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魔法はやはり素晴らしい  作者: 栗鮑菊
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懐かしき魔導具

『えー、この度は入学おめでとうございます。本校は…』


うん。私が生きていた時代から大分経っていると思うが校長が長話するのは健在のようだ。非常につまらん。10歳に聞かせる内容ですら無いな。寝ていよう。


「では教室へ案内します!先生について来て下さいね!」


アレが担任か?寝ていて名前を聞きそびれただろうか。まぁいいか、ついて行こう。


「キミ、名前なんて言うの?」


隣を歩いていた子供に聞かれる。

もちろん同級生という事になるのだが私は元がババア。孫に見えてくる。少し離れた所で楽しそうにしているテトやテナなんて私以上に生きている筈だ。どう言う感覚なのか気になる。

おっと、答えてあげないと。


「カナタよ。…あなたは?」

坊やと言いかけたが思いとどまれた。


「俺はユウヤ!カナタちゃん宜しく!」

そう言ってユウヤは握手を求めてきた。ちゃん呼ばわりに一瞬凍りつくが笑顔で応える。


「宜しくユウヤ。ちゃんは要らないわよ。柄じゃないし。」

どうにも慣れそうにないので呼び捨てにしてもらう事にした。


「でも男っぽくならない?カナターって。気にならないの?」

子供らしくない質問をするなこの子は。


「いいのよ。女として扱って貰おうなんて考えてないから。」

お子様にはね。と言う言葉も飲み込んでおく。


「分かった!じゃあダチになろう!宜しくカナタ!」

何がそんなに嬉しいのか分からないが納得してくれたようだ。


「はーい到着です!ここがあなた達の教室になります。とりあえず好きな所に座って下さいね。」


ふむ。変わらないな。記憶通りの教室だ。地域が変わってもこういうものは変わらないものだ。


「カナタ!一緒に座ろうぜ!」

ユウヤが手を取って走り出す。


「はいはい。二人一組の机なんだから走らなくても大丈夫よ。」

思わず年寄りのような言い方をしてしまう。


「窓側の真ん中あたりがいいんだ!早く早く!」

元気いっぱいのユウヤに引っ張られるがままに席に座る。

ふとテナとテトの様子が気になって周りを見ると仲良く二人で真後ろの席を陣取っていた。


「別に私に付き合わなくていいのよ?」

今更だがテナ達に向かって言っておく。


「ここが良さそうだったので選んだだけですよ。気にしないで下さい。」

と、テナが答える。


「私テト!あなたは??」

テトが楽しそうにユウヤに聞く。


「俺はユウヤ!よろしくテトちゃん!そっちのキミは?」

ユウヤは元気いっぱいに答える。


「テナです。よろしくお願いしますユウヤさん。」

やはりテナは丁寧過ぎる気がするな。まぁいいか。


その後は簡単に校舎の説明などをして下校になった。私はユウヤのお陰で少し童心に帰ったようだった。ユウヤに感謝だな。


「カナタ!まだ時間あるなら遊ぼう!」

下校準備をしていたらユウヤに提案されて少し迷う。子供の遊びに付き合うほど童心には帰れていなかった。


「うーん。別に暇だけど何して遊ぶの?鬼ごっことかはやりたくないんだけど。」

返答を濁しながらテト達の様子を見る。

どうやら先に帰って食事を作るようだ。買い出しの相談をしているのが聞こえた。


「父ちゃんとドッヂ&シュートする約束してるんだ!カナタもやろう!」

なんだか分からない遊びだ。けどユウヤのお父さんとやるのならそこまで危険でもなさそうだ。


「いいよ。ちょっとテト達に言ってくるから待ってて。」

そう言って聞いたままをテナとテトに伝える。


「わかりました。晩ご飯は作っておきますので楽しんできて下さい。」


「帰ったらどんな遊びだったか教えてね!」


と返事を貰った。なんだか保護者のようだ。この歳で親に報告…とも思ったがむしろ子供時代の満喫が目的だったか。



ユウヤの家に着いて驚いた。どう見ても屋敷。貴族だろうか。


「父ちゃんただいまー!友達出来たよー!」


ユウヤが門に入って叫ぶ。門番とかは居ない。執事やメイドも居ないようだ。


「お帰りユウヤ。その子が友達かい?」

2階の窓から男性が返事をする。中々の身嗜みだ。やはり貴族のようだ。


「そう!カナタって言うんだ!ドッヂシューターに誘ったんだけどいい?」


「あぁ構わないよ。家に荷物を降ろして待っていなさい。」


言われた通りに荷物を降ろしていたらお父さんが何本かの杖を持って降りてきた。


「こんにちはカナタさん。私はバッツだ。ユウヤが迷惑をかけてないかい?」


私は首を振りながら。

「いえ、元気を貰えて楽しいですわ。」

と、ついお嬢様口調になってしまった。


「それは良かった。これからも仲良くしてあげて欲しい。」

そう言って微笑まれた。


その後ドッヂシューターの説明を受ける。

どうやら先程の杖は魔導具で、魔力の塊を打ち出せるようだ。

それを打ち合う。

自分の体に5回当てられると負け。

つまり自分に飛んできた魔法弾を避けたり、弾を相殺したりしつつ打ち合うゲームらしい。


カナタは初心者だから俺と組んで父ちゃんを倒すぞ!

ふむ。体力差もあるだろうし妥当か。


カナタさん。痛みとかは無いので安心していいよ。その代わり転んだりは気をつけてね。


分かりました。よろしくお願いします。

そう返事をしていくつかある杖を眺める。


この杖、昔私が魔法を魔導具で再現出来ないかと試行錯誤した時に作ったものに似ている。

魔導具は魔法のように派手な物には向かない。

だがどうしても派手なものを使ってみたくて作ったら威力がスカスカのゴミが出来たのだ。

この杖はそれにそっくり。痛みはないというのは本当のようだ。


カナタ!この杖が初心者にオススメ!弾を曲げたりは出来ないけど使いやすい!

そう言ってユウヤが1つ選んでくれた。


ジッと見て魔石の中に込められた魔力を感じ取る。

たしかに真っ直ぐ飛ぶだけだが弾速が早く連射が効くようだ。だが射程が短い気がする。

出来れば遠くから撃っていたい。


他のも見せて貰っても?

そう聞くと。


いいよ!でもコレは俺が使いたいからやめてくれよ!

と言って1つの杖を取った。


どんなのを選んだのか気になったのでそれも見てみる。

撃った後一度だけ曲げられる、か。上手く追尾させられたら強そうだ。

他の杖は…。


しばらく吟味させて貰ったが最後の1つに決めた。

こんなの使われたら勝てる気がしなかったからだ。


カナタ。それは…。

ユウヤが何か言いかけるがやめた。


カナタさんそれはあまりオススメ出来ないけどいいのかい?

バッツさんがそう聞いてくる。その手には乗らない。私は婆さんだが今は子供。子供らしく意地をはる。


絶対これがいいです。気に入りました。

にっこり笑って気に入ったアピール。


なら僕はこれにしよう。

バッツさんが選んだものは覚えている。一度に3方向に弾が飛ぶタイプだ。

サバゲーなんぞやったことありませんが楽しそうですよね。(体力皆無)

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