食事にありつく
町まで戻ってくると松明の灯りが煌々と夜空を照らしていた。
この世界に来て夜にここまで明るくしているのを見るのはは初めてかもしれない。
燃やすための資源が勿体無いもんな。
スキルで町の中を確認してみるが、花粉にかかっていた呪いは解除されたようだ。
一先ず安心する。
町の門に沢山の人が集まっている。
「お帰りなさいませ!」
ロブ村長が集団の中から一歩前に出てくる。
「元凶の植物は燃やしたが、感染者の状態はどうだ?」
ラーネルの問いに村長が嬉しそうに頷く。
「先ほど、苦しんでいた者が静かになり、確認したところ症状が無くなっておりました。衰弱していた者はまだ休ませていますが、順に起きてくるでしょう。」
「それなら良かった。」
二人で頷く。
そこへ小さな男の子がラーネルに飛び付く。
「ありがとう勇者様!」
「俺は冒険者なんだけど・・・。」
否定はしているが表情はちょっと嬉しそうだ。
・・・一人置いてけぼり感。
まぁ実際戦ったのはほぼラーネルだから仕方ない気もする。
一応俺のスキルが無かったら勝てなかったんだぞー・・・。
絶対言わんけど。
「ささやかですが集会所にて食事とお酒を用意しました。お礼としては少ないかもしれませんがおたのしみ頂ければと・・・。」
ラーネルが俺の方へ振り向く。
「"二人の"勝利だ。楽しもうぜ。」
性格まで完璧かよぉ。
ボロボロになった服や鎧をそれぞれ服飾屋や防具屋に修理してもらうために預けてから集会所へ向かう。
中では既に料理が並べられていた。
そういえば、今日は殆ど食べていなかった。
料理を見て空腹を思い出す。
「さぁさぁ召し上がって下さい!」
案内され一番豪華な席に二人とも座って食事を初める。
ラーネルは皆から酒を勧めまくられている。
それを断らずにどんどん飲んでいるのは凄い。
今までオトソ以外の酒を飲んだ事の無い俺は、初めての本格的に飲む酒がこの場というのは色々失敗しそうで怖かったので断った。
その分空っぽの腹に食べ物を充填していく。
スープもパンも何かの動物の焼いた肉もすこぶる旨い。
俺達が食べているのを見て町の人もそれぞれ席につき初め、酒盛りが始まる。
「ね、ね、ね、ね、敵はどんなやつだったの?」
「魔法使える?」
「レベルいくつ?」
「敵強かった?」
・・・。
落ち着いて食事をしたい・・・。
どうやらラーネルは大人に囲まれて質問攻めを受けているので子どもの標的が俺に来たようだ。
「順番に質問してくれ。」
俺がそう言うと素直にじゃんけんして順番を決め出した。
みんないい子だな。
「じゃあ俺から~。」
じゃんけんに勝った子が手を上げる。
「お兄ちゃんも勇者様と一緒に戦ったの?」
戦ったと言えば戦った・・・よな?
ラーネルは既に勇者扱いなのね。
「おうよ。」
「敵強かった?」
「そりゃあヤバかった!二人組の二人ともが俺達よりレベルが高いんだもん。」
「そ、それで、どうやって勝ったんだ?」
「魔族の二人組で・・・。」
そこからずっと質問に答えていた。
気がつくと大人も周りで聞いている。
・・・結構いい気分だな。
って調子にのらないようにしないとな。
戒め戒め。
外でスマホからなので短めです。




