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A Prologue of a Prologue


 私が体験した中で、最も鮮烈で、最も不可逆的な出会いは、そういうものを人生で一番求めていない時に与えられたものでした。




 その時の私は、他人など本当にどうでもよかったし、人と会うということにネガティブな気持ちしか持っていませんでした。その理由を書くことは、あえてしないことにします。なぜなら、きっとそういうものというのは、この世界の一人ひとり、誰についても、個人的な空間に秘匿されて持たれているからです。


 私たちには、人と話すことに対して根本的な恐れがあります。拒絶される恐怖、傷付けられる恐怖、他人の中にいる自分への恐怖。そして、それがいつか閾値を超えると、私たちはただ人を拒絶しようとするのです。




 その時の私は、ただそうなっていただけでした。決して、私が特別な体験をしたというわけでもないのです。私は運悪く人の悪意を目にし、体験し、そして嫌になったのです。それは、誰の身にも起こることだ、と私は信じています。





 その出会いは最初、運命からの理不尽な暴力のように感じられました。私を追いかけ、知ろうとするそれは、当初の私にとって負担にしかならなかったのです。




 けれど、それは確かに鮮烈で、最も不可逆的な出会いでした。


 世の中というのは、きっとよくできているものなのです。私たちがどんなに希望を持っていても、容赦なく踏みつぶしていく足を持ちながら、どんな絶望からも引き上げてくれる手も、きっと持っているのです。





 私を引き上げてくれたこの物語が、もう一人の誰かも、引き上げてくれたら。


 彼女がこれを書きあげた思いとは、きっと違うけれど。私はそう願っています。


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