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魔法はやはり素晴らしい  作者: 栗鮑菊
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魔法陣の封印

あ、カナタさんも適正検査しておかないと。

そうミナト先生に言われてコップ一杯分の水を出しておいた。


他の魔法もそうだが私は出力が弱いようだ。出せはするが勢いがない。

その点ユウヤは異常と言っていい。前世でもあんな魔法見た事がない。


カナタさん。手を抜いてたりしないわよね?

ミナト先生が疑ってくる。多少雑だったが手は抜いていない。


何故そう思うんですか?

否定だけしようと思ったがユウヤの件もある。付き合いが長くなりそうだと思い直して質問で返してしまった。


何故って…さっきあんな魔法陣描いたじゃない。

心底不思議そうに言う。


魔法陣はたまたま知る機会があっただけです。魔法が使えない人から教えてもらいました。

事実は独学だが。


そう。分かりました。そういう事にしておきます。さ、やってない検査へ行ってきてください。

結構時間が経ってしまっていたようだ。

適当に誤魔化したせいか信じてくれていないようだが気にしないでおこう。


はい。失礼します。

えーとあとはなんだったかしら。

私は呟きながら教室から出ていく。


じゃあ俺も行きます!待ってカナタ!

ユウヤも付いてくる。勿論置いて行くつもりは無い。


風、火、水…あとは土ね。ユウヤ、土も試しておくわよ。

土までとんでもない才能を発揮されると色々面倒だ。隠し通せないし何より水以外は軍事向き過ぎる。氷への変質が可能になったり、水圧を異常に高められるならば話は変わるが、今は大量に出せるだけだ。


分かった!

ユウヤはまた鉛筆を握って魔法を使う。

土魔法の魔力放出は難しい。使い手もあまり多くはない。魔力を放出させた後停止させるような制御が必要なのだ。

そしてユウヤは…発動しなかった。


土はダメみたいだ。

がっくりしている。


それが普通よ。土魔法は難しいから。

そう言って励ます。


父ちゃんもそう言ってた。使える人は珍しいって。

ユウヤは思い出したように言う。


じゃあ私はその珍しい人間ね。

私は手に土の塊を出す。


流石カナタだな!じゃあ検査に行こう!

何故か嬉しそうにユウヤが手を引く。


適正検査受けに来ましたー!

元気よくドアを開けて入るユウヤ。

だがそこに居たのはテナとテトだった。


あ!カナタとユウヤ!どしたの?

テトが笑顔で寄ってくる。


適正検査に決まってるでしょう?

テナは呆れ顔で椅子に座っている。


先生はどうしたのよ。

私は教室を見渡すが他に人が居ないようだ。


それがさー。

テトが説明してくれる。


掻い摘んでまとめると二人して小規模な土魔法を使ったら教師が校長を呼びに行ったらしい。


軽い魔法ってどんなのよ…貴方達ちゃんと手加減したんでしょうね?

ジト目で問い詰める。


カナタ、ユウヤも居るのにそれを言っては…

テナがユウヤを気にする。


実はね。

私はユウヤの才能とそれを隠すためにミナト先生の協力を約束した話をした。


だからユウヤにはある程度話そうかと思ってるのよ。魔法陣等の知識とかね。

勿論転生や悪魔に関する事は対象外だ。


成る程、分かりました。ユウヤさん、私とテトはかなり魔法が得意です。ですがカナタ様と一緒に過ごす事が使命なので実力を隠しています。協力して貰えますか?

テナはユウヤに問う。


カナタ、様?カナタって偉い人なの?

ユウヤは少し後ずさる。


偉くないわよ。この子達が私をそう呼ぶだけ。やめてって言ってるのに。

まさかテナ達が元悪魔で、その主人だったなんて言えるはずもない。


だからユウヤは今迄通りでお願いね。

そう言うとユウヤは安心したような顔で了承した。


その後暫くユウヤの水魔法について話していたのだがドアが開いたためそちらを見る。

教師であろう男性と校長だった。


君達か、土魔法が使える子というのは。

そう言って校長は近くの席へ座った。


俺は違います!

ユウヤは手と顔をブンブンと振って否定する。


こちらの二人ですよ校長。他の二人は違います。

一緒に来た教師が答える。


カナタも出来るよー。

テトがあっさりと暴露する。


少しだけですよ。

隠す気は無かったがそこの二人程ではないのでそう言っておく。

聞くのを忘れていたが二人はどんな規模の魔法を使ったのやら。


君は…。ダン君、すまんがここに居る四人を校長室に連れて行くので先にホームルームをしておくよう伝えておいてくれんか。

校長は私を見てからダン先生にそう伝えた。


ここが校長室だ。そこのソファーに座ってくれ。

校長もソファーに腰掛けた。


さて、わざわざ来て貰ったのはなんとなく分かると思う。

校長はそう切り出した。


ミナト君からユウヤ君が水魔法に秀でていると報告があった。儂にも見せて貰えんか。

そう言われた瞬間ユウヤは嫌そうな顔をした。


俺、さっき魔法使ったら倒れちゃって…。しかも教室が水浸しになったってカナタが。

助けを求めるように私を見る。


検査の時のような魔道具では使い物になりません。川にでも行った方が良いのでは。

私は魔力枯渇については横に置いておく事にして提案してみた。


勿論もっと大きな物を用意した。水害対策用だ。

大袈裟な物を用意したものだ。


はぁ。ユウヤ、諦めなさい。どうしても見たいらしいわよ。

私は溜め息を吐いてユウヤに告げる。


分かった。じゃあやりますよ!

ユウヤは覚悟を決めた顔をして鉛筆を持つ。


バシャアッ!!

鉛筆の先から勢い良く水が飛び散る。

水害対策用の壺のような容器に吸い込まれていく。吸い込まれていく。。


ユウヤ?魔力枯渇するまで出さなくても良いのよ?

十秒程出していたので十分だろうと思い言ってみる。


と、その時。

ゴポッ。と音がしたかと思ったら壺から水が溢れて来た。


ユウヤ!水を止めて!

慌ててユウヤも魔法を止める。


凄いですねユウヤさん。水魔法だけなら悪魔以上です。

テナが素直に賞賛する。


悪魔以上かは分からないが確かに凄い。儂はこれ程の魔法を見た事がない。水害規模ではないか。

ホッホッホと笑いながら校長が言う。


笑っている場合じゃないですよ校長。水浸しです。

私はまた溜め息を吐きながら壺の横に魔法陣を描く。

すると溢れてしまった水が壺の中へ入っていった。


カナタ君。何をしたんだ?

校長は驚いたように問う。


魔道具の効果増大です。魔法陣の効果が切れたら溢れてきますよ。

恐らく一時間も持たないだろう。


本当に魔法陣が描けるのか。一体誰に教わったんだ?

何故それ程驚くのだろうか。前世では魔法陣の研究をするだけで馬鹿にされたというのに。


どうしてそんな事を?ただの魔法陣ですよ?

逆に聞き返す。

ミナト先生の前で描いたものは少々複雑なものだがコレはそこまでではない。


ただの魔法陣だって?失われた技術だぞ?学者達が必死になって解明する程の。

耳を疑った。


待って下さい。お互い聞きたい事が山の様にあるでしょう。私も混乱してますし先に土魔法の件を進めて貰えますか。

私も土魔法が使えるので休憩にもならないが。


あとユウヤを先に帰らせても?水魔法の件は終わりましたし。

そう提案する。


うむ、構わないぞ。ユウヤ君、水魔法の事は親御さんには話しても構わないが、カナタ君達の事は秘密にしておきなさい。

そう言って約束をしていた。


ユウヤ、終わったらあなたの家に行くから安心して。お父様とお母様によろしく。

どこか不安そうなユウヤを笑顔で安心させる。


分かった待ってる!さよなら校長先生!

ユウヤは元気に挨拶をして退室した。


お姉さんみたいだなカナタ君は。

校長は茶化す様に言った。


どっちかって言うと孫だよねー。

テトがケラケラと笑う。


孫ですね。

テナまで口に手を当てながらクスクス笑っている。


私は独り身だ。

校長が居るにもかかわらず思わず昔の口調になってムスっとする。


十歳で独り身とは面白い言い方をするな。

校長もホッホッホと笑う。


さて、土魔法。使えるんだな?

真面目な声で聞いてくる。

三人とも肯定する。ついでに手の上に石を作り壺に放り込む。テナとテトも真似をする。


土魔法を使えるのが珍しいのは知っているな?適正がある生徒は特別扱いになり、土魔法用の授業を受ける事になる。それだけ使える者が少ないんだ。そして、教えるのは儂だ。よろしく頼む。

どうやら居残り授業をさせられる様だ。面倒だが魔法を教えて貰うのは楽しみである。


さて、テナ君とテト君も帰っていいぞ。

そう校長が告げた。


テト、先にユウヤの所に行ってて。

私がそう言うと。


ううん。やっぱり今日はテナと帰る。ユウヤには謝っといて。

と言ってテナと退室した。どうしたのだろうか。


では魔法陣の件に戻すぞ。何処で覚えた?

校長が聞いてくる。

さて、どうしたものか。まさか失われた技術になっているとは。こんな馬鹿にされた物が。いや、馬鹿にされる物だからこそ廃れたのか。


とある人に教わりました。何故か魔法が使えない人で、使えるようになる為の研究の一環として魔法陣の研究をしていたと言ってました。こんな物は劣化魔法だとか言ってましたね。


劣化魔法だと?その人は今何処に?


近くに住んでいるとは言っていましたが分かりません。魔法陣は描くのに時間がかかる、時間切れになると効力を失う、こんな物より魔法が使いたい。とか言ってました。


成る程、描く時間と効果時間か。だが魔法陣のメリットは効果の多様性。魔法だと出来る事が少ない。一体どんな魔法を目指していたんだ。


はい?

思わず声に出してしまった。


ん?どうした?

校長は聞いてくる。


魔法陣で出来る事はほとんど魔法で再現出来ると聞いたのですが?それ以外だと魔道具で十分だとも。


そんなものは幻想だ。現状解明されている魔法陣の一つに氷を出す物がある。魔法では冷水が限度だ。

またも耳を疑う。

どう考えても前世と比べて魔法のレベルが落ちている。適性検査が根源魔法のみだった理由もコレだろう。

つまり氷魔法というジャンルすら消え失せている。

私は頭を抱えた。テナとテトが前世の常人的感覚で魔法を使うだけで大騒ぎになる可能性がある。

普段あの二人は私に気を使っているのか滅多に魔法を使わないが勿論使える。


校長。なるべく私が魔法陣を描ける事を秘密にして貰えますか。

取り敢えず私はあまり人前で魔法陣を描かない事に決めた。


元からそのつもりだ。ミナト君にも言ってある。安心しなさい。

校長は優しく微笑んでそう言ってくれた。


さて、カナタ君もそろそろ帰っていいぞ。無闇に魔法陣を描かないなら幾らでも時間は取れるからな。土魔法の授業でも会う事になる。カナタ君の先生についてはその時に聞こう。

そう言って立ち上がる。


そうですね。色々相談をするかもしれませんがよろしくお願いします。

私も立ち上がって礼を言って退室した。

世界観固まってきました。

気のせいかもしれません。

ふんわりぼんやりもやもやなまま進行します。

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