変わらないんですねー……。


「あの、しばらくって、どのくらいに……。」


「貴様の無実が証明されるか、我が国の戦争が終わるまでだ。」


 ()()、やっぱりこの国は何処かと戦争中なんだ。

 多分、私は敵の、戦争相手の手の者だと疑われてるんだ。

 戦争なんて()()()()じゃ終わらない、終わるわけがない。

 なら、私が敵じゃないって、どうすれば証明出来るのか。



「グリル、フリッド、後は頼んだぞ」


「「はッ!」」


 女騎士さんがおじさまと私の後ろの兵士に指示して、その場を離れていく。

 凛とした後ろ姿のはずなのに、何処か疲れているようにも見えた。


「……大人しくしていれば、ちゃんと飯も出す。」

「フリッド!牢の扉を開けろ。」


「了解。こっちにきな、嬢ちゃん。」


「うぅー……。」


 ……大人しく椅子から立ち上がって、牢屋の前に。

 うわぁ、硬そうなベッドと木製のバケツがあるよぉー……。

 ……はっ?ばけつ?

 まってまさかなんだけどもしそうならそれめっちゃきついんだけど!?

 わたし、おんなのこ!!


「ね、ねえ!あの()()()って!まさか?!」


 フリッドと呼ばれた兵士に問い詰める。


「あ?あぁー……。」


 や っ ぱ り か っ ! !


「布ッ!!せめて大き目の布寄越してッッ!!私がすっぽり隠れるくらいのッ!!」


 ワタクシ、ガチギレ。


「わ、わあかったよ!後で持ってきてやるから!」

「とりあえず中に入ってくれっ!」


「お願いねッ?絶対だよッ!?頼んだからねッ!?」


 とことん念を押しつつ、つめたーい石造りの牢屋の中へ。

 ガシャンっと牢の扉が閉まった。

 ハァッとため息をついて、硬いベッドに座る。

 ふと、淡い光が射し込んでいるのに気が付いた。

 射し込んでいる場所に顔を向けると格子の窓が上のほうにあって、空が見えた。


「あぁ……。」


 もう、夜になってたんだ。

 月明りが射し込んでいた。

 綺麗なお月様が見える。

 そして、ここが何処なのかを完全に悟った。



 だって、月が。



 二つ、あったから――。



 蒼い月と、それより少し小さい、赤い月。



 あぁ……ここは――()()()なんだ。





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能力詳細

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人格No.01

名前:< 神崎愛鳥 >

年齢:< 20 >

種族:< 人間 >

装備:< 無し >

能力:< 現能力無し >

魔力量:< 極微量 >


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